おいしくお茶を飲むために知っておきたい「急須」にまつわる5つのポイント
お茶を飲むには急須(きゅうす)が一番!
そうは言っても、お手入れがちょっと面倒・・・とか、急須がお家にない方もいらっしゃると思います。※ちなみに、水出し茶なら急須なしで手軽に作れますよ♪(過去記事参照)
一歩進んで、「もっとおいしくお茶を淹れたい」「そろそろ急須が欲しいなぁ」「家にある急須を久しぶりに出そうかな」と思っている方にお伝えしたい「おいしくお茶を飲むために知っておきたい急須にまつわる5つのポイント」をご紹介します。
これで、今日からおいしいお茶を楽しめて、さらに急須の蘊蓄が語れますよ♪
早速!「急須の間違い探し」
では、早速、こちらの写真をご覧ください。
実はこちらは急須のNG写真。どこかが間違っているのです。
間違い探しの答えは、下記のポイント1とポイント2をご覧ください。
ポイント1:急須の口についている「アレ」は取るべし!
買ったばかりの急須には、口のところに筒状のゴムのカバーが付いています。
こちら、ちゃんと取って使っていますか?
この「急須の口カバー」は輸送中の破損を防ぐためのもの。
お家でお茶を淹れる際は、急須の口のゴムは必ず取ってご使用ください。
付けたままで使用すると、口とゴムの隙間などに汚れや雑菌が溜まりやすくなります。
ポイント2:急須の蓋の穴も「正しい向き」がある!
では、急須の蓋の穴はどうでしょう?
「どっち向きとか考えたことない」とよく言われますが、こちらも一応のルールがあります。
急須の口と蓋の穴が一直線になるようにする、のが正解です。
こうすることで急須の中の空気の通りがよくなり、お茶が急須の口から出やすくなると言われています。
また、絵や柄のある急須、釉薬をかけてある急須などは、蓋がこの位置にセットされた状態で柄を付けているそうなので、合わせる際に見てみてくださいね。
ポイント3:購入の際に気を付けたいこと!重さ・形・容量
急須を買う時に一番ポイントになるのは、重さと手に馴染む形や大きさです。
デザインが素敵!と思って持ってみたら、自分の手のサイズには大きすぎたり、材質によっては重過ぎる場合があります。
ここで特に大切なのは急須の「重さ」です。
お店で持ってみてちょっと重いなと思ったら、注意が必要です。すごく重いと感じるものは避けた方がよいでしょう。
なぜなら、実際に使う際は、「急須の重さプラスお湯の重さ」も手にかかってくるからです。
毎日使わない、1日に何度も使うわけではない、というのであれば大丈夫ですが、頻繁に急須を使うなら軽いものが良いです。
また、急須の大きさにも関係していますが、「容量」も気になるポイント。
1人用なのか、家族分のお茶も淹れるのかで必要な容量は違ってきます。
いつも1人分しか淹れないのに急須があまりに大きすぎると、お茶の葉にお湯がしっかり行き渡らないことも。
逆に、いつも3人分お茶を淹れるのに急須が小さすぎると、家族全員分のお茶を淹れるのに2回、3回と煎を重ねないと足りません。
3~4人分程度なら、400ml前後の容量のものが使いやすくておすすめです。
初めて急須を選ぶ際は、実際に手に持って確認したりお店の人に相談できる日本茶専門店や百貨店などが安心です。
ポイント4:茶こし部分に注目!
これから新たに購入する際は、急須の「茶こし」も確認してみてください。
初心者向けや「深蒸し煎茶」をよく淹れる方には、ステンレスの茶こしが急須の側面に沿って張られているタイプがおすすめです。
細かい茶葉も細かいメッシュの茶こしがキャッチしてくれます。
中上級者は「セラメッシュ」や「ささめ」と呼ばれる、茶こし部分が急須と同じ材質(陶磁器)で作られたものがおすすめです。
こちらは金属臭がせず、お茶の香りそのものが楽しめます。
普通煎茶や番茶、ほうじ茶など茶葉の大きいものはこのまま使っていただけます。
しかし、深蒸し煎茶を淹れると細かい茶葉が出てきてしまうので、気になる方は手に持つタイプの茶こしを併用する必要があります(右手に急須、左手に茶こし。プロは片手でも急須が持てます)。
ステンレス茶こしより詰まりやすいため、毎回のお手入れは丁寧にする必要があります。
注意が必要なのは、ステンレスの茶こしが取り外し可能なカップ状になっているタイプです。ティーポットにもなるガラス製のものもありますね。
こちらは、超初心者の方にはお手入れしやすくおすすめなのですが、茶こし部分が急須の底にまでくる深いタイプでないと、茶葉にお湯が行き渡らないことがあります。茶葉にお湯がかぶるくらいにいれるとお湯の量だけ増えて薄いお茶になってしまったり・・・。
また、通常の急須に比べると、茶葉が茶こしの中に閉じ込められ上手く開かないため、お茶の味が出にくくなることがあります。
それでもやっぱりお手入れが面倒!という場合はカップタイプの茶こし付きを、やはり茶葉の味をしっかり味わいたいという方は、茶葉がお湯の中でのびのびと開くゆとりのある通常の急須をお使いください。
新しい急須の登場!
