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【相模原市】相模原出身の生きものカメラマン松橋利光さんにインタビューしてきました!

みいこライター(相模原市)

相模原市出身である「生きものカメラマン」の松橋利光さん。
写真家として、おもに両生類や爬虫類、水辺の生きものを撮影しています。
江の島水族館や相模川ふれあい科学館での勤務を経て、数々の児童書を出版する傍ら、図書館や小学校の放課後教室で生きものの講演会も多数開催。
これまでに出版したおもな児童書には、「爬虫類・両生類の意外な素顔」「きみだれ?」「てのひらかいじゅう」「その道のプロに聞く生きものの持ちかた」などがあります。
また、日本テレビ「世界一受けたい授業」では、生きものの持ちかたを解説するなど、多方面でご活躍されています。

今回は、生きものカメラマンとしてご活躍されている松橋利光さんのヒストリーインタビューです。
松橋さんが撮影する生きものは、なぜあんなに愛くるしい姿を魅せてくれるのでしょうか。
インタビューを通してそのヒミツが分かったような気がします。
ぜひ、最後までご覧ください。

取材ロケーションご協力【相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら】
取材にあたり、松橋利光さんのカメラマン人生のスタート地点である相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはらさんにご協力をいただきました。
この場をお借りして、心よりお礼を申し上げます。

松橋利光さんヒストリーインタビュー

―― 生きものに魅力を感じたきっかけはどんなことでしたか?

幼少期に住んでいた自宅の近くに原っぱが広がっていたんです。
そこでは、バッタなどの生きものが捕まえ放題で、毎日のように遊びに行っていました。
生きものとの出会いはその原っぱがきっかけですね。

生きものカメラマン 松橋利光さん 「たくさんの子どもたちに、生きものの面白さや可愛らしさを伝えたい」インタビューの端々では、生きものと子どもが大好きであるお人柄が伝わってきます
生きものカメラマン 松橋利光さん 「たくさんの子どもたちに、生きものの面白さや可愛らしさを伝えたい」インタビューの端々では、生きものと子どもが大好きであるお人柄が伝わってきます

小学3年生ごろになると、放課後はもっぱら道保川公園が遊び場で、水生昆虫、イモリやカエルを捕まえては、家に連れて帰って飼っていました。
そしてある日、道保川公園の沼地で見つけたカエルが衝撃的に可愛かったんです。
そこから生きものにハマっていくことになります。
自転車のカゴに捕まえたカエルを5・6匹入れて、カゴから飛び出さないようにしながら自宅に持ち帰ったりね(笑)

―― え…!?カエル5・6匹って! ご家庭の反応はどうでしたか?

生きものを連れて帰ってきて飼うことに対しては、特段何も言われなかったです。
ただ、アオダイショウを捕まえて飼っていたときはさすがに「逃がしてきなさい」なんて言われたけどね…(笑)
アオダイショウも、なかなかかわいい生きものなんですよ。

―― 生きものカメラマンとしての人生はいつからスタートしたのですか?

相模川ふれあい科学館に勤務していた頃、カエルを捕まえてきては、館内の空いているスペースに水槽を並べて、勝手に「カエル展」を開催していたんです。
その水槽につける解説板を作成するために、“自分でカエルの写真を撮り始めた”というのが、カメラマンとしてのスタート地点だったかもしれませんね。
そうこうしているうちに、ご縁がつながって(生きものを撮影する)カメラマンとしての仕事に就くことになりました。

―― 現在は主にどのような活動をされていますか?

年に5~6回ほど沖縄や奄美を訪れ、両生類・爬虫類の生きものを撮影したり、徳之島や奄美で子ども向けの「生きもの教室」を開いています。
それから、主に東京になりますが、千葉・埼玉・神奈川で、放課後教室を開いて子どもたちに「生きもののはなし」をする活動をしています。

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 奄美のカエルに心酔するきっかけとなった 「ハロウェルアマガエル」 
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 奄美のカエルに心酔するきっかけとなった 「ハロウェルアマガエル」 

―― 生きものカメラマンのやりがいはどんなところにありますか?

