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【南アルプス市】地味な公園?いえいえ、滝沢川の治水の歴史が刻まれた立派な公園でした

おがわひでいち地域情報発信ライター/写真家(南アルプス市・富士川町)

先日の晴れた日に、安藤家住宅の新しい駐車場の出入り口の確認に行ってきました。

従来、安藤家住宅へは県道105号一軒茶屋荊沢線を西に進んで、南湖橋東詰交差点の手前を左折しますが、住宅街の狭い道を走るので車のすれ違いが厳しいのが難点でした。新しい駐車場が完成すれば南湖橋交差点東詰交差点を左折して広い滝沢川沿いの道からの出入りが可能になるので、どんな感じか気になっていました。

写真奥が南湖橋東詰交差点
写真奥が南湖橋東詰交差点

交差点を左折すると、広く安心な道が滝沢川沿いに走っています。

奥に見えるは安藤家住宅
奥に見えるは安藤家住宅

この間の記事でご紹介した駐車場の反対側から見た様子になります。広く出入りしやすそうで良いですね。

公園は南湖橋東詰交差点と和泉橋東詰交差点の間にあります
公園は南湖橋東詰交差点と和泉橋東詰交差点の間にあります

で、当初は駐車場の確認だけのつもりでしたが、何気に同じ通り沿いに公園があって気になったので寄ってみました。

どうやらここは「滝沢川メモリアルパーク」と言うらしい。工事の事務所が建っていますが、それでも広さは十分な駐車場です。

園内には石碑が建てられ「滝沢川改修記念碑」とありました。裏に碑文が刻まれていましたので読んでみると。

本県の治水の歴史は古く、武田信玄公が行った信玄堤など幾多の治水事業は全国的にも有名である。滝沢川は櫛形山から一気に平地へ流れ出す急流河川であることから、土石を含んだ洪水が生じ易く、下流では典型的な天井川を形成していた。このため治水は極めて困難な河川であり、沿岸住民は永年水害に苦しめられてきた。治水の歴史を振り返ってみると、明治34年に上流部で砂防工事に着手して以来、積極的に流送土砂の防止を図り、また、下流部においては昭和21年から昭和30年に亘り一次改修を実施し、一応の成果を得ていたが、昭和46年より天井川を完全に解消すべく本格的改修事業に着手し、20年の歳月を費やして平成2年9月に完成した。また、工事から生じた掘削土は甲西工業団地等の造成に活用し、地域活性化のために有効利用を図るとともに、天井川の解消による旧堤防敷を利用して、県政の目指す望ましい地域づくり推進のため「住民と水辺の豊かなふれあい」をテーマに、河川環境の創造にも意を用いたところである。これらの事業により地域及び沿岸住民の末永い発展と安寧を祈念して建碑の辞とする。平成2年9月 山梨県

碑文より

シンプルにベンチと東屋だけ
シンプルにベンチと東屋だけ

櫛形山に端を発する滝沢川は長年流域住民を水害で苦しめてきました。市内各所には治水利水に関わる史跡や施設がありますが、ここもまた南アルプス市の歴史を語る上で外せない場所であることが分かりました(筆者が勉強不足なだけですが)

園路は広いとは言えませんが落ち着いた感じが散歩に良さそう。

西に櫛形山
西に櫛形山

北に八ヶ岳
北に八ヶ岳

南に富士山
南に富士山

園内には桜が植えられていて、間から周りの山々が良く見えていました。桜が咲く季節はまもなくです。その時また訪れてみたいと思います。

知らないでいれば、この景色もただの日常の一部でしかありませんでしたが、長い年月と多くの予算、人々の苦労の歴史を知ると感慨深く感じてきます。

あと少しの辛抱で暖かい季節が巡ってきます。静かに周りの山々と滝沢川の流れを眺めつつ、のんびりと過ごされるのもよろしいのではないでしょうか?

【滝沢川メモリアルパーク】
場所:南アルプス市西南湖
駐車場:あり
トイレ:なし

地域情報発信ライター/写真家(南アルプス市・富士川町)

本業の傍ら写真家としても活動しています。南アルプス市と富士川町の皆さんが「出かけたい」と思えるような記事をお届けできるように頑張ります。

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