名古屋市北区、地下鉄黒川駅から北へ徒歩十分ほどの場所に、５０年もの長きにわたって愛される醤油ラーメンの名店があるのをご存じでしょうか。
昭和47年創業の『陽龍』さん。
実は約半年ほど前から休業されており、近くを通るたび、「今日こそ再開してはいないだろうか」と気になっていました。

休業中に熱いメッセージが次々と

休業当初、閉じたシャッターに貼られていたのは、当面の休みを知らせる一枚の貼り紙でした。

ある日、貼り紙が増えていることに気づきます。

近づいてみると、休業を知ったお客さんから手書きの激励メッセージ！

など、陽龍さんを気遣う温かい言葉ばかり。
ラーメンがおいしいだけでなく、大将の人柄なども含めて愛されているのがよくわかります。
メッセージに応えた陽龍さんからの返信もあり、「再開を期待していいんだ！」とほっとしたのを覚えています。

そして、また別のある日、貼り紙はさらに増えていました。

お子さんが書いたと思われるラーメンのイラスト。
いつも家族で通っていたのでしょう。
すでに『ラーメンと言えば陽龍』という思い出のお店なんですね。きっと大人になっても記憶に残る特別な場所なのだと思います。
じんわりと胸が熱くなりました。

待望の復活！

そんな陽龍さん、一週間ほど前から、ついに営業を再開されました。
シャッターが開いているのを見るのは、ほんとうに久しぶり。

ラストオーダー直前にお邪魔してしまい、日を改めようとすると「いいのよ。食べてって～」とお母さんの優しいお言葉。
10席ほどのカウンター席は、ご家族連れもいらっしゃれば、カップル、学生さん風の方、長年の常連さんらしき男性と、老若男女さまざまなお客様でほぼ満席でした。

メニューは3択

メニューは通常のラーメン、特製（肉たっぷり大盛）、肉なしの3択。ラーメンの味だけで勝負と言わんばかりの潔さです。
サイドメニューはライスしかありません。

特製ラーメンが名物ですが、遅い昼食だったこともあり、普通のラーメンをお願いしました。
待っている間、高い位置に壁付けされたテレビを眺めながら、古き良きTHE・昭和な雰囲気を堪能。大釜から立ち上る湯気や、換気扇の音さえ味わい深く感じました。
静かにラーメンを待つ他のお客様も、陽龍さん再開の喜びを噛みしめているかのように見えましたよ。

陽龍の醤油ラーメンは懐かしい味

10分ほどでお待ちかねの一杯が到着。
見た目の映え要素は少ないですが、これがいいんです。
写真を撮るのもそこそこにして、『いただきます！』

シンプルで、あっさりした王道の醤油ラーメン。どこか懐かしくもある優しい味です。
冷えた体に熱いスープが染みわたりました。
パツパツした麺の歯切れのよさ、もやしの歯ごたえ、チャーシューのうま味をじっくり味わいながら、スープまで一滴残らず飲み干しました。
待ち望んだ一杯はやはり格別の美味しさでした。

店内に残された貼り紙

食べ終えて店を出るときに、休業中のシャッターに貼られたあのメッセージが目に留まりました。
ここに残されていたんですね。お客さんの熱い思いが励みになったんだろうなとほっこりしました。

愛され続ける醤油ラーメンの名店『陽龍』さん、長年通うコアなファンが多いのというのも納得です。
これからも、無理なく営業を続けていただきたいと思います。