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驚きの赤い日本茶「サンルージュ」!葉っぱにアントシアニンが含まれる珍しい品種のお茶

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター

「赤い日本茶??ハーブティーじゃないのに赤いってどういうこと?」と思う方も多い日本茶「サンルージュ」。

最近バタフライピーという青いマメ科のお茶が流行っていますが、サンルージュは正真正銘100%お茶の木からとれた茶葉なのです!

新芽が赤く、葉にはアントシアニンが含まれていて、日本茶レッスンで使用するたびに参加者の方から「わぁ~!」と驚きの声があがります。

この色の変化をご覧ください!

そもそも緑茶の色ではない紫色の茶液(下)から、色の変化が楽しめる日本茶「サンルージュ」。ハイビスカスなどは入っていませんよ!
そもそも緑茶の色ではない紫色の茶液(下)から、色の変化が楽しめる日本茶「サンルージュ」。ハイビスカスなどは入っていませんよ!

2011年に登録された新しい品種「サンルージュ」はその「赤さ」が際立つちょっと珍しいお茶です。5年ほど前に初めて飲んだ時はびっくりしましたが、その後時々レッスンでご紹介しています。

なぜ赤いの?どんな味なの?普通のお茶と比べて成分や効能はどう違うの?

気になるポイントをご紹介します!

日本茶なのに赤いってどういうこと?

日本茶の品種は現在100以上登録されています。

おいしさや育てやすさ、収量の多さなどで選抜されたものが品種として名前が付けられ登録されています。

サンルージュ」は時々自然に発生する赤い芽の茶の木を選抜してできたもので、お茶の葉にアントシアニンが含まれる珍しい品種です。

新茶の時期だけ紫っぽい赤色になる新芽を摘み取り加工します。

煎茶に加工すると茶葉の色としては赤色の色素はわかりにくくなりますが、それでも普通の煎茶と比べるとやや紫色がかった深緑に見えます。

サンルージュの茶葉(煎茶)
サンルージュの茶葉(煎茶)

「サンルージュ」の味は?

サンルージュはその見た目からハーブティーっぽいのかな?と思って飲むと「うん?お茶だ・・・」とちょっと拍子抜けします。

目をつむって飲んだら、味も香りも普通のお茶(煎茶)です。ちょっと渋味が強めに感じることもあります。

急須でいれるとこんな色。なんとも不思議な・・・紫っぽい謎の液体。

濃い目に淹れたサンルージュの茶液。味と香りは煎茶です。
濃い目に淹れたサンルージュの茶液。味と香りは煎茶です。

急須の中の茶葉(茶殻)は緑と紫の入り混じったような色です。

時々紫色がかった茶葉が見えます
時々紫色がかった茶葉が見えます

色の変化とアレンジを楽しむお茶「サンルージュ」

そのままストレートで飲むには、その良さがあまり感じられないサンルージュですが、アレンジ次第ではおいしいドリンクとして飲むことができます。

紫キャベツの実験や朝顔の色素の実験でおなじみの、酸を加えて色の変化を楽しめるお茶なのです。

レモンを加えると・・・

薄めにいれた茶液(左)とレモンを加えた茶液(右)
薄めにいれた茶液(左)とレモンを加えた茶液(右)

このように、きれいなピンク色に変わります!

ちょっと飲んでみようかな?という色になりましたね。レモンティーとして飲んでも爽やかです(レモンは浮かべるだけにして絞らない方が渋味が強くならなくて良いですよ)。

このまま飲んでもいいですが、こちらにあれこれ加えてアレンジするとさらに色が鮮やかになり、爽やかなおいしいドリンクができあがります。

こちらはレッスンやワークショップ参加者のみにご紹介しているマル秘レシピのドリンクです
こちらはレッスンやワークショップ参加者のみにご紹介しているマル秘レシピのドリンクです