これまで、生きもの教室を通じてたくさんの人たちとの出会いがあったわけですが、
「小学生の頃に初めて買ってもらった本が“ずら~りカエル”なんです!」なんて言われたり、「“てのひらかいじゅう”もってるよ!」なんて言われると嬉しいですよね。
もともと、有名になりたいとか大きな賞をとりたいという思考はなく、「自分がほしいと思っていた本を作りたい」そして「その本が必要な人の手に渡ってほしい」という思いの方が強かったので、こういった出会いがあるとやりがいを感じます。

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 子どもに大人気の著書「てのひらかいじゅう」
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 子どもに大人気の著書「てのひらかいじゅう」

―― 生きものカメラマンとしての活動で苦労や難しいなと思うときはどんなときですか?

実は、そういうふうに思ったことがあまりないんです。
日々楽しいと思うものを撮って、それがまとまった頃に本にする。
わりと、自分で思い描いていることは、それとなく形になってきました。
そういう意味では、楽しく充実したカメラマン人生が送れているのかもしれませんね。

――「やめたいな…」なんて思ったことないんですか!?
やめたいなと思うことはなかったですが、ただ漠然と“50歳になったらやめようかな“と思っていました。
ところが、50歳を越えた今、日々すごく楽しい展開になっているので、これからもまだまだカメラマンとしての人生を楽しめそうです。

―― カエルの作品が多いことから、「カエルカメラマン」と呼ばれたりもしていますが、松橋さんの推しカエルはありますか?

奄美大島にいる「オットンガエル」のオスなんてすごく魅力的ですよ。
かっこいいし、腕なんてムキムキで!
繁殖生態も少し変わっていて、通常のカエルは繁殖期になると我こそはとメスに寄っていきますが、オットンガエルのオスは、メスから寄ってくるまでじっと待つんです。

―― カエルも生態がさまざまのようですね!

そうなんです。
カエルってなかなか面白い生きものですよ。
姿かたちも可愛いですし、生態もそれぞれで、とても観察しがいがあります。
オットンガエルに関しては、最近まで本当に情報が少なくて、実際に時間をかけて観察したり、生態を写真に残したりと、”これから”の部分がたくさんありそうです。

Instagramより
Instagramより

―― 相模川ふれあい科学館勤務時代の印象深い思い出はなんですか?

たくさんあるのですが、やっぱり一番の思い出は、自分たちで生きものを探しに行き、それを展示したり、写真を撮ったり、解説をつけたり…
そういった日々の活動が本当に楽しかったです。

「両生類水槽」は一番思い入れのある場所
「両生類水槽」は一番思い入れのある場所

―― 松橋さんの仕事場には何種類の生きものがいますか?

亀が5匹、カエルが6匹、ヘビが2匹、トカゲの仲間が5匹、サソリが30匹くらいいます。

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より カメさん日向ぼっこ中~♪
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より カメさん日向ぼっこ中~♪

植物も好きなので、多肉植物もたくさん育てていますよ。「バオバブ」は種から育てたりして。

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 松橋さんの「大好き」が詰まった窓際
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 松橋さんの「大好き」が詰まった窓際

―― 生きものを “育てること”がお好きなんでしょうね

以前、娘に「父さんはお世話をする星のもとに生まれた人だね」と言われたことがあるんです。
生きものも、植物も、子どもも…
“お世話をすること“が好きなのかもしれませんね。

―― 生きものと触れ合ってきた中で、特に印象深い出来事(思い出)はなんですか?

明るい思い出でいえば、子どもの頃のヒキガエルとの出会いになりますが、悲しい出来事としては、縁あって我が家に来た「うさぎ」が思いのほか早く亡くなってしまったことです。
情けなくなるくらい悲しくて、自分でもこんなに悲しむなんて意外でした。

―― それにはどういった背景があったからなのでしょうか

おそらく、初めて家族みんなでお世話をした生きものだったからなんでしょうね。
それまでたくさんの生きものを飼育してきて、当然、生きものの死もそれなりに経験してきたわけですから、生きものの死と向き合う免疫はあると思っていたんです。
それが違った。ものすごく悲しくて。
この出来事がきっかけで生きものに対する意識が変わり、それ以降、撮影した生きものは一層可愛く撮れているように思います。

Instagramより
Instagramより

―― 松橋さんが撮る生きものは、愛らしくて何かを話しているような表情をしていますよね

そうですね。
生きものが本当に大好きなので、「次はこんな行動をするんじゃないかな」なんて思いながらシャッターをきっていくんです。
“会話を交わしているような表情を撮る”そんな瞬間を逃さない、それが自分の特技でもあります。

Instagramより  「かわいく撮れた?」なんて聞いているみたい
Instagramより  「かわいく撮れた?」なんて聞いているみたい

―― 松橋さんは相模原市に長く住んでいますが、相模原市の好きなところはどんなところですか?

