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冬にぴったりの「ほうじ茶」は体が温まるって本当?その理由とおすすめ茶葉、簡単アレンジもご紹介!

日本茶ナビゲーター Tomoko日本茶インストラクター

朝晩冷え込むようになり、温かいお茶が身に染みる季節になりました。

でも、「緑茶は体を冷やす」って聞いたことありませんか?

実際、冷え性の私は緑茶(煎茶など)を飲みすぎると夏でも冷え冷えになってしまうのですが、そこで救世主となるのが「ほうじ茶」。

カナダでもほうじ茶が人気と前の記事でも書きましたが、実は北海道でもほうじ茶が良く飲まれるとも聞いたことがあります。

これは・・・味の好みだけではなく、何かしらの因果関係がありそうな気配が!

今回は、「ほうじ茶」にフォーカス!おすすめのほうじ茶と簡単アレンジもご紹介します。

「ほうじ茶」を楽しむ

ほうじ茶のいれ方は簡単。熱湯でさっと淹れるだけ。

うま味や甘味を重視する玉露や煎茶と違い、香りを楽しむほうじ茶。

ほっとするこうばしい香りに癒される、という方も多いのではないでしょうか。

茶色い色は焙煎で生まれる
茶色い色は焙煎で生まれる

ではそもそも、ほうじ茶とは?

ほうじ茶、漢字で書くと「焙じ茶」。その名の通り、煎茶や番茶、茎茶などにさらに火を入れて焙じた(焙煎した)ものです。

お家でも、油を敷いてないフライパンや焙烙(ほうろく)という焙煎のための陶器の道具を使えば、簡単にほうじ茶を作ることができます。

こちらが「焙烙(ほうろく)」。中の茶葉を取り出すときは本体を傾けて取っ手の筒状の穴から茶葉を出します。
こちらが「焙烙(ほうろく)」。中の茶葉を取り出すときは本体を傾けて取っ手の筒状の穴から茶葉を出します。

焙じているときの香りはとてもよく、お部屋の匂い消しもなるのですが、自家製ではなかなか茶葉を均一に焙煎することは難しいです。

市販のほうじ茶の良いところは、均一に焙煎されているところです。

ほうじ茶は香りが重視されるお茶でもあり、この香りは繊細で比較的短期間で薄くなったり香りが変わったりすることがあるので、茶葉の封を開けたらできるだけ早めに飲み切るのが良いとされています。

上級煎茶の葉と茎を浅く焙煎した宇治のほうじ茶
上級煎茶の葉と茎を浅く焙煎した宇治のほうじ茶

品質の良い(ちょっと高級な)まだ緑色が残るくらいの浅炒りのほうじ茶は、そのまま茶葉を少し食べてみてもおいしいです。※これは私なりの楽しみ方です

冬こそほうじ茶!血流を良くする「ピラジン」

煎茶や玉露、抹茶など一般的な緑茶は「陰」の飲み物で、体を冷やすと言われています。

ほうじ茶も分類としては緑茶なのですが、焙煎することで生まれる「ピラジン」という成分が血流をよくすると言われています。

血流を良くすることで冷え性の改善にも良いそうで、こちらが自然と北海道など寒い場所でほうじ茶がよく飲まれる理由になっているのではと思います。

ちなみに私は夏は冷たいほうじ茶をよく飲みます。冷やしてもピラジンの効果は同じだそうで、エアコンの効いた室内でも冷えすぎないようにほうじ茶を飲んでいます(個人の感想です)。

※ほうじ茶ではありませんがピラジンについてはKIRINの研究開発のサイト(外部リンク)に研究結果が掲載されています。

低刺激なほうじ茶でリラックス

茎の多いほうじ茶については、茎の部分に含まれる「テアニン」も摂取できます。

テアニンはうま味や甘味の元となるアミノ酸の一種で、抹茶や玉露、そして茎の部分に多く含まれます。

試しに茎の部分が多いほうじ茶を水出しにすると、ほんのりうま味や甘味も感じられます。

このテアニンは脳をリラックスさせると言われています。

テアニンについては以前の記事でもご紹介しましたが、以下のサイトに詳細がありますのでご覧ください。

学術コラム「ストレスから脳を守るテアニンの役割」太陽化学株式会社HP(外部リンク)

