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スカイアクティブXってどうなの?マツダ3を実際に乗ってみた!

西川昇吾自動車ライター/自動車系MC

「ディーゼルとガソリンの良い所取り」と言われるマツダのスカイアクティブXエンジン。クルマ好きならば内燃機関の大幅な進化として気になっている人も多いはず。今回はこのスカイアクティブXを搭載したマツダ3(6MT)を実際に試乗。街乗りから高速道路、ワインディングまであらゆるシチュエーションで試乗して感じたことをレポートしていきます。

写真・文:西川昇吾

スカイアクティブXってどんなエンジン?

スカイアクティブXの技術的詳細を説明は難しく、それだけでかなり長い記事になってしまいます。なので詳細については割愛しますが、スカイアクティブXを簡単に説明すると通常のガソリンエンジンのようにプラグで炎球を作るというところはガソリンエンジンと同じで、そこから更にシリンダー内部を圧縮し、ディーゼルエンジンのように圧縮着火させ素早く燃焼させるというエンジンです。この燃焼システムはSPCCI(火花点火制御圧縮着火)と呼ばれています。この燃焼システムの作動状態は車両モニターで確認できるというのもメカ好きの心をくすぐります。

低回転域から実用トルクに優れる

今回はエンジン特性をより実感するためにあえてMTモデルに試乗。実際に自分の手足でギアチェンジ操作をすると、低回転からトルクフルなことに驚かされます。1,500rpmも回っていれば実用トルクは十分。このトルクフルな感覚はまさにディーゼルエンジンの特性という印象を受けます。これだけ実用トルクがあるのであれば、マニュアルトランスミッションでもある程度シフトチェンジをさぼっても街乗りは楽々走ってくれます。

気持ちのいいノビを見せる高回転域

しかし、最も驚いたのは高回転まで回した時です。「高出力NAエンジンだぞ!」というような気持ちよさをこのスカイアクティブXでは確かに感じます。正確には高応答エアサプライというスーパーチャージャシステムが付いているのですが、マツダはスーパーチャージャと表現せず、高応答エアサプライと表現しています。過給機の存在は感じさせず、高回転まで回した時のフィーリングは高出力NAエンジンのような気持ちよさがあります。

近年は各種規制からか、回して気持ちいいエンジンは市場から消えつつあるのですが、スカイアクティブXは最近のエンジンの中では久々に回したくなるエンジンでした。高回転にいくほど気持ちよく回転が伸び、パワーが出てくる高回転型NAエンジン特有のあのフィーリングがスカイアクティブXにはあるのです。トルクフルな低速域と高回転域でのノビの気持ち良さ、今まで絶対実現しなかったこの二つの両立をスカイアクティブXは実現しています。

高回転域での気持ち良さが気になって、あとから諸元表を確認すると最高出力発生回転数はなんと6,000rpm!(レッドゾーンは6,500rpmから)きっちり上でパワーを出すエンジンであることが分かります。やはり諸元表は噓をつきません。そして最高出力は190psでリッター当たり95psを実現。こうしてみると割とスポーティーなエンジンに見えてきますね。

驚きの旋回性能

また、今回の試乗で驚かされたのがワインディングでの旋回性能です。スポーツモデルにも負けないほどの旋回速度と安定性を見せます。感想を一言で言えば「すげぇ曲がる!」という感じ、これでスポーツタイヤを履かせていないのが驚くほどです。G-ベクタリング コントロールが大きく影響しているものと思われますが、気分的には「これならシビックタイプRにだってコーナーなら負けないぜ!」といった具合。運転が上手くなったかと思うほど吸い付くようにコーナリングし、次のコーナーが待ち遠しくなるほどワインディングが楽しいクルマでした。

これだけワインディングが良いと街乗りは固くて不快なのか?と思うかもしれませんが、そんなことはありません。「極上」とまではいきませんが、乗員にストレスを感じさせない乗り心地を実現しています。

これなら次期ロードスターも安心?

今回のマツダ3はスカイアクティブXエンジンにマイルドハイブリッドの組み合わせ。しかしながらハイブリッドがファントゥドライブは疎外するという様子は一切ありませんでした。そこで感じたのは、「こんな気持ちのいいマイルドハイブリッドのパワートレインが作れるマツダなら、次期ロードスターも安心だな」ということ。次期ロードスターは電動化されると噂されていますが、もしそれがスカイアクティブXとマイルドハイブリッドであれば、きっとロードスターらしい気持ちのいいドライビングができるクルマであることは間違いないと思います。それほどまでにスカイアクティブXとマイルドハイブリッドの組み合わせは嫌味がありません。

燃費が気になるという人も多いでしょう。高速道路での走行が多かったためか平均燃費は17.0km/L程度、やはりハイブリッドには敵いません。(しかもハイオク)またガソリンエンジン比で約70万円高いというところもネックなポイントでしょう。しかし、内燃機関のことを理解している人がこのパワートレインを味わえば、70万円の価値は理解してもらえるはず。まだまだガソリンエンジンにも未来はあると感じさせてくれる1台でした。

自動車ライター/自動車系MC

こう見えても1997年生まれ。富士スピードウェイ近隣で生まれ育ち、大学で自動車に関する学習をする傍ら、自動車ライターとしての活動を始める。現在は、新車情報はもちろん、自動車に関するアイテムや文化、イベントの取材記事も手掛けるほか、車両紹介動画やe-MotorsportsイベントMCを中心に自動車系MCとしても活動中。自動車が好きな1番の理由は「工業製品として個性が豊富なこと」そのため古い車も新しい車もどちらも大好き!愛車はマツダロードスター(ABS無)で、定期的に愛車でサーキット走行をし、ドライビングの鍛錬も忘れない。「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」目指して奮闘中!

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