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新型ゴルフを試乗チェック!Cセグメントハッチバック基準車の実力はいかに?

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

8代目となったフォルクスワーゲンゴルフ。ハッチバックというジャンルを確立したモデルであり、Cセグメントハッチバックのモノサシ的な基準車として、常に様々なモデルからライバル視されています。そんな基準車の新型モデルの実力はどうなのか?街乗りから高速道路、ワインディングでチェックしてみました。

文:西川昇吾/写真:宮内洋・西川昇吾

新型ゴルフのポイント

新型ゴルフの進化のトピックは、「デジタル化」「電動化」「ドライバーアシスタンスシステム」この3つです。

一つ一つ紐解くと、デジタル化は10.25 インチの液晶ディスプレイを採用したデジタルメータークラスター“Digital Cockpit Pro”を全車に標準装備。センターパネルも物理ボタンを排除しすっきりとしたインテリアを実現しています。(なんと物理ボタンはハザードのみ!)

電動化に関してはフォルクスワーゲン初の48Vマイルドハイブリッドシステムが採用されています。

ドライバーアシスタンスシステムは、ドライバーが意識を失った場合など緊急時に安全に車両を停止させる緊急時停車支援システム“Emergency Assist”などの最新テクノロジーが採用されている点です。

走る、曲がるは好印象!

今回試乗したのは中間グレードともいえるActive。搭載されたエンジンは1.0Lの3気筒ターボです。「Cセグメントで1リッター3気筒エンジンなの?」と拍子抜けしてしまう声があるかもしれませんが、実際に乗ってみると不足感は全くありません。ハイブリッドシステムのサポートもあり、低回転からスムーズにストレスなく加速していきます。燃費は都内の街乗りと郊外で14.5km/L程度。比較的良好と言えるでしょう。

そしてコーナリングも好印象。低速域でのバタつき感も少なく、乗り心地も良いです。ワインディングではスポーツグレードではないのに、不快なロールを感じず不安感なく走ることができました。旋回後に素早く車体姿勢が安定するのも不安感が少ない理由の1つと言えます。あらゆるGと路面からの入力をしっかりと受け止めている印象を受け、基本のボディ剛性の高さが伺えました。

なにより運転していて好印象なのが視界の良さ、これは想像以上でした。サイドウィンドウの下部がかなり下まで来ているため、運転席からの開放感も車両感覚の掴みやすさも抜群です。ゴルフは「昔に比べて大きくなった」と言われがちかもしれませんが、実際に運転してみればそんな印象は消えてしまうことでしょう。

止まるに関しては…?

走る、曲がるに関しては好印象ですが、「止まる」に関しては少し疑問点がありました。制動力そのものは全く不安がないのですが、回生ブレーキがとても不自然な印象です。一定の踏力でブレーキを踏み減速しているのですが、制動力と減速Gが変化するような感触があります。

また、アイドリングストップに関してもあまりいい印象は受けません。信号で停車する直前の僅かな速度で進んでいる際に、時折急にアイドリングストップになり「カコンッ」と止まります。まるでマニュアル車で停車時にクラッチを踏み忘れてエンストしてしまうような感じでした。回生ブレーキとアイドリングストップに関してまだまだ煮詰める必要がありそうです。

デジタル化に関してはまだまだ煮詰める必要あり?

デジタル化により一気に未来的になった運転席からの風景。各種インターフェイスが使いやすいかどうかで言えば「慣れが必要」という印象です。

メーターに関しては好印象です。自分の好みに合わせて表示デザインを変更することが出来、表示情報もカスタマイズすることができます。各種走行情報とナビゲーションが同時に表示でき、表示デザインも様々な情報が瞬時に分かりやすくなっています。

しかし、ナビゲーションシステムは使いづらい印象です。正直目的地検索などはあまり予測を上手くしてくれないなぁという感じ。また、空調などもナビで行う必要がある操作があるので、操作する回数が多くなってしまうといった具合。温度調整などはモニター下のセンサー式ボタンで行うのですが、夜間は照明が光らないため使いづらいです。デジタル化されたインターフェイスに関しては煮詰める必要がありと言えます。

凄い!と感じた2つのポイント

シートは座った直後から好印象で、身体のどこにも不自然な印象を感じることはありませんでした。なにより長時間座っていても疲労度が少ないです。ここ最近実際に運転したモデルの中ではトップクラスだと思いました。程よいホールド性があり、形状はもちろん、クッションの硬さもとても良く出来ています。

そしてオートハイビーム。新型ゴルフはLEDマトリックスヘッドライト“IQ. LIGHT”を採用しています。フロントカメラで対向車や前走車を認識し、片側22個のLEDを制御して必要な部分のみを最大に照射するこのライトは、明るいのはもちろん、今までに体験したことがないダイナミックな照射制御を見せました。ハイビームながらも対向車や前走車を全く照らさない制御は圧巻です。また照射範囲も横に広い印象を受けます。これ以上に明るく賢いライトを筆者は知りません。

日本市場での販売も好調という新型ゴルフ。それだけにユーザーの声を受けて、今後どのように進化していくのか?今回思った欠点は消えるのか?これからの伸びが楽しみなモデルと言えます。

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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