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【原宿で浮世絵】江戸の恋バナに胸きゅん@太田記念美術館

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

太田記念美術館で1月30日まで開催中の
『江戸の恋』を観てきました。
「ああ、昔のほんわかした浮世絵ね」と
思っていたのですが…全然違いました! 

江戸の昔も今も 熱い恋に変わりはないようですね。
展示作品は転載できないので、こちらのリンクを
ご覧ください。リンクをチラ見しただけでも
お察しいただけるかと思いますが、
江戸の恋ってスキャンダラスでデンジャラスで
春画ではないけれどかなり淫靡。。

いうなれば これらの浮世絵は
江戸のパパラッチネタだったりするわけですが、
どれも詩情たっぷり、構図も仕草も美しく
ゴシップも優雅なアートに仕上げた絵師たちの
センスにうっとり。(今のゴシップ誌もこんな
感じだったらお洒落なのになあ…)

今展のポスターになっている鈴木春信の「つれびき」(1767)。三味線を奏でているのは、楊貴妃と玄宗皇帝に見立てた男女。寄り沿う頬とうなじ、肩から腰までの密着感が、ふたりの深い関係性を物語っていますね
今展のポスターになっている鈴木春信の「つれびき」(1767)。三味線を奏でているのは、楊貴妃と玄宗皇帝に見立てた男女。寄り沿う頬とうなじ、肩から腰までの密着感が、ふたりの深い関係性を物語っていますね

古典を題材にした美男美女の
胸きゅん2ショットの数々は、
もう少女漫画顔負けの世界。
ややこしい三角関係やジェラシー渦巻く
浄瑠璃、歌舞伎の物語を題材にした作品や
有名な悲恋「八百屋お七」をモチーフにした
作品など、江戸のえぐいゴシップが
見事なまでに美しく昇華した浮世絵の
数々に見惚れました。

巻き紙の恋文を必死に読んだり、
髪を美しく盛ってあいびきに興じる
江戸の女子は、LINEに血眼になったり
着飾ってデートする令和の女子と変わらない。
数百年経っても、年頃の女子はやっぱり女子、
今も昔も恋バナはロマンよね…と妙に納得。

中でも私が心動かされたのが月岡芳年の作品。
絹をさくような女の悲鳴や、白い肌のぬくもり
江戸の町のざわめきや匂いまで立ち上ってくる
ような官能的でドラマティックな芳年の浮世絵は
夢に出てきそうなほど魅力的です。

今展は図録販売がないようですが、既刊の
『月岡芳年 月百姿』(青幻社発行 2530円税込)や
『和装男子 江戸の粋と色気』(太田記念美術館発行
1000円税込)にも今展の展示作品の一部が
掲載されているので興味のある方はぜひ。

今展とは直接関係ありませんが、おみやげに 月岡芳年の「風俗三十二走うるささう 寛政年間処女之風俗」(左)と、歌川芳虎の「家内安全ヲ守十二支之図」(中央)のポストカード(100円税込)、「国芳の浮世絵ふんわりてぬぐい」(660円税込)(右)を購入しました。

ミュージアムグッズのモチーフやデザインにも太田記念美術館さんのセンスと愛を感じますねえ。
ミュージアムグッズのモチーフやデザインにも太田記念美術館さんのセンスと愛を感じますねえ。

「江戸の恋」は1月30日までなので、
原宿に訪れた際はぜひ立ち寄ってみてください。
原宿の喧騒とは無縁の落ち着いた空間で
今も昔も変わらない恋バナの世界を愉しめますよ。

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太田記念美術館
東京都渋谷区神宮前1-10-10
TEL ハローダイヤル:050-5541-8600
「江戸の恋」展
2022年1月30日まで開催
開催時間:10時半~17時半(入館は17時まで)
休館日:1月24、31日
入館料:一般800円 大学生600円 中学生以下 無料

writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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