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春の救世主「べにふうき緑茶」!店頭にならぶ見慣れない緑茶、渋味はあるが優れもの!

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター

日本茶ナビゲーターTomokoです。

17年前に取得した日本茶インストラクターの資格を活かし、これまで日本茶ワークショップなどにて国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝えてまいりました。

「日常茶飯事」というくらい、身近すぎて意外と知られていない日本茶の世界。

これからYahoo!クリエイターズアーティクルにて、一般消費者に近い専門家目線、子育て中のママ目線、日本茶大好きマニア目線の様々な視点で、日本茶の魅力を発信していきます。

たくさんの方に日本茶についての新発見!や気付きを感じていただけたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いします。

では、初回は「べにふうき緑茶」についてご紹介します。

このお茶、実は優れものなのです。

春になるとよく見かける「べにふうき緑茶」とは

毎年1月ごろから3月にかけて、お茶屋さんや日本茶専門店でよく目にする「べにふうき緑茶」をご存知でしょうか?

ネットショップにもこの時期はたくさん出ています。

最近はスーパーに並んでいたりと、聞いたことや見たことがあるという方も多いのではないでしょうか。

我が家の定番の「べにふうき緑茶」2種類。左は静岡産の粉末タイプ、右は鹿児島産のリーフタイプ(釜炒り製法)。
我が家の定番の「べにふうき緑茶」2種類。左は静岡産の粉末タイプ、右は鹿児島産のリーフタイプ(釜炒り製法)。

粉末タイプはお湯にすぐ溶けますが、底に淀むので時々スプーンなどでかき混ぜながら飲んでいます。右のリーフタイプを急須で淹れると釜炒り製法のため薄い黄色の茶液になります。
粉末タイプはお湯にすぐ溶けますが、底に淀むので時々スプーンなどでかき混ぜながら飲んでいます。右のリーフタイプを急須で淹れると釜炒り製法のため薄い黄色の茶液になります。

「べにふうき」はお茶の木の品種名です。

お米に「こしひかり」や「あきたこまち」という品種があるように、日本茶にも品種があります。

その数、なんと100種類以上!それぞれに味や香りなど特徴が違います。

「べにふうき」で作られた緑茶は花粉の季節に飲むと良いとされており、お店でもこの時期売れ行きの良い商品なのです。

実は私も花粉症で、べにふうき緑茶が登場して間もない15年ほど前から飲んでいます。

以前はべにふうき緑茶はほんの少ししか出回っておらず、しかも高価でなかなか手に入りませんでした。

しかし今では静岡や鹿児島など各地で生産量が増え、価格も手ごろになり、いろいろなお店で取り扱われるようになりました。

特に手軽な粉末タイプやティーバッグタイプが多くみられます。

紅茶の品種「べにふうき」

「べにふうき」という品種は「べにほまれ」と「枕Cd86」という2つの品種から生まれた、日本で最初の紅茶・半発酵茶用品種です。

紅茶にすると美味しいものができるため、「和紅茶」や「地紅茶」などと呼ばれる国産紅茶にもべにふうきが使われているものが多くあります。

では、なぜ紅茶ではなく「べにふうき緑茶」が春には多く出回るのでしょうか?

べにふうき緑茶に含まれる「メチル化カテキン」

先日、子どもと図鑑を見ていたところ、「茶」のページにこう書いてありました。

「べにふうき」(紅富貴)は、日本で生まれた紅茶用の茶樹品種です。アレルギーをおさえる効果が期待できるとして、注目されています。
(引用:『小学館の図鑑NEO 野菜と果物』 小学館)

