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【韓国雑学】国民全員で受験生を支援……パトカーが遅刻しそうな生徒を送迎する一大イベントに

西嶋広美翻訳者(韓国語)/フリーライター
韓国書籍のイメージ画像(筆者撮影)

日本では入学式シーズンがやって来ました。大学入学共通テスト(旧センター試験)の受験を経て、晴れて大学生になった人も多いと思います。受験のプレッシャーから解放され、自分自身が理想とするキャンパスライフを送ってほしいものです。

韓国は超学歴社会で有名ですが、大学修学能力試験(スヌン/韓国版センター試験)の日(11月実施)には、日本では考えられない光景を目にします。今回は特に、私(筆者)が驚いたことを紹介します。ちなみに韓国の入学式は、日本より1ヵ月早い3月に行われるのが一般的です。

■遅刻しそうな生徒をパトカーや白バイが送迎

韓国のパトカーのイメージ画像
韓国のパトカーのイメージ画像

スヌン当日は特別で、国全体で受験生を支援します。遅刻しそうな生徒をパトカーが先導したり、白バイに乗せて会場まで送り届けたりする姿が、もはや“風物詩”となっています。

■英語のリスニング時間には飛行機の離発着を全面ストップ

韓国の空港のイメージ画像
韓国の空港のイメージ画像

英語のリスニング試験では、騒音によるトラブルは禁物。そこで、リスニングの時間帯は、韓国全域で飛行機の離発着が禁止されます。飛行機以外にも、バスや自動車は徐行運転をするなどして配慮し、リスニングの妨げになるものを規制するのが当然となります。

■満点者の氏名や顔が公開される

100点満点のイメージ画像
100点満点のイメージ画像

毎年、スヌン満点獲得者の人数や出身高校、地域が公開されます。また、氏名や顔写真が表に出されるケースもあります。メディアインタビューにおいて、満点獲得者に対し「医学部に進学するの?」との質問をぶつける記事を何度も目にしました。それだけ、満点獲得者は英雄視され、その学生の将来に期待が持たれるのです。

余談ではありますが、“BTS(防弾少年団)の生みの親”パン・シヒョク氏はソウル大学(日本での東京大学の位置づけ)出身。NiziU(ニジュー)を手掛けたJ.Y.Park(パク・チニョン)氏も延世大学(ソウル大と共に韓国の3トップと呼ばれる大学)を卒業しており、K-POP界で成功した人物には超エリートが多くいます。

一方で、有名・一流大学に進学することが社会的なステータスや将来の成功につながるとされているため、受験生は高いプレッシャーを感じ健康被害に直面してしまうケースが見られ、社会問題となっています。これに対して、近年は学校や社会がサポートを強化する動きも見られるようです。

翻訳者(韓国語)/フリーライター

小学生の頃から韓国が大好き!“韓国歴”は30年以上。神田外語大学韓国語学科卒(在学中「韓国外国語大学校」に交換留学)。大学卒業後は約18年間に渡り、韓流ポータルサイトのニュース記事(芸能・政治・経済・社会・スポーツ・北朝鮮)翻訳&コンテンツ企画業務に従事。インタビューや取材記事なども多数執筆。現在はフリーランスの翻訳者&執筆家(writer)として活動しています。

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