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マイクロツーリズムにぴったり! 謎の飛び地・岡上エリアに広がる懐かしの風景を散策(川崎市麻生区)

ねこさとPライター&エディター/ロコっち新百合ヶ丘編集長(川崎市)

麻生区の岡上(おかがみ)というエリアをご存知でしょうか? 

岡上は、横浜市青葉区、東京都町田市に挟まれた飛び地で、住所は麻生区でありながら最寄り駅は町田市の鶴川駅という不思議なエリアです。

この謎めいた場所・岡上に足を踏み入れる機会は新百合ヶ丘住民でもなかなかないのですが、先日、岡上在住の方が開催する岡上散策ツアーに家族で参加してきましたので、その様子をお届けしようと思います。

岡上に関するロコっち新百合ヶ丘の記事はこちら 10年後の麻生区を考える『あさお希望のシナリオプロジェクト』が進行中!

訪れたのは、桜が散り始めた4月上旬。鶴川駅前で主催の岡上ZIONさんと待ち合わせをし、まずはルートを確認。この日は、田園風景→岡上神社→里山→坂道→東和楼(お昼ご飯)→かじのや→あかおぎを、約5時間かけて巡ります。

マーカーで塗られている道を散策。岡上をグルッと一周するイメージですね。
マーカーで塗られている道を散策。岡上をグルッと一周するイメージですね。

こちらが岡上ZIONさん。会社勤めをしながら、週末には里山の保全活動をお手伝いしているそうです。ちなみに2児のパパでもあり、無類のレゲエ好き。

多摩区で育ったそうですが、岡上に移り住み、このエリアの素晴らしさを日々感じているそうです。
多摩区で育ったそうですが、岡上に移り住み、このエリアの素晴らしさを日々感じているそうです。

まずは畑やいちごのビニールハウスのある田園へ向かいました。鶴川駅からほんの少し歩いただけで広がるのどかな風景にビックリ! 

耳をすますと「メーイちゃ〜ん!」というおばあさんの声が聞こえてきそうな田園風景。
耳をすますと「メーイちゃ〜ん!」というおばあさんの声が聞こえてきそうな田園風景。

都会と田舎が混在し、不思議な気持ちになるのも岡上の魅力。
都会と田舎が混在し、不思議な気持ちになるのも岡上の魅力。

岡上小学校横の小道を抜けると辿り着く岡上神社。小学校を見下ろすと、元気なシニアの方々が校庭でゲートボールをしている姿が見えました。

初詣の時期には行列もできる岡上神社。
初詣の時期には行列もできる岡上神社。

シニアの皆さんがゲートボールをする姿も、どこか懐かしい風景ですね。
シニアの皆さんがゲートボールをする姿も、どこか懐かしい風景ですね。

続いて美しい桜のトンネルをくぐりながら山をくだります。途中、かわいい直売所や、つくしを発見。

ギリギリ桜が咲いている時期だったので、より自然が楽しめました。
ギリギリ桜が咲いている時期だったので、より自然が楽しめました。

この日はまだオープンしてなかったのですが、どんな野菜が並ぶのか気になった2号店。
この日はまだオープンしてなかったのですが、どんな野菜が並ぶのか気になった2号店。

新百合ヶ丘周辺ではあまり見られなくなったつくしもチラホラ。岡上ZIONさんが歩きながら植物の説明もしてくださいました。
新百合ヶ丘周辺ではあまり見られなくなったつくしもチラホラ。岡上ZIONさんが歩きながら植物の説明もしてくださいました。

そして、収穫体験ができるアグ里(り) やまかげを通り過ぎる時に農園の方に「たけのこ掘ってく?」と声を掛けていただき、せっかくなのでたけのこ掘りを体験(有料です)。

こちらの観光農園は、たけのこ狩りのほかに、ブルーベリー狩り、柿のもぎ取り、みかん狩りなど、1年を通して収穫体験ができるそう。
こちらの観光農園は、たけのこ狩りのほかに、ブルーベリー狩り、柿のもぎ取り、みかん狩りなど、1年を通して収穫体験ができるそう。

大きめのたけのこ2本をゲットし、その日の夕飯は、たけのこご飯&お味噌汁に決定!
大きめのたけのこ2本をゲットし、その日の夕飯は、たけのこご飯&お味噌汁に決定!

大豆栽培をしている畑の横を通り抜け、NPOかわさき自然と共生の会が保全活動をしている里山へ。

岡上といえば、かじのや納豆ですよね。大学や企業と連携し、地元で大豆の栽培をしているそうです。
岡上といえば、かじのや納豆ですよね。大学や企業と連携し、地元で大豆の栽培をしているそうです。

「いこいの広場」というスペースに設けられた舞台は以前は木がくちてボロボロだったそうですが、クラウドファンディングの支援金で修繕したそうです。

修繕された舞台の上ではしゃぐ子どもたち。コロナ前はこの広場で絵描きのイベントなども行っていたのだとか。
修繕された舞台の上ではしゃぐ子どもたち。コロナ前はこの広場で絵描きのイベントなども行っていたのだとか。

木を切り出して作られたイスに座りながら ♪別に君を求めてないけど~ と歌い始める息子。確かにそんな使い方もできますね。
木を切り出して作られたイスに座りながら ♪別に君を求めてないけど~ と歌い始める息子。確かにそんな使い方もできますね。

いこいの広場で一休みしたあとは、木の枝でクモの巣をはらいながら、さらに山奥へ進みます。戦いごっこを始めた息子に対し、しなやかに曲がる枝を手に「この枝は曲がるから太い枝で叩いても折れないよ」と諭す岡上ZIONさん。その言葉を聞いて、まるで人生のようだなと物思いにふける私。

