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山田裕貴主演/寺山修司 幻の舞台『海王星』に魂わしづかみ。

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

渋谷のパルコ劇場で絶賛上演中の『海王星』を
観劇してきました。ぐわっと魂をわしづかみにされて
まだくらくら…。故 寺山修司さんが観ていたら
きっと誰よりも大喜びしたんじゃないかなぁ…
とスタンディングオベーションの時にしみじみ思った。
全公演当日券があるそうなので、ぜひ!

PARCO劇場前のデジタルサイネージを撮影したので暗くて悪しからずです!
PARCO劇場前のデジタルサイネージを撮影したので暗くて悪しからずです!

『海王星』は、寺山修司が「天井棧敷」を結成する
前( 1963年)に書き上げつつ2021年まで未上演だった
幻の作品。演出は2021年に 紀伊國屋演劇賞個人賞と
読売演劇大賞優秀演出家賞をW受賞した眞鍋卓嗣さん。

オリジナル楽曲を生演奏するのは、ドレスコーズの
志磨遼平さん。菅田将暉など数々のアーティストに
楽曲提供する志磨氏は20代の頃に「毛皮のマリーズ」
というバンドを組んでいたほど寺山に傾倒していた人。
私も十代の頃に寺山ワールドにはまったくちなので、
『海王星』はたいへん興味深く拝見しました。

寺山修司独特の言霊が息づく台詞は
どれもうつくしい詩のよう。
眞鍋さんの演出も 志磨さんの音楽も
オドロオドロしい寺山の世界観を
いい意味で裏切る軽やかな切れ味があり、
異色の寺山ワールドの化学変化にぞくぞくしました。
舞台上空で生演奏する志磨さんのパフォーマンスも
狂言回しの中尾ミエさんもカッコイイ!!

舞台は戦艦の船底にあるホテル。嵐で船出できない
ホテルで繰り広げられる息子と父とその婚約者を巡る
あやしくせつない祝祭劇。
ネタばれになるので詳しくは言えないけれど…
主演の山田裕貴さんは、父にも父の恋人にも
ピュアな愛を抱く難役を 力まずに体現。
年末にフジテレビ系『志村けんとドリフの大爆笑物語』
変なおじさんを演っていた人とは到底思えないような
ふり幅に改めて驚いた。

日経トレンディ2021年“今年の顔”にも選ばれた
山田さんは NHKドラマ『ここは今から倫理です。』や
毎日放送ドラマ『ホームルーム』など、
いずれも飛び抜けた存在感を放つ教師役で
「おぬしただ者じゃないな!」的オーラが
ほとばしっており…『海王星』を観て、
あらためて山田さんがさらに大化けしそうな
魔性を秘めているのを実感。
演じ切ったラストのカーテンコールでは
まるで魂が抜けたような様子だったけれど
それだけ全身全霊傾けていたんだなぁ…と。

共演する父親役ユースケ・サンタマリアさんの
型にはまらない飄々たる怪演と、父子に愛される
女性役 松雪泰子さんのエイジレスな可憐さも
唯一無二の存在感を放っていました。
寺山ワールドを彩る船上の怪しげな人物たちによる
天井桟敷的なキッチュなパフォーマンスも見所です。

ちなみに、2020年に再生したPARCO劇場は
都心を見晴らすテラスに面しており
幕間の休憩時間にほっと一息つくのにもってこい。

PARCO劇場につながるテラスからは渋谷の夜景が一望
PARCO劇場につながるテラスからは渋谷の夜景が一望

渋谷PARCOの10Fには、「ComMunE」という
眺望抜群のテラスを見晴らすフードスペースもあり
「iKI-BA(ダイナー)」「TAKOBAR(タコス)」の
2つのフードショップが23時までオープンなので
観劇前後に立ち寄るのにおすすめ。

渋谷PARCOの10Fの「ComMunE」
渋谷PARCOの10Fの「ComMunE」

「iKI-BA」で海王星をイメージした期間限定の
オリジナルカクテルを賞味。ピスタチオと抹茶、
ミルク、チョコレートなどの濃厚な味わいは
飲む大人のスイーツといった感覚。美味でした!

PARCO劇場
住所:東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷パルコ 8F
当日券予約の詳細はこちら
 当日券予約専用ダイヤル 0570-20-0339
公演日当日 9:00~11:00まで電話予約受付
  全席指定 13,000円
※1回の電話で1名1公演のみ2枚まで予約可能
※予約受付は予定数になり次第終了。引き続きキャンセル待ち整理番号の受付を行う。※電話予約状況により、劇場で直接販売を行う場合もあり。※支払いは現金のみ。

writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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