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【南アルプス市】フルーツ王国 南アルプス市の果樹栽培の歴史 ふるさと文化伝承館にてテーマ展開催中

おがわひでいち地域情報発信ライター/写真家(南アルプス市・富士川町)

市内外の在住に問わず、誰かに南アルプス市の面白いスポットを尋ねられた場合、まず初めにお勧めするスポットがこちら「南アルプス市ふるさと文化伝承館」です。

今回はテーマ展【にしごおり果物のキセキ】にお邪魔してきました。

南アルプス市は全国的にもフルーツ王国として広く知られており、その歴史は遥か昔、弥生時代にまで遡ることができます。市内出身の方は、授業で学んだことがあるかもしれません。ただ、生まれ育ちが市内であっても、果樹栽培の歴史や経済の発展まで含めて、知る機会は少ないかもしれません。移住されてきた方ならば、尚のこと自ら知ることは難しいと思います。

一階展示室には、パネルでの解説の他に貴重な資料が展示されていて、古くからの南アルプス市のフルーツとの関わりを紹介しています。筆者も、ぶどう・桃が弥生時代から存在していると初めて知りました。

また、パネルや資料だけでなく、伝承館のスタッフの方から説明を受けると、より一層理解が深まりますし、市内在住の方は地元の素晴らしさを再確認することができるでしょう。

先にも触れましたが、伝承館のスタッフの皆さんがまた面白い。身振り手振りのお話を聞いていると、ただの解説ではない情熱が端々から伝わってきます。気持ちが伝わるので、聞いている側もまた話に引き込まれていきます。

作物の「野売り」から始まった商売が、「甲州商人」と呼ばれ「甲州財閥」にまで至るお話。何故、多品種栽培が行われてきたのか。等々、なかなか他では知ることができない情報をここでは知ることができます。

展示している資料も、地元の方々からの協力があって、とても充実したものになっています。写真は、果実出荷箱用のプリント金型です。屋号や所属する組合の銘、品種と重量を印字するのに使用していました。段ボールが主流になる前の昭和39年頃までは使わていたようです。台に直に置くのではなく、少し浮かせて照明で影ができるように展示されているのも粋な気がします。

今ではイメージが湧きませんが、実はマスクメロンも栽培されていたとのこと。色んな果物が栽培されていたことにも、ちゃんとした理由があって「ヘェ〜」と感心することしきり。一時は盛んに行われていたメロン栽培が何故衰退していったのかも、来館されて資料を見てスタッフのお話を聞いていただければ納得すると思います。

同じフロア内には、市内の果樹栽培に欠かすことができない「徳島堰」も紹介されています。先人の水との闘いを経て現在のフルーツ王国に至る歴史についてよく知ることができます。色々知ると地域を見る目が変わり楽しみが増えます。上の写真は現在の徳島堰です。春には桜並木が見事です。

テーマ展は1階で開催。2階の展示室には市内の鋳物師屋遺跡より発掘された、貴重な出土品が多数展示されています。国の重要文化財に指定されている円錐型土偶「子宝の女神ラヴィ」や人体文様付有孔鍔付土器「ぴーす」などは必見。これもまたスタッフの方々の解説を聞きながら見学すると、何倍にも面白さが増し地元愛が深まることと思います。

館内にはキッズコーナもあり、現在は休止中ですが体験メニューもあるので、お子様連れでも楽しめます。

テーマ展【にしごおり果物のキセキ】2022年6月24日〜12月21日開催

住所:山梨県南アルプス市野牛島2727

営業時間: 9:30〜16:30

入館無料

休館日:毎週木曜日(この日が祝日の場合は翌日休館)年末年始

問合せ:TEL 055-282-7408 FAX 055-285-7113

公式サイト

地域情報発信ライター/写真家(南アルプス市・富士川町)

本業の傍ら写真家としても活動しています。南アルプス市と富士川町の皆さんが「出かけたい」と思えるような記事をお届けできるように頑張ります。

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