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【富田林市】石川にある汐ノ宮火山岩とは?温泉の源泉、太古の昔の溶岩石を間近で見られるスポットを紹介

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林市の最高峰・金胎寺山の西にある嬉地区は、石川を挟んで河内長野市との境界線になっています。ところでこの嬉地区の北側から横山地区にかけて、ちょうど石川が西に蛇行しているあたりに、汐ノ宮火山岩と呼ばれる少し変わった岩場があります。

見た目は少しゴツゴツとしているこの岩、実は非常に太古からの歴史がある地質学上でも重要なものだとわかりました。さらには温泉の源泉にもなっているとのこと。汐ノ宮火山岩の紹介と、間近で見えるスポットを紹介します。

場所は河内長野市にある近鉄長野線汐ノ宮駅の近く。火山岩の名前から河内長野側の「汐ノ宮」の名前がついています。行き方ですが、汐ノ宮駅からは東側に歩いてください。願昭寺の方向に歩けば、石川の前に差し掛かります。

富田林方面に抜ける石川に架かる千代田橋から南側(上流側)から見た風景。画像の真ん中あたりに少し黒ずんだ岩や石が見えます。この岩石群が汐ノ宮火山岩と呼ばれるもの。

さて、汐ノ宮火山岩とは何か?これは元々火山から噴き出た溶岩が固まったものでした。約1600万年前に活動した瀬戸内火山帯の溶岩が地上に噴出。露出した頭の部分です。

やがて冷えていく溶岩・マグマの特徴でもある、六角形の柱状の割れ目(柱状節理:ちゅうじょうせつり)が形成されています。

また絶滅の危機にある貴重な野生生物、地形、地質、自然景観をまとめたレッドリストにも、大阪府版のランクCに指定されているほど、ここは希少価値があります。

この瀬戸内火山帯は、愛知県から九州に至る範囲で存在した火山帯。主に新生代第三紀の後半に活動し、愛知の鳳来寺山や太子町の二上山、四国の屋島や石鎚山などが属しています。ただ第四紀の時代には、活動の形跡がないため火山帯ではなく火山区という位置づけ。

しかし、火山だった名残を示すように、場所によっては良質な温泉が湧き出ています。有馬温泉もその一例。そしてここには汐ノ宮温泉がありました。昭和10年代には温泉街として紹介されているチラシが発行されています。

そして現在は画像の建物(株)シーエーシー 汐由温泉研修センター内(外部リンク)など、限られた範囲で温泉が利用されています。鉄分の多い含鉄-ナトリウム-塩化物強塩泉を泉質とした湯は、敷地内にある汐ノ宮火山岩より湧き出ているとか。

ところで橋の上からでは、少し遠くで見えにくい汐ノ宮火山岩。実はより間近で見られるスポットがありました。それは研修センターの裏側、嬉地区の田園地帯の農道を進んでいった先です。

この農道は画像のように大変狭く、加えて農作業以外の車の侵入が禁止されてる看板がありました。車では直接行かないようにしてください。

大体の位置を地図でお知らせします。上にも書いたように途中農道を通りますので、見学の際には、ごみを捨てたり汚さないなど、マナーちゃんと守りましょう。

さて、川の近くまで来ると、汐ノ宮火山岩が見えてきました。石が黒っぽいのと、ギザギザした石の形をしているのが見えます。

歩いて行けるギリギリのところでも火山岩が見られました。この石が、1000万年以上前の火山活動で地底から湧き出た溶岩の一部と考えるだけで、実にロマンを感じます。

研修センター側から流れ出ている水。未確認ですが、もしかしたら温泉かもしれません。

こうして、石川にある汐ノ宮火山岩を見てきました。地元のすぐ近くに太古の地質的な貴重なものがあり、しかも、かつては温泉街だったこと。今でも民間研修センターで温泉が利用されている点など、意外に知らないことがあります。

そして火山岩だけではなく、石川の流れ。河内長野の山々からこの富田林を南北に縦断していく川。決して大きい川ではありませんが、ゆったりと流れる自然の川を眺めていると気持ちが癒されていきます。

汐ノ宮火山岩
住所:大阪府富田林市嬉 
アクセス:近鉄汐ノ宮駅から徒歩15分

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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