なんといっても、自然が身近にあるところじゃないでしょうか。
生きものって本当の山奥に行くよりも、人里にいるものなんです。
相模原は田んぼもあるし、自然がたくさんあって素敵な場所だと思います。
生きものカメラマン20周年のときには、相模原市の自然の中にいる生きものを撮影した「里のいごこち」という写真集を出版しています。
自然が豊富というのは本当に素晴らしい環境だと思います。

―― プライベートでの趣味や息抜きはありますか?

実は料理も好きです。
料理は、ほんの30分や1時間でできますよね。
「何かを作りたい」という創作欲のはけ口になっています。

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より これはもう…レストラン…ですよね
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より これはもう…レストラン…ですよね

―― そうですよね!松橋さんはお料理もお上手ですよね!

適当に食材を買い込んで作る程度ですが、料理もなかなか楽しくて。
とにかく、家にいるときもほぼじっとしていることがありません(笑)
植物の植え替えをしたり、あれをこうしようかな、これはどうしようかな…なんて考えながら過ごしているので、座っている時間が少ないです。
やりたいことがたっくさんあるんです。

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 作り方は日記で♪
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より 作り方は日記で♪

―― 生きものカメラマンとして、今後どのように活動展開をし、何を残していきたいですか?

これまでの作品を使いながら、「生きものの面白さ」をたくさんの子どもたちに伝えていきたいと思っています。
そして、生きものに携わるお仕事に就きたいと思っている子どもたちに、希望がもてるような道筋を残していけたらいいなという思いもあります。

―― ぜひ観察してみて!という生きものはありますか?

野鳥は誰でも手軽に観察できる生きものなので、おすすめです。
スズメだってよく観察すると面白いですよ!
「何を食べているのかな?」「何を見ているのかな?」なんてじっくり観察してみてください。
野鳥は、一年を通して楽しむことができますし、双眼鏡など大げさなものもいらないです。
自然の中で上を見上げてみてください。
きっと、鳥が会いにきてくれると思います!

生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より

―― 相模原市のみなさんへ、メッセージをおねがいします!

相模原は、本当に自然が豊富なところです。
そういった素晴らしい環境を活用して、子どもと大人が一緒になって自然を楽しんでくれたらと思います。

Instagramより
Instagramより

「きみに夢中!」

幼少期の生きものとの出会いから「生きものカメラマン」としての人生を歩むまでのストーリーには、どんなときも生きものを愛おしく思う気持ちがつよくあったようです。

“自分の好きを仕事にする”

簡単なようで実は難しいこのプロセスを、松橋さんはいつだってポジティブに向き合ってきたといいます。
その前向きでいられる“つよさ”はなんだろう…
取材を終え、そんなことを考えながら帰路につきました。

結論、
“夢中になれることがある”のは、自分を信じるチカラにつながるということ。
”夢中になること”と”信じるチカラ”は何よりもつよい!

松橋さんが撮る生きものはみんな「愛くるしい」姿をしています。
それはきっと、「きみに夢中!」という松橋さんの思いが生きものに伝わっているからなのかもしれません。
いやいや、きっとそう!

 生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より  松橋さんが撮影する生きものはみんな“愛くるしい“表情をしています。
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」より  松橋さんが撮影する生きものはみんな“愛くるしい“表情をしています。


松橋利光さん、たくさんの質問にお答えいただき、ありがとうございました!

★松橋利光さんの活動や作品をもっと知りたい★
1969年、神奈川県生まれ。生きものカメラマン。
江の島水族館や相模川ふれあい科学館勤務を経て1996年からフリーランスのカメラマンとして活動。
著書:1996年「爬虫類・両生類の意外な素顔」初版、以降数々の児童書を出版
※主な出版物はウィキペディアなどでご確認いただけます。
メディア出演:日本テレビ「世界一受けたい授業」

愛らしい生きものの姿、美味しそうなお料理、日々の情報は下記URLでご覧いただけます♪
生きものカメラマン松橋利光の「ときどき日記」
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ライター(相模原市)

相模原市で生まれ、相模原市で育ち、今もなお相模原市で生活を楽しむフリーライター。昔も今も変わらない相模原市の良いところ、なつかしい風景、お店などなど…大好きな相模原市の楽しい面白い懐かしい情報を発信します。

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