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「踊る!介護ブレイクダンサー」瀬戸内海の島で「生きる歓び」を踊って伝える介護職員 

小田大河映像クリエイター

【概要】
本州と四国を結ぶしまなみ海道。その四国側の沖合8キロに浮かぶ大島(愛媛県今治市)は世界中から、観光客が急増している一方で、深刻な高齢化、過疎化に苦しむ島でもある。唯一の高校も廃校になり、6つの小学校は一つに統合された。
島の中心部にある特別養護老人ホーム「阿育苑(あしょかえん)」に介護職員として働く傍ら、床につけた頭頂部を軸にクルクルと軽快に回るブレイクダンサーがいる。苅田義矢(25歳)。住民の4割以上が65歳以上の高齢者という島で、現在20代でただ一人の男性介護職員だ。彼には、介護の仕事とはまた別の「ブレイクダンス」という生きがいがあった。学生時代は全国レベルの大会で入賞したほどの実力で、今もプロのダンサーを目指している。たまたま仕事の合間、入所者たちにダンスを披露したところ、予想外の大ウケ。「介護」と「ダンス」。この二足のわらじこそ、自分に与えられた使命と気づき、体力的に厳しい介護の仕事の中にささやかな喜びを見つけた。生と死…、希望と絶望…、島に暮らす、生きる気力を失いかけたお年寄りや、体の不自由な人々に、自らの踊りで「生きる歓び」を表現し伝えようとしている。そこには彼の生い立ちから生まれた壮絶ないじめ体験や、今は痴呆症に苦しむ祖母への思いなど、様々な理由があった。
不器用ながらも前向きに生きる若者。少子高齢化が進み、閉塞感ばかりが強調される日本の社会で、それでも希望と再生に向かって走る若者の物語を、美しい島の風景の中で描いた動画をぜひ見て欲しい。

【出演者】
出演者(ナレーションも)苅田義矢
※1993年生まれ。父は日本人。母はフィリピン人。ドイツで生まれ、3歳から大島で暮らす5人兄弟の長男。広島の大学時代からダンスを始め、卒業後はプロのダンサーを目指しながら、大島で唯一の特別養護老人ホームで介護士として働く。
    
【主なロケ地】
①夕日の展望台  亀老山(きろうさん)展望台
愛媛県今治市吉海町
②桜の絶景    開山(ひらきやま)公園
愛媛県今治市伯方町

受賞歴

ショートドキュメンタリー優秀賞
「踊る!介護ブレイクダンサー」
(2018年)
ATP賞総務大臣賞
TBSテレビ「風の歌が聴きたい」
(2008年)

映像クリエイター

大学卒業後、テレビ番組制作会社に入社し、NHK、TBS、フジテレビなどで主に情報系、ドキュメンタリー番組を担当。2007年映画「太陽てぃだ」監督・脚本。その後10年に渡り、世界50ヶ国を回って、ネイチャードキュメンタリー作品を中心に演出。現在はテレビ、映画の他に、観光用のPR映像も制作中。

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