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【倉敷市】非公開の建物内へ!10/7~23の期間限定でアート鑑賞を

倉敷そだち地域情報発信クリエイター(倉敷市)

新型コロナウイルス感染症の影響で3年ぶりの開催となった有隣荘(ゆうりんそう)の特別公開。ふだんは一般客が入れない有隣荘」にわくわくしながら足を踏みいれました。

※有隣荘内は撮影禁止です。メディア向けに事前に開かれた会で、特別に撮らせていただきました

ふだんは非公開の建物

観光地、倉敷美観地区のシンボル的存在の大原美術館。創設者の大原孫三郎は美術館の斜め向かいに大原家の別宅、有隣荘を建てました。

ふだんは非公開の有隣荘。しかし一般客が入れるチャンスもありますよ。そのひとつが、例年秋に開催される特別公開です。3年ぶりの開催となった、この秋の企画展は「マティスー光と色と」。

色彩の画家」とうたわれたフランス人画家のアンリ・マティスの作品と、建物内に差し込む移ろいゆく光と陰影とのコラボレーションが楽しめます。

洋間の作品

洋間には作品が3点あります。

御影石の暖炉の上に飾られた《エトルター海の断崖》
御影石の暖炉の上に飾られた《エトルター海の断崖》

じっと見ると、ちょっと変わった色使いに気付きませんか?

絵画の手前と船の影が茶色や緑色で描かれています。一方で、人物や小屋は黒色です。色によって光そのものを表現しているのだとか。

《マティス嬢の肖像》は真っ黒の背景に女性が描かれています。つい彼女の顔に目が行くと同時に、まるで光が当てられているように明るく見えませんか?

遠目でみても顔が目立ちます
遠目でみても顔が目立ちます

こちらの絵画、もっとおもしろい秘密があるんです。近くに寄って帽子の辺りを眺めると、かすかに青色が見えます。長年、「背景はもともと青色なのでは?」との説がありました。現在、説を実証するため、調査中ですが…

調査でX線を透過するとコバルトを検出—つまり青が塗られていた事実がほぼ判明しました。

どのような背景だったのでしょう。想像するのも楽しいですね。あえてアップの写真は載せないので、気になるかたは青色を見つけに行ってくださいね。

1階和室の作品

1階の和室は大きなガラス張りですが、やわらかな光が差すので少し薄暗く穏やかな雰囲気に。

こちらにはモノトーンの4つのデッサンが展示されています。

《マリアンナ・アルカフォラド『ポルトガル人の手紙』》
《マリアンナ・アルカフォラド『ポルトガル人の手紙』》

少し薄暗いところで鑑賞すると光を感じる効果があるのだとか。光を調節できる美術館と違い、自然光を利用する有隣荘ならではの鑑賞方法です。

《女の戦》木炭で描かれ、マティスの手の動きまで感じられるタッチです
《女の戦》木炭で描かれ、マティスの手の動きまで感じられるタッチです

2階和室の作品

1階の部屋とは違い、より光が降り注ぐ2階の和室。窓からは倉敷美観地区の町並みが見えます。建物に入らないと見られない特別な景色です。

明るい部屋に似合う、カラフルな作品がずらり。ハサミを使ってデッサンする、切り紙絵なんだそうです。晩年、寝たきりの状態で製作したそうですが、色は華やかで元気が出るものばかり。

《ジャズ》挿絵本として制作されたそうです
《ジャズ》挿絵本として制作されたそうです

特別な建物で、特別な鑑賞を

展示作品の一部を紹介しました。とは言っても、作品の良さは写真や文字では伝わりません。

建物の空間、秋の光と影…作品だけでなく、周りの環境も含めて鑑賞するとより深みが増しますよね。今だから見られる、入れる、特別な企画展に行きませんか?

<詳細情報>
令和4年秋の有隣荘特別公開 マティスー光と色と
住所:岡山県倉敷市中央1-3-18
電話:086-422-0005
期間:2022年10月7日(金)~23日(日) 
開館時間:10:00~16:00(入館は15:30まで)
定休日:会期中無休
料金(有隣荘のみ):大人1000円、小中高校生500円(税込)
料金(有隣荘+大原美術館):大人2000円、小中高校生1000円(税込)
駐車場:なし
URL :公式HP

地域情報発信クリエイター(倉敷市)

地域コミュニティWebメディア「倉敷とことこ」ライター。 倉敷市在住、生粋の倉敷人です。メジャーからマイナーな情報まで、倉敷市の魅力をしっかりお伝えします。趣味は食べ歩きと旅行。大好きな愛犬と倉敷をめぐることも。

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