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カナイフユキ個展「ゆっくりと届く祈り」【東京都渋谷区】

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

渋谷PARCO 地下にある「GALLERY X BY PARCO」で開催されている カナイフユキ個展「ゆっくりと届く祈り」。5/9が最終日です。 この個展は、性別、世代、地域、働き方など、「こうでなくてはいけない」という思い込みや線引きを“あいまい”にしてゆくことにチャレンジする渋谷PARCOのダイバーシティ企画「あいとあいまい」(4/15~5/9)の催しのひとつ。

東京レインボープライド2022」のパレードが行われた4/24には、レインボーカラー身に着けた来場者の姿が目立ちました。

展示作品の多くは イラストレーター、コミック作家 カナイフユキさんの描きおろし作。自身の体験をもとに、現代社会の生きづらさや、社会の多様性を―テーマにした33点のアクリル画には、静謐な中に作家の深淵な思いが宿っているように感じました。

会場の中央には、こんな椅子が。ここに並んで写真を撮ると、たとえそれが赤の他人同士であっても、自然にラブラブ2ショットになりますね。

作品の最後尾に最も大きなセルフポートレイトが。顔の上には疲れている時の頭の中の独白が英語で書かれています。これは作者自身の心の声であると同時に、現代社会に疲弊している私たちの声なのかもしれなません。

「ゆっくりと届く祈り」という個展タイトルには、作者のこんなメッセージが。

「このようにして、すべては変わっていきます。
あなたが大切にしていたものはすべて、形を失い、
あなたの元を去っていきいきます。
そして、新しい何かに変わっていきます。
それが自然なことなのです。
無駄な抵抗はやめて、大きな力に身を委ねましょう。

それでも、気が向いたときには、
マクベスのように宿命に逆らってみるのも良いでしょう。
子供の頃のように、現実を歪める力が、
別の現実をでっちあげる力が、
あなたに残っているのか試してみましょう。

宿命に逆らい、別の現実を作り出そうと、
あなたは筆を取り、絵を描き、物語を書きます。
ゆっくりと、時間をかけて、
届くかどうかもわからない祈りを捧げるように。」

これも作家自身のモノローグであると同時に、個展を観る人たちをそっと鼓舞するメッセージのように感じました。

「あいとあいまい」の一環で、渋谷PARCOの裏に、美輪明宏さんの「愛する権利」と、坂本慎太郎さんの「ディスコって」という詞のART WALLが掲げられていました。こちらも 深いです。

どうぞお見逃しなく!

*****
カナイフユキ個展「ゆっくりと届く祈り」
会場:渋谷PARCO B1 GALLERY X BY PARCO
会期:4/22~5/9 11時~20時
入場料:無料

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writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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