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【福井市】江戸時代からの婚礼衣裳がずらり。郷土歴史博物館「ジャパニーズ・ウェディング」開催中!

Mioふくいまちガイド(福井市)

人生のハレの日に着る婚礼衣裳。花嫁衣装や参列者の服装を見るのも結婚式のたのしみの一つですよね!

福井市郷土歴史博物館で開催中の令和4年度秋季特別展「寿ぎのきもの ジャパニーズ・ウェディング ー日本の婚礼衣裳」では、全国から集められた貴重な婚礼衣裳を観ながら、江戸時代から近代初期にかけて時代によって変化する結婚式の移り変わりや、婚礼衣装の変遷を学ぶことができます。

豪華絢爛な衣裳を見ているだけでもワクワク♪そして見応えありの本展をレポートします!

そもそも日本の婚礼のはじまりは?

日本で婚礼の様子が知られるのは平安時代半ば以降。婿が夜中に意中の女性の家に訪れて婚姻する“婿入り婚”がほとんどでした。その後、鎌倉時代には武家が台頭し、女性が男性の家に入る“嫁入り婚”が行われるようになり、やがて公家や庶民にも影響し、結婚式のときには華やかな婚礼衣裳を着ることが主流となったそうです。

さて、ここからは本展の見どころをご紹介します!

※写真はブロガー内覧会にて特別に撮影させていただきました。一部展示コーナーを除いて、撮影は禁止されています。

越前松平家から紐解く、華やかな江戸時代の武家の婚礼

まず1階 江戸時代の婚礼コーナーの最初には、福井藩主 越前松平家伝来の婚礼衣裳が展示されています。男性用の衣裳のサイドを彩る白と青の打掛け。一見、華やかで花嫁がお色直しのときに着たのかなと思いますよね。

生地の種類から歴史を辿ると、なんと白は花嫁に付き添う女中が、そして青はそれよりも下級の女中が着た婚礼衣装だそうです。さすが松平家の婚礼衣装!縁起の良い鶴や松が描かれ、とても美しい打掛けです。

第1章では、なぜこれが女中の衣裳だと判明したのかを紐解くと共に、江戸時代の武家の婚礼がどういったものだったのかを知ることができます。

江戸時代の町人はお色直しがお好き!?

身分社会だった江戸時代には、武家と町人の婚礼には違いがあり、経済力のある富裕な町人のみが簡略的な婚礼をあげることができたそうです。そんな中でも町人の婚礼で重要視されたのが「宴会」。結婚の成立を広く周知すると共に、ゲストをおもてなしし、結婚後の友好関係を構築することが重んじられました。そんな宴席でのたのしみの一つが「お色直し」です。

町人の婚礼衣裳では「白地・赤地・黒地」の3色が主流でしたが、富裕な町人女性の婚礼衣裳に「青地」が登場しました。宴席において白・赤・黒を着た後に、続けて青を着用したと考えられています。披露宴で3回お色直しをして、ゲストの方をもてなしたんですね!

江戸時代には手染めで着物を染色していて大変高価だった婚礼衣装を3回も着替えるとは、婚礼は一大イベントとして位置付けられていたことが伺えます。

見どころ講座などの展覧会ツアーもあります!詳しくは福井市郷土歴史博物館まで
見どころ講座などの展覧会ツアーもあります!詳しくは福井市郷土歴史博物館まで

子どもの着物にも注目

1階通路には江戸時代から明治時代以降の子どもの着物が展示されています。眺めていると、背中に紐が付いている着物も。なぜ紐が付いているのかも解説されています。こちらのコーナーも要チェックです!

カラーもデザインもバリエーション豊富!明治時代以降の婚礼

2階の展示室には、明治時代以降の婚礼衣装がずらりと並んでいます。まず華やかな白無垢衣裳がお出迎え!こちらの婚礼衣裳のみ写真撮影が可能です。展覧会の思い出に、ぜひ写真を撮ってくださいね。

明治時代以降の婚礼衣裳は、特に化学染料の導入と自動織機による生地の改良により発展し、さらに身分制度が取り払われたことから大きく変化を遂げました。白無垢や赤無垢を着ずに、青地や黒地などの着物を着るのも一般的となったそうです。

“ジャパニーズ・ブラック・フォーマル”の文化も

明治末から昭和前期にかけては婚礼衣装は黒地の振袖が主流となりました。染色技術が上がり黒地が安定的に供給できるようになり、婚礼をあげる階層も明治時代から広がったため経済状態に見合った経費で婚礼を上げようと他のカラーの衣裳を省略し、黒を着るようになったそうです。また、欧米の「ブラックフォーマル」の影響とも言われています。

現代でも黒地は洗練された雰囲気を醸し出し、セレモニー衣裳の定番カラーとして人気がありますよね!

日本の豪商 田中家の豪華絢爛な婚礼

江戸時代に信濃・須坂藩(長野県)の御用を務めた豪商 田中家の婚礼衣装など大正時代以降の裕福な子女らが着用した婚礼衣装も見どころです。

そして、婚礼と言えば「婚礼料理」も。文政5年(1822年)に行われた須坂田中本家の4代当主の婚礼料理の復元模型も展示されています。

おめでたい席にはやっぱり「鯛」!!豪勢な婚礼料理に目を奪われました。

「ジャパニーズ・ウェディング」展から知る、日本の歴史と文化

最初は綺麗な着物が見れて嬉しいなと軽い気持ちで観ていたのですが、婚礼衣裳がこんなに時代の変遷に密接に繋がっていたとはびっくりで、感動しました!着用者の違いや時代の変化に着目して観覧してみてください。

今回は前期の内容をお届けしましたが、11月1日(火)から開催される後期ではまた大幅な展示替えがあるとのこと。こちらもたのしみです!

また、本展の講演会やトークショー、ワークショップも開催しています。福井市郷土歴史博物館HPをご覧ください。

特設サイトはこちらです。

https://japanesewedding.exhibit.jp/index.html

是非「ジャパニーズ・ウェディング」展を通して、婚礼衣裳から読み取る日本の歴史と文化に触れてみてください。

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秋季特別展【ジャパニーズ・ウェディング】

〈場所〉

福井市郷土歴史博物館

住所:福井市宝永3丁目12-1

TEL:0776-21-0489

〈開催日時〉

前期:10月8日(土)~10月30日(日)

後期:11月1日(火)~11月23日(水・祝)

※前・後期で大幅な展示替えがあります。

※10月31日(月)は展示替えのため休館します。

〈開催時間〉

午前9時〜午後7時

※11月6日以降は午後5時閉館

※入館は閉館の30分前まで

〈入館料〉

一般900円/70歳以上700円/高校・大学生600円/中学生以下無料

・身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方とその介助者の方は無料。

・特別展観覧券で、博物館平常展示および養浩館庭園もご覧になれます。

◆リピート割引 チケットの半券持参の方は観覧料が500円になります。

◆きもの割引 きものをお召しの方は観覧料が100円引きになります。

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ふくいまちガイド(福井市)

福井駅前生まれ・育ち・現在住。日常で見つけた大好きな福井のまち情報をお届けします!お酒好き。

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