図鑑にも載っているとは、驚きです(日本茶マニアだけの知識かと思っていました)。

べにふうきにはカテキンの一種である「メチル化カテキン」が多く含まれています。

しかし、メチル化カテキンは紅茶に加工すると消失してしまいます。

べにふうき緑茶であればメチル化カテキンは消失せず摂取できるそうです。

農研機構のサイトには「べにふうき緑茶」についての研究結果詳細が掲載されています。

べにふうき緑茶の渋味

べにふうきで作られた紅茶はまろやかで香りもよくおいしいのですが、緑茶にすると独特の強い渋味があります。

熱湯で淹れた方がメチル化カテキンが浸出されやすいため、熱湯で淹れますが、かなり渋い味になります(茶葉を煮出す方法もありますがやはり渋味が…)。

毎日飲むとなると、渋味が苦手な方にはべにふうき緑茶は少々飲みにくいお茶ではないかと思います。

私も毎年いろいろ購入しては飲んでいますが、今まではなかなか飲みやすいものに出会えませんでした。

今年はようやく飲みやすいものに出会え、ずいぶん楽に飲めています。

こちらが我が家の朝の定番となった釜炒り製法の「べにふうき緑茶」
こちらが我が家の朝の定番となった釜炒り製法の「べにふうき緑茶」

インスタで偶然生産者さんを見つけたので、このお茶の感想をお伝えしたところ、このようなメッセージをいただきました(一部引用)。

べにふうきが花粉症へ有効と言われた始めた頃、結構なお値段でネットでも販売されていましたが、当店が釜炒り茶専門の工場という事もあり(釜炒り製法のべにふうきは苦味が少なくて飲みやすいと試験場でのデータが出ています)、仕上げもあまりこだわらず、その代わり格安のお値段で販売しようと決めました。
「釜茶房まえづる」店主

※「仕上げ」というのはその茶商ごとの特徴を出すため、茶葉そのものに価値を出すため、茶葉を整えたり火入れ加工をしたり味や香りを工夫する技術のことです。

このような生産者の方の温かい気持ちを知ると嬉しくなります。

こちらのべにふうき緑茶は苦渋味がすくなく、無理なく飲める味、すっきりした香りで、我が家では朝食時のお茶として毎朝飲んでいます。

家族も気に入っているので、今シーズンだけで4本リピートしています。

私が飲んでいるべにふうき緑茶については私のブログにも書いていますので、ご興味がある方はご覧ください。

花粉シーズン後半戦もべにふうき緑茶

花粉のピークはスギ花粉が多く飛ぶ2月~3月、そして少し遅れてヒノキ花粉が飛び始めます。

今年は飛散量が多いそうで、私自身すっきりしない日が続いています。

「べにふうき緑茶」は薬ではないので、個人差もありますし、味の好みもあるかと思います。

また緑茶なのでカフェインも含まれており、乳幼児やカフェインを控えている方には向きません。

もし、この味なら毎日飲めそう、ライフスタイルにも合う、という方は、この時期だけ飲み物をべにふうき緑茶に変えてみるなど、気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。

メチル化カテキンもカテキン類も、こまめに摂るのが理想的だそうですよ。

また、秋の花粉症の方は、秋にはべにふうき緑茶は手に入りにくくなるかと思いますので、賞味期限の長めのものを手に入れて保管しておくと良いかと思います(その場合は未開封の状態で。茶葉の保管については後日記事にする予定です)。

そして機会がありましたら、ぜひ、べにふうきの「紅茶」も飲んでみてください。

国産紅茶は今たくさんの生産者さんが工夫をこらし、イギリスなど海外でも権威ある賞を受賞したりと、年々レベルが上がっているように感じます。

お茶の香りでリフレッシュ♪

お家でゆったりお茶の時間を楽しんでくださいね!

鹿児島県日置市「釜茶房まえづる」さんからいただいた「べにふうき」の茶畑の写真です(2021年年3月18日撮影)
鹿児島県日置市「釜茶房まえづる」さんからいただいた「べにふうき」の茶畑の写真です(2021年年3月18日撮影)

参考文献:

『新版 茶の品種』 公益社団法人静岡県茶業会議所

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。日本茶の商品開発やカフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導。NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。

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