タイトル画像

How to

  • いいね エラーが発生しました。
    時間をおいて再度お試し下さい。

「正しく全力で努力しないと意味がない」元社会人野球侍JAPANの4番・沓掛祥和の語る目標達成への近道

くっつーのマジバチTV

株式会社GIANT KILLING代表取締役

QRコード

スマホ版Yahoo! JAPANのフォローで最新情報をチェックしてみよう

はじめに

プロを目指す青年の挑戦の場の一つである社会人野球。トヨタ自動車や大阪ガスといった一流企業が名を連ねており、毎年一度のドラフト会議で指名されることで、新たなプロ野球選手が誕生している。今回、筆者が取材を行った沓掛祥和(以下、沓掛氏と称す)も元社会人野球のプレイヤーの一人だ。

多くの野球ファンにとって、沓掛氏はプロになれる逸材として期待されていた人間だった。それもそのはず、彼はかつて社会人侍JAPANのクリーンナップとして活躍し、2019年の都市対抗野球大会では優秀選手にも輝いた他、年間成績では社会人野球ベストナイン、本塁打王、打点王の三冠のタイトルを獲得した選手だからである。

ところが2020年。沓掛氏は突然引退を発表した。現在は都内の一般企業で事業責任者を担う他、個人で野球のサロンも経営しているという。

この発表には筆者も驚きを隠せず「沓掛は何故25歳で引退したのか」「元社会人野球侍JAPANの沓掛の今は」など、ファンからもこのような声が上がっている。今回は共通の知人のご縁もあり、沓掛氏に直接お会いして取材をさせていただいた。

沓掛氏の経歴

沓掛 祥和(くつかけ よしかず):1995年1月1日生まれ。神奈川県横浜市出身。慶應義塾高校→慶應義塾大学を経てトヨタ自動車へ入社。2020年に引退を発表し、翌年4月からギグセールス株式会社へ入社。現在は事業部長に就任して日々仕事をこなしつつ、自身でバッティング特化型のオンラインサロン「GIANT KILLING」を運営している。

この記事では主に、沓掛氏に関する以下の点についてのインタビューを行った。

・沓掛氏の今までの野球人生について
・沓掛氏が野球を引退した理由
・沓掛氏が現在運用しているオンラインサロンについて

今回の取材では沓掛氏へのインタビューを通して、内容を8つのチャプターに分けて解説していく。

Chapter1.「絶対に2年でプロ野球選手になる」夢を叶えるためトヨタ自動車硬式野球部に入部

「中高生時代はプロ野球の球団に注目されるほど目立った実績を残せなかった」と語る沓掛氏。社会人野球の舞台で圧倒的な結果を残し、いずれは幼少期からの夢であるプロ野球選手になるという夢を抱いて社会人野球の世界での挑戦が始まった。

Q:どうしてトヨタ自動車硬式野球部を選んだのですか?
A:社会人野球の名門だからかな。トヨタ自動車出身の選手はプロ野球界でも活躍している人が多くて、侍JAPANの一員として選ばれた選手も沢山いるからね。自分もそんな選手になりたいっていう期待を抱きながら入団(入社)を決意したって感じだな。

トヨタ自動車出身のプロ野球選手は数多く存在する。1990年代に監督兼選手として長年活躍した古田敦也氏を初め、現役選手では2021年セ・リーグで新人王のタイトルを獲得した広島東洋カープのクローザーの栗林良吏や、2016年に入団して以降不動のショートとして活躍を続ける西武の源田壮亮など活躍している選手も多いことが特徴だ。

Chapter2.「認めてもらえない」苦しんだ最初の1年間

大きな希望を持ってトヨタ自動車硬式野球部に入団した沓掛氏。しかし、当初は周りのレベルの高さに圧倒されたり、監督とのコミュニケーションがうまくいかず苦しんでいたという。

Q:入団した直後はどんなことがありましたか?
A:1年目はとにかく苦しかったね。自分の野球センスを過信していたのも悪いところだったけれど、それ以上に周りのレベルが高すぎた。

絶対にプロ野球選手になるという夢を抱いてトヨタ自動車硬式野球部に入団した沓掛氏。しかし、入団して1年目は周りのレベルの高さに圧倒されただけでなく、首脳陣とも上手くいかない時期が続き苦しんでいたという。

また野球の実力だけでなく、言葉遣いや礼儀などプレー以外の面での指摘を受けた沓掛氏。満足のいく練習をさせてもらえない日々の中で、周囲に認めてもらえない悔しさに苦しむ日々が続いたという。しかし、ここから沓掛氏の野球に対する意識が変わり始める。

