相続人申告登記って何?相続登記しなくてもこれさえやっておけばOK!
いよいよ相続登記の義務化が始まりました。
「祖父のままになっている田舎の土地、どうにかしなきゃ。」
「兄弟と疎遠で相続登記ができないけど困ったな。」
そんな相続問題を抱えている方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は相続登記の義務化に合わせて新たに設けられた相続人申告登記制度をご紹介します。
そもそも相続登記の義務化とは?
ではまず、相続登記の義務化の内容についておさらいしてみましょう。
相続登記の義務化とは、不動産の名義を亡くなった方から相続人の名義に変更する手続きの義務化を言います。正当な理由もなく相続登記を怠った場合、10万円以下の過料の対象となります。
相続登記はケースによっては自分で手続きするのが困難だったり、高額な登録免許税がかかるなどのデメリットがあり、ネックとなっています。
相続人申告登記さえしておけば義務は果たせる
相続登記は他にもネックとなる点があります。
<相続登記を行うにあたり問題となる例>
- 相続人間で誰が不動産を相続するか話がまとまらない
- 連絡の取れない(もしくは取りにくい)相続人がいる
- 相続人が多すぎて戸籍を集めるのに手間がかかりすぎる
相続登記は自分が相続人になったことを知ってから3年以内に行う必要がありますが、様々な事情で相続登記がすぐにできない方も多いでしょう。
この場合、法務局に相続人であることの申出をすれば、期限内に相続登記ができなくても義務を果たしたことになります。これが相続人申告登記です。
相続人申告登記のメリット
まず、相続人申告登記は無料ですることができます。また、提出する書類も少なくて済みます。ケースにもよりますが、亡くなった方と同じ戸籍に入っている方であれば、自分の戸籍謄本と申請書を法務局に持っていくだけで申出ができます。
<相続人申告登記のメリット>
- お金がかからない。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍の取得が不要。
- オンラインでも手続きができる。
相続人申告登記のデメリット
ただし、相続人申告登記にはデメリットもあります。
まず、相続人申告登記の申出をすると、相続人の氏名と住所が登記簿に登記されます。登記の内容は誰でも見ることができるため、自分の氏名住所を第三者に知られる可能性があります。
また、相続人申告登記をした後に遺産分割協議がまとまった場合には、改めて遺産分割協議を踏まえた相続登記をする必要があります。もし、亡くなった方の不動産を処分したいとなると、相続人申告登記では足りず、相続登記をしないと処分はできません。
<相続人申告登記のデメリット>
- 相続人の氏名、住所が公示される。
- 相続人全員からの申出が必要(申出は各自、もしくは代表者がまとめてできる)。
- 遺産分割協議がまとまったら相続登記が必要。
どうしても遺産分割協議がまとまらない場合は相続人申告登記を!
相続人申告登記は、相続登記に比べて簡単にできる手続きですが、あくまで義務を簡易に果たす制度なので、相続登記に代わるものではありません。
そのため、早期に遺産分割協議がまとまるようであれば、相続人申告登記はせずに通常の相続登記をすることをおすすめします。ただ遺産分割協議が長引きそう、とりあえず相続登記の義務を果たして心配事から解放されたい、という方は相続人申告登記を検討しても良いでしょう。
相続人申告登記は専門家に依頼することも可能です。また、法務省のHPにも書類の書き方について詳しく掲載されています。検討される方はチェックしてみてくださいね。
法務省:相続人申告登記について