クマが出てこないかドキドキしながら進んでいきます。
クマが出てこないかドキドキしながら進んでいきます。

我が家のきかん坊にも笑顔で対応してくださる岡上ZIONさん、優しい・・・。
我が家のきかん坊にも笑顔で対応してくださる岡上ZIONさん、優しい・・・。

と、山頂付近で土を耕している女性に遭遇しました。何をしているのか尋ねると、漆を植えているとのこと。なんとこの方、有名な漆作家の伊良原満美さんでした! 偶然、著名人に出会えるのも岡上マジックなのでしょうか。

NPOの方に「その辺を使いなよ」と言っていただき、ツリーハウスを作るために漆を植えているという伊良原さん。
NPOの方に「その辺を使いなよ」と言っていただき、ツリーハウスを作るために漆を植えているという伊良原さん。

山をくだった先に待っていたのは、岡上西町の坂道。この辺りの坂には1番、2番と番号がつけられているそうで、坂マニアがわざわざ撮影に訪れることも。

体感的に45度はある坂道。中には階段のみの坂もあり、もし自分がこのエリア担当の宅配業者だったら・・・と考えるとドキドキしてきました。
体感的に45度はある坂道。中には階段のみの坂もあり、もし自分がこのエリア担当の宅配業者だったら・・・と考えるとドキドキしてきました。

岡上ZIONさんのお知り合いで建築家の杉浦百合子さんにも偶然お会いし、ご挨拶をさせていただきました。5月には「季(とき)の庭」と名付けられた約300坪の庭でオープンガーデンとクラフト作家展を開催する杉浦さん。入場は完全予約制でワークショップや販売会もあるので、気になる方はぜひチェックを。

建築士であるご主人のアトリエと、犬のトリマーであるお嬢さんの仕事場も併設。
建築士であるご主人のアトリエと、犬のトリマーであるお嬢さんの仕事場も併設。

一見、自然に生えているような草花ですが、景観など全て杉浦さんが計算して植えたものなのだとか。
一見、自然に生えているような草花ですが、景観など全て杉浦さんが計算して植えたものなのだとか。

こどもと一緒に写っているのが杉浦さん。フォトスポットにもなるこちらのオブジェは、ご主人の手作り。
こどもと一緒に写っているのが杉浦さん。フォトスポットにもなるこちらのオブジェは、ご主人の手作り。

のどかな風景を抜け、中華料理店「東和楼」で昼食をとったあとは、最後にかじのや納豆の販売所・豆の蔵と、駄菓子も販売されている酒屋あかおぎへ。途中、謎に人形が並んでいる駐車場があり、カオスな面も覗かせる岡上。

午後には売り切れていましたが、採れたて野菜が並ぶ直売所も。
午後には売り切れていましたが、採れたて野菜が並ぶ直売所も。

田んぼの横を駆け抜ける小田急線がカッコイイ!
田んぼの横を駆け抜ける小田急線がカッコイイ!

我らがかじのや納豆の販売所「豆の蔵」。お隣には工場もあり、チラッと外から作業風景がのぞけました。
我らがかじのや納豆の販売所「豆の蔵」。お隣には工場もあり、チラッと外から作業風景がのぞけました。

地元の皆さんにはお馴染みの赤荻酒店。子どもは駄菓子を買い、大人はビールサーバーから注ぎたての生ビールを夏になると立ち飲みするのが定番だそうです。
地元の皆さんにはお馴染みの赤荻酒店。子どもは駄菓子を買い、大人はビールサーバーから注ぎたての生ビールを夏になると立ち飲みするのが定番だそうです。

謎の人形が並ぶ某アパートの駐車場。種類別にきれいに陳列されていて、並べた人の几帳面な性格が出ていました。
謎の人形が並ぶ某アパートの駐車場。種類別にきれいに陳列されていて、並べた人の几帳面な性格が出ていました。

予定通り約5時間で全てのルートを見終え、最後に鶴見川沿いの桜の前で記念撮影。

岡上ZIONさん、ありがとうございました!

5時間歩き続けた子どもたちも、その時は「疲れた!」と言いながらも、とても楽しかったようでした。
5時間歩き続けた子どもたちも、その時は「疲れた!」と言いながらも、とても楽しかったようでした。

岡上エリアを巡ってみて・・・

同じ麻生区でありながら謎めいた地・岡上は、いい意味で昭和の日本の風景が残るような土地でした。

たけのこ掘りを体験させてくれた方や、漆作家の方のように、知り合いでなくても気軽に話し掛けてくださる人がたくさんいらっしゃり、新百合ヶ丘周辺ではなかなかみられないコミュニケーションが楽しめるのも岡上ならではでしょう。

マイクロツーリズムが提唱される今の時期にピッタリの岡上地区。家族やひとりでふらっと街歩きに出掛けるのもオススメなので、ぜひ謎の地・岡上を自分なりに探索してみてください。

Event Information

季(とき)の庭 春のオープンガーデン&クラフト作家展
場所:川崎市麻生区岡上1462の2
日程:5月9日(日)、10日(月)16日(日)、17日(月)
時間:9時~16時 予約制
詳細は季(とき)の庭インスタグラムを参照

ライター&エディター/ロコっち新百合ヶ丘編集長(川崎市)

編集プロダクションを経て、フリーのライター&エディターとして活動。エンタメ系雑誌での執筆のほか、地域ポータルサイト「ロコっち新百合ヶ丘」の編集長を務める。最近では地元のクリエイターと共に結成した「TEAM MANTIS」(MANTIS=新百合ヶ丘を象徴するカマキリ像から命名)として映像制作をスタート。プライベートでは二児の母。ねこ好き、テクノ好き。DJ検定4級。

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