「抱っこでの寝かしつけ」はやめたほうがいい?専門家から意外な回答
お子さんの寝かしつけを抱っこでされている方から
「抱っこでの寝かしつけをしているから夜中に起きてしまうんでしょうか?」
「昼寝も抱っこの寝かしつけをやめていくべきなのでしょうか?」
などとご質問をいただくことが多くあります。
私の運営する「寝かしつけ強化クラス」には現在140人以上のメンバーさんが在籍し、日々寝かしつけ改善に取り組んでいるのですが、その中でも多いのがこの「抱っこでの寝かしつけを卒業したい」というお悩みです。
お悩みの持ち主は生後1ヶ月の赤ちゃんを抱えた方から、1歳をすぎた月齢のお子さんまで幅広く、回答や対応もそれぞれによって変わってきます。
この記事では『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』著者の乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが、そんなみなさんのお悩み・疑問を解決していきます。
抱っこでの寝かしつけはいけないこと?
寝かしつけ専門家の回答としては意外かもしれませんが、決していけないことではありません。
抱っこで密着するのはお子さんにとって安心すること。抱っこされると落ち着くのは当たり前のことです。
ママやパパがそれを幸せに感じてやっていることならおおいにOKです。
一方で、そうでない場合もありますよね。「仕方なく」「本当はお布団におりて寝て欲しいのに」抱っこしているという場合です。こういったケースでは、抱っこでの寝かしつけをやめていけるように練習するのがおすすめです。
やめていく目安の月齢は?
抱っこの寝かしつけをしなくても「寝られる」としっかり言えるのは生後6ヶ月頃からです。それまでとその後とではアドバイスの内容が変わります。
新生児〜生後5ヶ月
特に0〜3ヶ月の間は、“抱っこじゃないと寝られなくても当たり前”くらいに思うことも大事です。前述の寝かしつけ強化クラスで、入ってきたばかりのメンバーさんが「生後1ヶ月の娘なのですが、抱っこでしか寝ないので、おろして寝る練習をさせてるんですがうまくいかなくて…」と質問をしてくださったことがありました。
この時わたしが答えたのは「きっと勉強されて、抱っこして寝かせているとクセがつくということを知っていて、おろして寝かせようとされてるんですよね。でもそれを知っているだけですごいことだし、しかも意識してなるべくおろそうと心がけていることがすごいことです。1ヶ月なら抱っこで寝ている子がほとんどなのに、トライしているだけでもすごいことなんですよ!それを意識していることは今後に向けてとても意味のあるものです。でも今すぐにおりて寝られるようにお子さんが変わるか、というと月齢的に、持っている能力的に難しい部分もあるかもしれません。0歳の子に自転車の乗り方を教えても乗れないように、月齢的に難しいこともあります。いまは“おろされることに慣れる”というのが大事!」という内容でした。
“おりて寝られる”という結果だけを求めてしまうと、低月齢の間は特に「こんなに練習してるのにできるようにならない…」と不安になってしまうこともあるかもしれません。中には生後3-4ヶ月で日中も夜もセルフねんねしているお子さんも実際にいらっしゃるので、比較してそう思ってしまうのも無理もありません。
ですが、お子さんの成長は人それぞれ。同じ月齢の子ができていることが全部「できるはず」かと言われれば、そんなことはないのです。
クセとりの練習に挑戦しつつ、結果が出なくてもまずは「抱っこで寝るのが当たり前じゃないのね」と思わせてあげることが大切です。
生後6ヶ月〜
だんだん体も思い通りに動かせるようになってきて、自分の寝やすい体勢を自分でゴロゴロしながら探せるようになってきます。そうなると、抱っこからおろされた状態でも自分で寝られるようになってきます。
自然にできるようになることもあれば、「抱っこで寝るのが当たり前」というクセがついているとなかなか難しいことも。
このクセをとっていくためには、抱っこからおりて寝かせるクセとり練習をするか、もしくは “泣かれても絶対に抱っこしない” というねんねトレーニングをすることも検討できます。
抱っこでしか寝ない子をどうやって抱っこ以外で寝るようにしていくのか
抱っこのクセをとる練習
泣かれたら抱っこをしたいという場合、こちらがおすすめです。
まずは布団やベビーベッドなどの寝床に置いて、泣いてしまってもすぐには抱き上げず数分は声かけやトントンのみであやします。
それでも泣き続けておさまる気配がなければ一度抱き上げ、少し落ち着くまで抱っこをします。そして、少し落ち着いてきたら起きているうちに寝床に戻します。泣いたら同様のことを繰り返していきます。
最初のころは結果的に抱っこで寝てしまうことが大半でしょう。けれども、はじめから当然のように抱っこで寝かせるのではなく、おりて寝なくてはいけないのだということを教えてあげることに意味がありますよ。
ねんねトレーニング
生後6ヶ月以上で順調に成長している場合、抱っこをしないトレーニングにも挑戦できます。
泣いていても横について見守り、トントンやなでなでまでのあやし方でなだめ、抱っこはしません。長く泣かせた後に抱き上げてしまうと、それが長く泣いたことの報酬として認識されてしまう可能性があります。やると決めたら一貫性を持って取り組むのが大切です。
夜は抱っこをやめたのに、昼寝は抱っこしていたら混乱するか
最後に「夜に練習を始めたら、昼寝も抱っこをやめなくてはいけないか」という、これもよくある疑問にお答えします。
答えは、「昼寝は抱っこしていてもOK」です。
夜は練習するよ、昼はしないよ、などとルールを決めて、そのルールに一貫性を持っていれば赤ちゃんはそれを理解することができるので問題ありません。
推奨できないのは、気分次第で抱っこしてみたり、置いたままにしてみたりすることです。一貫性がないと、なぜそのような対応をとられたのか、どういうときなら抱っこしてもらえるのかを赤ちゃんが学習することができず、「がんばって泣けば抱っこしてもらえるのかも?」という意図せぬ学習につながってしまいかねないためです。
ルールの一貫性さえ保てれば、昼と夜は別ルールでもOKです。
著書『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』では、抱っこで寝かしつけのクセをとる方法の他に、授乳で寝かしつけのクセをとる方法、ママやパパをさわりながら寝るクセをとる方法、具体的なねんねトレーニング方法などを具体的に解説しています。
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