ここで、1~2人分のお茶を淹れる、初めて急須を使う方におすすめなのが煎茶堂東京の「透明急須」。
カップタイプの茶こしが深く、急須本体も樹脂製で丈夫(ガラスのように割れたりしません)。汚れも付きにくくお手入れもしやすいです。
透明ですが熱は伝わりにくいので、熱いお湯をいれて持っても大丈夫。
グッドデザイン賞も受賞している新しいタイプの急須です(外部リンク先:煎茶堂東京)。
ポイント5:ついた茶渋はこうして取るべし!
毎日丁寧にお手入れをしていても、少しずつ茶渋は付いてしまいます。盤古焼の紫泥や常滑焼の黒いものは茶渋は全く目立たないのですが、薄い色のものは目立つ場合があります。
茶渋について急須を専門に扱うお店の方から伺ったのですが、軽い茶渋の場合はメラミンスポンジ(激落〇くん、など)でこすって落とすのが良いとのこと。
急須は通常のお手入れ時も「洗剤はNG!」です。なぜなら、急須の素材によっては吸水性があるため、急須自体が洗剤を吸い込み、急須に洗剤の香りが付いてしまうからです(素焼きに近い常滑焼・盤古焼は特に)。
釉薬がかけてあるものや磁器はそこまで吸水性がありませんが、それでも強い香りの洗剤や漂白剤を使うと、よく水ですすいでも次に使う時にお茶の味や香りに影響が出てしまいます。
お茶の葉は匂いを吸着しやすいので、急須のお手入れも気を付けなくてはなりません。
漂白剤はできるだけ使わないに越したことはありませんが、どうしても茶渋が落ちない場合は
- 全く気にしないでそのまま使い続ける
- 匂いの少ない酸素系漂白剤を薄めに短時間使用する
のどちらかになります。
2の場合、酸素系漂白剤で付け置きした後はしっかりすすいでください。その後お茶を淹れる場合は、最初の1~3回は古い茶葉や茶殻などを使い熱湯でお茶を淹れ(飲まずに)捨てるを繰り返して、急須に残った漂白剤の匂いや成分をしっかり取り除くと良いでしょう。
また、急須を使ってお茶を淹れた後は、お水ですすぎながら茶こし部分についた細かい茶葉もきれいな歯ブラシなどで取り除き、最後に熱湯を通して殺菌・乾燥させると、茶渋や汚れもつきにくいです。
急須の口専用のブラシが100均などにもありますので、気になる場合は使ってみてください。
急須はしばらく使わないのであれば、しっかり乾燥させてから棚にしまってください。水分が残っていると匂いやカビなどの原因になることがありますのでご注意ください。
楽しくおいしいお茶ライフを♪
日本茶は繊細。道具次第で味や香りの出方が微妙に変わると言われています。
急須を変えたとたん、あれ?このお茶、こんな味だった?と気づくことも多いです。
お家のお茶があまりおいしくない・・・と思われる方は、お茶のいれ方や茶葉の保存方法に問題がなければ、急須を変えてみるのもひとつ。※「茶葉の保存方法」については過去記事をご覧ください。
ちょっとしたコツやポイントでお茶の味は格段においしくなります。
急須蘊蓄を語りつつ、楽しくおいしいお茶ライフを過ごしていただけたらと思います。
補足:陶器や磁器の急須の蓋はうっかり割ってしまう方が多いです。蓋はぴったりしまるように1つ1つ調整されているため、1つ1つ大きさが微妙に違っています。そのため蓋だけ交換・蓋だけ購入ができません。扱いには充分ご注意ください。金継ぎで修繕することも可能です(金継ぎに見合う急須であれば・・・ですが)。