濃い目にいれた茶液にレモンなどを加えると濃いピンク色になり、薄めの茶液なら薄いピンク色に変化します。

「サンルージュ」はアントシアニンとカテキンが一度に摂取できる

サンルージュの成分などは、サンルージュという品種を研究している日本製紙のホームページに情報があります。

血糖値上昇抑制・眼精疲労の改善・認知機能の低下抑制・肝機能の保護・脂質の吸収抑制・ヒートショックプロテインの増加・抗ガン作用・血管弛緩および血管障害抑制

と、研究結果がたくさん掲載されています。

カテキンとアントシアニンの両方が一度に摂取できるお茶というのも興味深いです。

徳之島のサンルージュの茶畑風景もこちらのホームページで見られます。とってもきれいな赤色の新芽。下の古い葉は緑色です。

日本製紙「赤いお茶サンルージュ」ホームページ(外部リンク)

ちなみに、私も1カ月ほど前からベランダの鉢植えで「サンルージュ」の苗を育て始めました。葉っぱは全部緑色です。それでも他のお茶の木に比べると葉の色が深い緑に見えます。

わが家で栽培中の「サンルージュ」の苗(左)。右の苗(品種は「摩利支」)よりサンルージュの方が葉の緑色が濃い。
わが家で栽培中の「サンルージュ」の苗(左)。右の苗(品種は「摩利支」)よりサンルージュの方が葉の緑色が濃い。

日本製紙のホームページには

独特の赤い茶葉を育むには強い太陽の光が必要

とあり、条件がそろった新芽のみ赤色になるようなので、わが家ではもしかしたら赤色の新芽は出ないかもしれませんが、興味深く苗の成長を見守りたいと思います。

また、

茶葉が赤くなるのは、葉の中でたくさんのアントシアニンがつくられているから。この赤色がピークを迎えるわずか1日が、収穫の最高のタイミングになります。翌日には、色が褪めて緑色になってしまうのです
このピークを見極めるために、徳之島製茶の工場長が25軒の農家を1軒1軒訪れ、「色と芽の伸び方と葉の広がり」をチェックして摘み取っています。

1日で赤色の芽が緑に変わってしまうそうなので、繊細なサンルージュの茶摘みのタイミングは見極めが難しそうですね。雨が降ると茶摘みが遅れたりするので大変なのではと推察されます。

まだまだ品種としては珍しく収穫量も多くないようですが、サンルージュを応援したくなります。

追記:記事を書いた翌日、サンルージュの新芽が赤くなっているのを確認しました!

新芽が赤くなっています!!!
新芽が赤くなっています!!!

木の先端の芽もうっすら赤みを帯びています。これからだんだん赤くなるのでしょうか。
木の先端の芽もうっすら赤みを帯びています。これからだんだん赤くなるのでしょうか。

サンルージュを購入するなら

「サンルージュ」で検索すると扱っているお店が出てきます。

私が日本茶レッスンで使用するサンルージュの茶葉は、「心向樹」という品種茶専門店で購入しています(こちらでは品種の苗も扱っています)。

ここで扱っているサンルージュは品質も良く茶葉もとてもきれいです。

品種茶専門店「心向樹」ホームページ(外部リンク)

こちらのお店の川口さんはもともと日本製紙でサンルージュなどの研究をされていたそうで、品種茶の専門家として研修会なども開かれています。

こちらのサンルージュのページを見ますと、

この品種は茶品種として史上初が3つあります。
①カタカナを使った茶品種の登録名。
②機能性ターゲット品種。
③国(農研機構)と民間(日本製紙)が共同開発して誕生したこと。

とあり、実はたくさんあるお茶の品種の中でも希少なものだとわかります。

日本茶を楽しもう

サンルージュもそうですが、日本茶の品種はその特徴も味も香りも様々です。

いろいろ飲んでみてお気に入りの品種を探したり、自分でオリジナルのブレンドを作ったりアレンジするのも楽しいですよ。

日本茶は奥が深く、そして研究が進んでその魅力も広がり続けています。これからどんな品種が生まれるのか楽しみです!

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。日本茶の商品開発やカフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導。NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。

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