また、ほうじ茶は高温で焙煎することで、茶葉の中のカフェインが昇華するため、カフェインが少なくなると言われています。

玉露や煎茶と比較するとカフェインが少ないので、カフェインを控えたい方にもおすすめです。

カテキンも昇華するため少なくはなりますが、低カフェインであることも加え、日本茶の中では低刺激なお茶であると言えます。

※ただし、元の茶葉のカフェイン量が多い場合はほうじ茶にしてもある程度のカフェインは含まれますし、カフェインがゼロというわけではありません。

ほうじ茶の楽しみ方

ほうじ茶の位置づけは「日常のお茶」であるため、来客時のおもてなしには普通は使いません(お客様がかなりのほうじ茶好きならそれを理由にお出ししても良いと思います)。

この日は日本橋錦豊琳の「海苔巻き揚げ煎」と合わせました
この日は日本橋錦豊琳の「海苔巻き揚げ煎」と合わせました

お茶請けは普段よく食べるような、お煎餅やお団子など気軽なお菓子がぴったりです。

ちょっと濃いめに淹れたほうじ茶やコクのあるタイプの深炒りのほうじ茶なら、チョコレートやケーキなどの洋菓子にもよく合います。

濃いめに淹れたほうじ茶をクリスマス前なのでシュトレンと合わせても
濃いめに淹れたほうじ茶をクリスマス前なのでシュトレンと合わせても

お食事の後、口の中をすっきりさせるのにもほうじ茶はぴったりです。

ほうじ茶も浅炒りから深炒り、ブレンドほうじ茶までいろいろなバリエーションがありますから、いろいろなお店のものを試すのも楽しいですよ。

おすすめのほうじ茶

私が良く飲むおすすめのほうじ茶をいくつかご紹介します。ご参考になれば幸いです。

京都・宇治の利招園茶舗の「無上別儀雁金ほうじ茶」

上級煎茶の葉や茎を浅炒りにしたほうじ茶です。高級感のある香りです。

今回ご紹介した写真はこちらのお茶を使っています。

Yahoo!ショッピングのこちらのサイト(外部リンク)から購入できます

福岡・八女の星野製茶園の「玉露ほうじ」

玉露の茎を原料としている、茎からうま味や甘味も感じる香りの良いほうじ茶です。

水出しにするとうま味や甘味も楽しめます。

星野製茶園オンラインショップ(外部リンク)で購入が可能です

つきまさ下北沢店の「NEWほうじ」

普段使いにほっとする香りの中~深炒りの静岡産のほうじ茶です。やや濃いめで、我が家の定番です。

つきまさ下北沢店のインスタ(外部リンク)。注文はお電話かFAX(03-3410-5943)

神奈川県山北町の井上茶の「深煎り緑茶 山吹」

以前の記事でご紹介した山北町の井上さんが、栽培期間中農薬不使用で生産されている茶葉を焙煎したお茶です。

煎茶とほうじ茶の間くらいの浅炒りで、すっきりした香りと味わいです。

サイトには掲載がありませんが、問い合わせてみてください。

井上茶ホームページ(外部サイト)

超簡単!冬のほうじ茶アレンジティー

冬至にはフレッシュなゆずを使った「ゆずほうじ茶」を作りました。

ほんのり香るゆずと、ほうじ茶のほっとする香りでリラックスできますよ。

お家にゆずとほうじ茶がありましたら、ぜひお試しください。

ほうじ茶にフレッシュなゆず皮をプラス。皮を使うので有機栽培のゆずを使いました。
ほうじ茶にフレッシュなゆず皮をプラス。皮を使うので有機栽培のゆずを使いました。

香りをもっと立たせたい場合は、器にもほんの少しゆず皮を入れます。
香りをもっと立たせたい場合は、器にもほんの少しゆず皮を入れます。

私のインスタ(外部サイト)にも少しご紹介していますので、ご覧ください。

冬はゆっくりと、体が温まるほうじ茶をお楽しみください。

日本茶インストラクター

【お茶の世界の扉を開く日本茶ナビゲーター】 日本茶専門店で7年勤務、茶道歴25年の経験を活かし、大手百貨店や外国の大学等でのワークショップで国内外2,000名以上の方に日本茶の魅力を伝える。美味しい日本茶とそれにまつわる伝統工芸品を後世にも繋いでいきたい、日本茶への愛と想いで日本茶情報を発信中。日本茶の商品開発やカフェ・飲食店での日本茶コーディネートや淹れ方指導。NPO法人日本茶インストラクター協会認定日本茶インストラクター(2004年取得)。

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