Chapter3.「2年で4番になれなかったら辞めてやる」野球に対する意識が変わった瞬間

「何としてでもレギュラーを掴み取って現状を変えたい」そんな思いが強くなっていく中で、沓掛氏はあることを決意したという。

Q:野球に対する意識が変わったと聞きましたが、具体的にはどう変わったんですか?
A:後2年で4番になれなかったら辞める。ただそれだけ。

「何故2年という具体的な期限を決めたのだろうか?」その場の雰囲気などで目標を決めたり、スケジュールを変えるタイプの筆者にとってはこれが最大の疑問だった。

Q:どうして2年という具体的な期限を決めたのですか?
A:人間、具体的な期限やゴールを決めないとそこに向かって全力でやろうって気持ちにはならないのよ。後2年でプロ野球選手になれなかったら辞めてやると言うより、この2年で辞めても後悔しないくらいの経験にしてやろうって気持ちが強かった。だからこそ自分で決めた"ピリオド"に向かって悔いのない努力をしてやろうって気持ちになったね。

「明確な期限を決めることで自分を追い込み、そこから逆算して目標達成の道を作る」これは熱血な魂と冷静な頭脳を持つ沓掛氏らしい考え方だと感じた。皆さんが日々従事している仕事に納期や締め切りがあるように、沓掛氏はその最終ラインを自ら作ることで、「いつまでに何をやらなければいけないか」を明確にしていたのだろう。

Chapter4.「出来るはずのことをやっていなかった」全力を出せていないことに気づいた瞬間

目標を明確に定めた沓掛氏は、日々の練習において自分が本来出来るはずのことが出来ていなかったことに気づいたという。

Q:あと2年という期限を決めてから、野球に対する取り組み方はどう変わったのですか?
A:まず試合前には必ず8時間以上の睡眠を取るようになったね。睡眠不足じゃ最大限のパフォーマンスが出来ないから。あとは練習日の朝はチームの誰よりも早く球場へ向かって早出特打したり、チーム全体の練習が終わった後もグラウンドに一人残ってバットを振っていたね。あとは休日も返上して練習に励むようになった。とにかく人と違うことを当たり前のようにできるようになりたいって思いが強かったね。

「誰よりも早く来て、誰よりも遅くまで練習する」誰でも出来そうなことではあるが、本当に出来る人はほんのごく一部である「人と違うこと」だろう。

かのイチローや鳥谷敬も、試合前のウォーミングアップや試合後のアウトプットを含め、誰よりも長く練習に取り組む選手であったそうだ。

Chapter5.「バッティングは頭だ」血の滲むような努力の中で見つけたこと

沓掛氏は「だらだらと長く練習をしていても意味がない。自分で決めた目標を達成するためにはもっと大切なことがある」と話す。

Q:全力で野球に取り組む中で気づいたことがあるとおっしゃってましたが、それは一体どんなことなのでしょうか?

A:バッティングは頭だってこと。確かに長打が期待できるパワーも、広角に打球を打ち分けられる器用さも大事。でもやっぱり一番は頭の使い方。頭の使い方を間違えると方向性を見失うし練習方法も間違ったものを選んでしまう。こうなってしまうとたとえどんなに練習をしても結果に結びつくことはほぼ有り得ないからね。
「バッティングは頭だ」この言葉は野球経験者である筆者も同意するが、どうしても具体的なことはよくわからなかったので続けて聞いてみた。

Q:「バッティングは頭だ」って、具体的にはどういうことなんですか?

A:簡単なことだよ。たとえばスイングの基本と言われているインサイドアウト。この言葉の意味を知っている人は多くても、じゃあ何故インサイドアウトを意識するのか?意識する上で自分は何が出来ていて、何が出来ていないのか?これを真剣に考えている人は少ないと思う。たとえ考えていたとしても、自己分析して次につなげるための計画や練習方法を考えられるかどうかで活躍できる選手になれる確率は大きく変わると思うね。

Chapter6.「最初で最後のチャンスかもしれない」野球人生の転換点となった1試合

野球に対する意識が変わっても、自分の立場は右の代打の三番手。そんな中、沓掛氏に野球人生の転換期となるチャンスが訪れたという。

Q:沓掛さんは以前、野球人生の転換期となった試合があるとおっしゃっていましたね。詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?
A:東海地区春季大会の東海REX戦、1点ビハインドで迎えた8回の表にツーアウトの場面で代打出場した時。当時チームが負けていたこともあって、「ここで結果を出さないと今後いくら行動しても現状は変わらない」という強い気持ちで打席に臨んだ。結果はセンター前への逆転タイムリーとなって、そこから監督やチームメイトからの評価も変わった。

