雑誌にも特集され注目!睡眠と自律神経が大切な本当の理由
ここ最近、有名なライフスタイル雑誌でも「自律神経」や「睡眠」の特集がされていて、注目のトピックとなっている印象があります。
日本には昔から「睡眠時間を削って働く」という風習もあり、過去には「24時間働けますか?」というキャッチコピーの栄養ドリンクのTVコマーシャルもあったほどです。
ですが、ここ最近は認知度が高まってきたように、睡眠は人間が人間として活動していくためには欠かせないものです。働き盛りのサラリーマンだけではなく、子育て中のママにとってもそれは同じです。
この時期ではそんな睡眠と自律神経を整えることの重要性について、『すぐ寝る、よく寝る 赤ちゃんの本』著者の乳幼児睡眠コンサルタントねんねママが解説していきます。
寝ないとどうなる?
昔流行した漫画のキャラクターで「2時間しか寝てねぇ」と発言するネタがあったのをご存知の方もいらっしゃるかもしれませんね。
忙しくて睡眠時間が満足にとれないことを自慢げに言うことも昔はよくあったことですが、実際に2時間しか寝ていないと人はどうなるのでしょうか?
必要な睡眠の量は個々人によって差がありますが、アメリカ国立睡眠財団の発表によると心身ともにずっと健康でいるために必要な睡眠時間は26~64歳で「7~9時間」です。
睡眠不足が続くと、不足分が借金のように体に蓄積され続け「睡眠負債」という状態になります。そうなると記憶力、判断力、集中力、思考力、モチベーションなどが低下し、何をやってもうまくいかない、やる気がでない、という状態になってしまいます。命に関わるような仕事だったり、危険な作業に従事していたり、乗り物の運転をする場合は非常に危険です。
さらに、アメリカで行われた研究では「睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上の人に比べ3倍以上も風邪を引きやすい」という結果が発表されており、睡眠不足は免疫力を低下させることもわかっています。
免疫だけでなく、睡眠は骨や筋肉、皮膚などのダメージを回復させる作用もあるため、睡眠不足だと老け込んでいってしまうことも考えられますし、さらには睡眠不足と肥満の関係も明らかになっています。
質の良い眠りのために大事な自律神経
では、睡眠不足はどう補えばよいのでしょうか?土日に寝溜めをすればよいのでしょうか?
そうではありません。寝溜めはもちろん多少の睡眠不足を解消することには効果がありますが、土日のみ遅起きになるのはソーシャルジェットラグという時差ぼけ状態を引き起こすことにもつながりますのでおすすめできません。
推奨は生活リズムを整えること。起床と就寝の時刻をおおよそ設定し、その時刻から大幅にズレのない範囲で生活する、さらには就寝の1-2時間前からは就寝のために自分自身を“寝るモードにする”ことが大切です。
これは大人にも子どもにも、赤ちゃんにも共通しておすすめできることです。
人間には自律神経と呼ばれる機能があります。
自律神経には“交感神経”と“副交感神経”というものがあり、このどちらが前に出るかで活動モードとお休みモードの切り替えをしています。
交感神経というのが人間のアクセルのようなもの、副交感神経がブレーキのようなものです。つまり、交感神経が前に出ている時は活動モード、副交感神経が前に出ている時はお休みモード、ということになります。
質の良い眠りを得るためには、この副交感神経を前に出した状態で眠りにつけることが必要なのですが、どうしても近年の私たちの生活は寝る直前まで興奮状態になってしまいがちです。寝る直前までテレビやスマホを見ていたり、PCで仕事をしていたり、ブルーライトもさることながら、その中身のコンテンツ自体が体を活動モードにしてしまうのです。
私の専門である乳幼児の睡眠においてもこの問題は顕著で、親の生活リズムに合わせて23時まで明るい部屋で活動していたり、いわゆる“寝かしつけのため”とされるコンテンツを眠る直前までスマホで見せていたりすることも睡眠の質には悪影響を及ぼしかねません。
寝る前の“お休みモード”づくりで快適な眠りを手に入れる
では、どのようにしてお休みモードを作っていけばよいのでしょうか。
ここでは大人にも子どもにも使える5つの就寝前のおすすめ習慣をご紹介していきます。
①テレビやスマホはOFF
テレビやスマホのデジタルコンテンツは脳にとって強い刺激で、体を興奮・覚醒状態にします。就寝1時間前からはできるだけ見ないようにしましょう。
…とは言っても、大人はなかなか難しいこともあるかもしれませんね。明かりの度合いを下げるだけでも良いので、画面のコントロールをしてみてくださいね。
②光はだんだん暗くする
煌々とした明かりの下では覚醒モードになってしまうだけでなく、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が抑制されてしまいます。
就寝の1-2時間前からは明かりをだんだんと暗くし、白い明かりではなく暖色系の明かりに切り替えていくのがおすすめです。
③お風呂の時間を調節する
体温も眠りと深い関係があります。大人なら就寝の90分前、赤ちゃんなら45〜60分前ほどにお風呂からあがっておけると、体温が下がってきて体がお休みモードになるタイミングで寝床に入ることができます。
スムーズな眠りを促し、睡眠の質も高めてくれるのでおすすめです。
④動きをゆっくりにする
せかせかと動いていると脳も覚醒し、体温も上がってしまいます。寝る前は意識的にゆっくりとした動きにして、体をリラックスさせていきましょう。ストレッチを行うのもおすすめです。
赤ちゃんを寝かしつける場合も同様に、大人の動きや話し方をゆっくりとしていきましょう。
⑤就寝ルーティーンを行う
寝る前にいつも同じ流れで行動すると、体が「これから寝るんだな」と認識して、寝るモードに入りやすくなります。風呂〜就寝までをいつも同じ流れにするなど、就寝ルーティーンを確立できると良いでしょう。
赤ちゃんの場合も、就寝ルーティーンを行うことで寝つきやすくなることが研究でわかっています。
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