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三連休の〆はオクシブでミゾミゾするアート体験を【東京都渋谷区】

Luna Subitowriter editor(東京都渋谷区)

代々木公園駅のすぐ側のギャラリー
「CONTRAST」で開催されている
イタリア人ビジュアルアーティスト
アンドレア・サモリー氏の個展
「Overgrowth」に滑り込みで行ってきました。

目印は富ヶ谷商店街から1本入った路地奥に見えるほの赤いライティング…。

何も知らないで通りかかると、
ぎょっとしますよね。
これは地下の展示会場への
アプローチなのですが
ちょっとコワいので
先に1階の会場から見ることに。

アンドレア・サモリー氏は1991年にイタリアで生まれ、東京大学卒業後に隈研吾氏や名和昇平氏らに学び、国内外で活躍している気鋭のアーティスト。

今展は現代人の日常生活が インターネット社会と新型コロナに象徴されるような生物学に深く関与している状況にインスピレーションを得ているそう。

3Dスカルプティングや3Dプリンティング、SFXなどの技法を駆使した造形が独特です
3Dスカルプティングや3Dプリンティング、SFXなどの技法を駆使した造形が独特です

このなぞのオブジェはギリシア神話に登場する「キメラ」。生物学では異質同体(同じ個体内に異なる遺伝情報を持つ)という意味でもあります。
回り込んで別角度から見ると、まるでオブジェがメタモルフォーゼしている瞬間を目撃しているような錯覚に…。

背景に展示されているのは「感染」と冠されたシリーズ。皮膚や筋肉、血管、細胞などを想起させるテクスチャーと、蟲のように群がる夥しいカプセル…。

顕微鏡でミクロの世界を覗き見しているようなゾクゾク感と 思わず身震いするようなミゾミゾ感を覚えます。

こちらは2階。

ここにはツヤめく白い「キメラ」が。

偶蹄類っぽい脚に名和昇平氏の鹿をモチーフにした作品のDNAを感じますね。
偶蹄類っぽい脚に名和昇平氏の鹿をモチーフにした作品のDNAを感じますね。

インテリジェンス溢れるアートにこんな言い方はアレですが、めちゃキモかわいい!

これを玄関にどどんと飾れるようなおうちに棲みたいものです
これを玄関にどどんと飾れるようなおうちに棲みたいものです

これは ぱっと見、小豆多めのお赤飯とか鶏ササミみたいですが、今展のテーマである「感染」シリーズのひとつ。

作品の要素になっているのは、作者のアンドレア氏が影響を受けた哲学やアッサンブラージュ理論にSF、ボディホラー、コズミックホラー、マジックリアリズムなどなど。

たしかに、エイリアンで使われたオブジェといわれても納得しちゃいそう。

で、いよいよ地下会場へ。。

近所のお子さまたちが、興味津々で中に入りたそうにしつつ、入口で逡巡しているそうですが、決してお子さまひとりでは入らないように!

なぜって、おとながひとりで入ってもちょっと怖いからです。真っ暗な地下会場では、今展の世界観を映像化したシュールなムービーが流れており、アンドレア氏自身も右目だけ出演しています。

そして奥の空間には、よもや作者自身がここから覗いていたとは!…とのけぞるオブジェが。

異常気象、政治問題、テクノロジーの進化と退廃…ディストピアとユートピアの情報が混線する現代社会の課題にコミットした今展は、ビジュアルのインパクトもさることながら、非常に考えさせられる深いものがありました。

作品に使われている素材も置いてあり、触れることもできます
作品に使われている素材も置いてあり、触れることもできます

三連休の〆に、ぜひオクシブで唯一無二のアート体験を。

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andrea.samory 個展「Overgrowth」
会期:10/21 (土) – 11/5 (日)
月 – 金:15:00 – 20:00
土・日・祝:13:00 – 20:00
休館日:火曜日
入場料:無料
会場:CONTRAST 東京都渋谷区富ヶ谷1-49-4

writer editor(東京都渋谷区)

奥渋在住20余年。旅、アート、インテリア、ウエルネス、映画、猫など多様なメディアに携わる文筆家。

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