限られたチャンスを物にし、首脳陣の期待に結果で応えた沓掛氏。この試合がチーム内での評価が変わるきっかけにもなり、やがては長らく4番打者としてチームを支える強打者へと成長したという。

Chapter7.「お前で駄目なら仕方がない」勝ち取った信頼、気づいた言葉の本当の意味

トヨタ自動車の4番として迎えた2018年のJABA四国大会準決勝。本来ならばバットでチームを引っ張っていかなければならない沓掛氏だったが、ここまで自慢の打棒は振るわず3試合で16打数1安打という結果に止まっていた。

責任感を感じた当時の沓掛氏はコーチに「変えてください」と直訴したが、この言葉を聞いたコーチからの答えは意外なものだったという。

Q:「この言葉で自分に対しての評価が変わっていたことを悟った」と話されていましたが、いったいどんな言葉をかけられたんですか?

A:「お前で駄目なら仕方ないよ」と。当時は全然結果が出なくて、自分の代わりなんていくらでもいるから代えて欲しいという思いが強かった。けど当時の自分は既に監督、そしてチームにとって代わりのいない存在として期待されていたんだなと。このことを悟った瞬間に、「こんなにも期待されているのに、打てないからって何故逃げようとしているんだ」って思いがこみ上げてきたね。何としてでも自分に期待してくれる監督やコーチ、そしてチームのみんなに結果で応えようと。あの試合で放った2本のホームランは、僕の気持ちの現れだね。

4番打者として結果を残し続けることで「変えの効かない存在」になったことを悟った沓掛氏。ほとんど打席にすら立たせてもらえなかった1年目からチームの中心選手として成長し、周りからも信頼されるようになったことを感じたのだという。

絶対に結果で応えたい、恩返しをしたい相手がいる時にこそ人は最大限の力を発揮できるのだろう。その後の試合で沓掛氏は6打数4安打2本塁打5打点と復活。低空飛行状態だったチームの打線は息を吹き返し、結果的に当大会準優勝を果たした。同時に沓掛氏本人も敢闘賞を獲得。これが沓掛氏の長いようで短かった社会人野球人生において初のタイトルである。

その後の沓掛の活躍は止まらない。2019年には本塁打王、打点王、ベストナインのタイトルを獲得。更に同年に社会人野球侍JAPANのメンバーとしてアジア選手権に出場。主にクリーンナップを任され、チームを大会準優勝へと導いた主力選手の一人となった。

Chapter8.「2年間でやり切った」引退を決意した日

「2年で絶対に4番になる」という目標を達成した沓掛氏。本来ならばここからがプロになるための勝負だろう。しかし沓掛氏は野球を引退して次なる目標、そして次なる経験を求めて新たな一歩を踏み出すことを決意したという。

Q:正直、沓掛さんが本当に2年で引退するとは思っていませんでした。後悔などはなかったのですか?

A:2年間やり切った後、もう1年やって都市対抗優勝したいとか、橋戸賞を含めてタイトルを総取りして辞めたいって思いが強くなったからもう1年野球を続けたんだけど、結果は翌年の一回戦で敗退だったね。その時は「次こそ自分がトヨタを勝たせる」と強い気持ちを持っていたんだけど、結果的には試合で最後のバッターとなったんだよね。この試合が終わった瞬間「野球人生終わったな」と感じがしたから、次の日に監督に引退することを伝えたんだよね。自分が決めたゴールに向かって悔いのない経験が出来たからもう悔いはないなって。

僕は一度きりの人生において沢山の経験を積み重ねたい。今の会社で達成したい目標も、オンラインサロンを一人でも多くの人に知ってもらいたいという思いも勿論ある。そして自分の人生が終わるときにどれだけ目標に向かって努力した経験を積み重ねてきたかを胸を張って言える人生を送りたいと思っているよ。

「経験を積み重ねる」ことをモットーに生きる沓掛氏。初めて野球のボールに触れた子供の頃からトヨタ自動車の4番になるまでの野球人生も、沓掛氏にとってかけがえのない「経験の1ページ」となるのだろう。引退を決意した沓掛氏はまだ25歳。いったいこれからどんなキャリアを、そしてどんな人生を歩んでいくのだろうか。

今はどうしている?

