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航続距離600キロ!レクサスがEVコンセプトカー「LF-Z Electrified」を発表!

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

レクサスは3月30日に今後のブランド変革に向けた取り組みを発表すると同時に、新たなコンセプトカー「LF-Z Electrified」を初披露しました。レクサスが新世代へ移行するという印象を強く受けた発表会でしたが、今後のレクサスはどんな方向性を歩むのでしょうか?コンセプトカーの詳細と共に紹介していきます。

文・西川昇吾/写真・トヨタ自動車

専用のEVプラットホームはレクサスの今後のカギとなる

今までのレクサスとは大きく異なるエクステリアデザインが目を引く「LF-Z Electrified」ですが、何より注目すべきなのは専用のEVプラットホームも採用しているというポイントです。プラットホームの詳細までは明かされていませんが、バッテリーをフロア下に搭載することによりフレームの高剛性化や低重心化を実現し、静粛性や乗り心地が格段に向上しているとのこと。EVシフトは避けては通れない課題とも言えるだけに、このEVプラットホームの完成度が今後のレクサスブランドを占う、一つのカギとなりそうです。

新たな4輪駆動力制御技術「DIRECT4」

駆動力を自在に制御し、人間の感性に寄り添った車両姿勢コントロールを可能にしているシステムですが、最も注目すべきは駆動方式を状況に応じてFF、FR、AWDの中から最適なものを提供するという点です。高い安定性やトラクション、気持ちのいいハンドリングなど通常ならば相反する特性が一緒を一つにする駆動制御となるのではないでしょうか?

運転支援と楽しさを両立するステアバイワイヤ

先進機能が充実していることもさることながら、運転する楽しさも忘れていないと感じさせるメカニズムがステアバイワイヤです。ドライバーのステアリング操作に正確に反応しつつも、精度の高いステアリング支援を行うことができます。

インテリアのコンセプトは「Tazuna」

人と馬の関係性から着想を得た新たなインテリアのコンセプトは「Tazuna」と名付けられました。ドライバーを囲むように配置されたディスプレイ類や、シンプルなセンターコンソールは、ドライバーを中心に考えられたことが分かるデザインです。EVであってもクルマはドライバーが運転を楽しむものであるというメッセージ性を感じさせます。

AIによるサポート

「LF-Z Electrified」ではAIがドライバーを常にサポート。音声コミュニケーションでルートセレクトやレストランの予約などをAI側が提案します。単純に要望を聞いてもらうだけではなく、ドライバーのライフスタイルコンシェルジュの役割を担うのです。

また、デジタルキーを採用しており、スマートフォンでロックの開閉ができるほか、キーを受け渡しすることなく家族や友人がクルマへアクセスすることが可能となっています。それ以外にもデジタルキーを介してクルマへアクセスすることにより、荷物宅配やカーシェアの車両連動サービスの提供が可能になるなどといった発展性を秘めています。

「LF-Z Electrified」のスペック

現在発表されているスペックは以下の通り

全長(mm):4,880

全幅(mm):1,960

全高(mm):1,600

ホイールベース(mm):2,950

重量(kg):2,100

航続距離[WLTP](km):600

バッテリー容量(kWh):90

充電電力(kW):150

電池:リチウムイオン電池

冷却方式:水冷

0-100km/h加速(秒):3.0

最大速度(km/h):200

最大出力(kW)/最大トルク(Nm):400/700

コンセプトモデルなので、このままのスペックで販売されることはないと思いますが、これから販売されるレクサスのEVモデルが近いスペックで登場することに期待感が持てます。特に航続距離と0-100km/h加速は世界トップクラスの水準なので、EV参入に大きな動きをまだ見せていないトヨタが、満を持して投入するという印象を受けます。

下山に新たな拠点を開設

2019年4月から運用を開始しているトヨタテクニカルセンター下山。ここにレクサスの事業拠点も2024年3月に開設されるとのことです。トヨタテクニカルセンター下山にあるテストコースは、世界一過酷なコースとして知られるドイツのニュルブルクリンクを走りこんできたトヨタの経験が生かされたもので、自然の地形を生かした約75mの高低差が特徴の厳しい走行環境を持つテストコースです。

ここにレクサスの開発を行うレクサス棟と、社外ビジネスパートナーと共創を図るためのメッセ棟を開設するとのこと。レクサス棟には車両開発の中心となるガレージエリアはもちろん、オフィスエリアやデザインエリアも設けられるそうなので、レクサスの開発に今後下山という地が大きく関わるのは間違いないでしょう。

レクサスの今後

発表の最後では今後の新型モデルの発表について紹介がありました。2021年には2モデルの発表を控えているほか、今後5年間で20車種の新型モデルや改良モデルの発表を控えており、より多様性に富んだラインアップになるとのこと。新型ISのビッグマイナーチェンジも記憶に新しいところですが、今後レクサスがさらにアクティブかつエネルギッシュになると期待させる発表会でした。

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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