4年間の社会人野球、そして4歳から始まった21年間の野球人生にピリオドを打つことを決意した沓掛氏。現在は都内にある営業支援サービスを行うギグセールス株式会社で事業責任者を担当しつつ、個人でバッティング特化の野球オンラインサロンを経営しているのだそうだ。

Q:現在は野球のオンラインサロンを経営していると聞きましたが、具体的にはどのようなことを行っているのですか?

A:バッティング特化のオンラインサロンだね。といっても、ただメンバーのバッティングフォームを指導するというより、バッティングの考え方や一人一人の目標達成へ向けての練習方法を二人三脚で考えたりすることをメインにやってるって感じかな。

草野球ではあるものの、16年間野球を続けている身である筆者としては大変興味深い内容である。そして現在のサロンメンバーも見せてもらったが、クラブチームでレギュラーを目指す小学校からプロ野球選手を目指す社会人など、年齢層は広いものだった。

「君のバッティングフォームも見てあげるよ」と筆者を気さくに誘う沓掛氏。草野球しか経験のない私でも大丈夫かどうかは不安だが、どんな指導を行っているかをこの身で体験してみたいという気持ちも強い。そこで私はもう一つ、こんな質問を投げかけてみた。

Q:実際に生徒さんにバッティングの指導を行うときは、一人の元プレイヤーとしてどんなことを心がけていますか?

A:簡単に言うと「頭を使って正しい方法を見つけ、そして全力で努力する」習慣をつけることだね。さっきも言ったように、メンバーの中にも正しい頭の使い方をしっかり理解できていない人も多い。だからこそ自分は過去の経験を元に、野球で夢を追いかけているメンバーのみんなに正しい頭の使い方、明確なゴールとスケジュールの決め方、そして努力の方法を考える力を身に付けてもらいたいと思っているよ。

筆者は「この考え方は野球以外にも応用できるな」とも感じた。勉強にしても何も計画せずただ参考書を読むよりも、資格試験への申し込みや「〇年後までに〇〇を達成する」といった具体的なゴールを用意する方が、逆算した努力の計画も立てやすいだろう。

実際に沓掛氏本人も、努力の中で頭の使い方の大切さを身を持って体験し、結果を残してきた人間である。その経験をメンバーの皆に伝えることは決して野球の世界だけに止まらず、一人一人の今後の人生の糧となるのではないか。

最後に

Q:最後にGIANT KILLINGの会員の皆さん、そしてこの記事を読んでくださった読者の皆さんに伝えたいことがありましたら、是非お願いします。

A:「正しい方法で本気になる」これが私の伝えたいことの全てです。読者の皆さんの中には昔の僕のように本気でプロ野球選手を目指している人もいれば、今の僕のように野球以外の世界で夢を追い求めて努力している人もいると思います。こんな僕でも出来たのだから、皆さんが出来ないことなんてない。だからこそ、皆さんも本気で挑戦したいことに対しては決して妥協や言い訳をせず、「いつまでに絶対に何をやる」ということを決めて本気で取り組んでほしい。そんな私の思いが伝わればと思います。

「こんな僕でも出来たのだから」この言葉からも沓掛氏という人間の謙虚さが伺える。長年の努力は一言で言い表せられるものではないことは言うまでもない。

「現状から逃げないこと、言い訳をしないこと。絶対に目標を達成すること」言葉にするのは簡単だが、実際に達成するためには強い意志と具体的な計画が必要不可欠である。身近に聞く話題としては、ダイエットや資格勉強などがこの典型例だろう。

バッティング特化のオンラインサロンGIANT KILLINGの代表として、日々目標を追いかける野球選手の指導に励む沓掛氏。生徒一人ひとりに対して技術面の指導だけでなく、「絶対に目標を達成するための頭の使い方や心の持ち方」などメンタル面、そして今後の人生の糧になるマインドの持ち方を教育しているという。

今回の取材を通して、スポーツマンとしての熱血さとビジネスマンとしての論理的思考力を併せ持つ沓掛氏から学べるものは大きいと筆者本人も感じた。この記事を読んだ皆さんの夢や目標は違えど、「明確なゴールを決めて計画を立て、目標に向かって最大限に頭を使って努力する」ことは全てに共通することではないだろうか。

「やらない後悔より、やり切った後悔」という言葉があるように、夢や目標に最大限自分の限界まで努力した結果を受け入れられるだろう。最後に自問自答の意も込めて、この言葉を読者の皆さんへ伝えるメッセージとして残しておく。

"あなたは今、後悔しないほど本気で夢を追い求めていますか?"

シェア

いいね

  • エラーが発生しました。
    時間をおいて再度お試し下さい。