【富田林市】どじょう供養はなぜ?眼の病にご利益のある瀧谷不動尊について、もう一度おさらいしましょう
近鉄長野線の駅名にもなっている瀧谷不動尊の境内には、どじょう供養ができる場所があります。なぜそのようなものがあるのでしょう?そこで、実際に体験してみて、どじょう供養とはどんなものかご紹介しましょう。
近鉄滝谷不動駅のホームにも、このように大きく瀧谷不動尊の看板があります。毎月8の付く日は縁日で、特に28日は特に重要な日として、終日にわたり秘仏の御本尊が開扉され、1日5回お勤めが行われます。
そして28日は不動尊の目の前の参道、大阪府道202号森屋狭山線が8時から17時まで通行止め。いつもと違った様相となります。
瀧谷不動尊(正式名称は瀧谷山明王寺)は真言宗智山派の仏教寺院です。この寺院の創建ですが、伝承では、西暦821年に空海が、本尊となる不動明王・矜羯羅童子(こんがらどうじ)・制多迦童子(せいたかどうじ)の像を刻みました。
その像を祀るために建立した由緒ある寺院です。一説には日本三不動といわれているため、縁日でも土日でもない平日に至っても参拝客の姿が絶えることがありません。この日も車の交通安全の祈祷のために、数組の参拝客と車の姿がありました。
今回のお話は、瀧谷不動尊全体ではなく、どじょう供養のこと。瀧谷不動は眼の病にご利益があるといわれており、その一環として、どじょうを川に逃がす風習があります。
しかしこれは、空海が不動明王の像を刻んだ古代の創建当時の風習ではなく、中世の南北朝時代から始まったことです。それでは、なぜそうなったのでしょうか?
さて、瀧谷不動尊と眼病平癒(眼の病が治る)という伝承は、南北朝時代のできごとが元となっているのだそうです。当時南朝方の武将だった楠木正成が、嶽山(だけやま)に城を築き、その中腹にある瀧谷不動尊の本尊を守護仏としてたてまつりました。
ここに、北朝方の室町幕府二代将軍 足利義詮(あしかが よしあきら)の軍勢が押し寄せ城を攻撃します。その影響で、不動尊の諸堂が焼け落ちてしまいました。
このとき、寺の建物は焼け落ちましたが、本尊の不動明王と矜羯羅童子(こんがらどうじ)、制多迦童子(せいたかどうじ)の像は不動尊境内にある滝の下に移されたために無事でした。
そうこうするうち、目の見えない老僧が突然のように姿を表します。老僧はこの滝のところに二間四面の小堂を建立し、不動明王の霊験を人々に説くようになりました。
こうして礼拝を続けていると、ある日、盲目であった老僧の眼が見えるようになりました。人々が驚いているうち、いつのまにか老僧は姿を消します。このことで信者たちはこの老僧が創建者である空海の化身であり、その空海が彫った不動明王に霊験があると信じました。
こうして不動明王は眼の病気にご利益があると信じられるようになり、眼が良くなるようにと参拝をするようになります。
この坂を下りると、本尊が移され兵火をまぬがれたという滝の方に行けます。
そして見えてきました。滝の手前にあるどじょう供養の場所です。さて眼の病が治ることと、どじょうとどういう関係があるかを紹介しましょう。
どじょうはいわゆる『身代わり』です。これはかつて、不動明王に目を治してもらおうと願う際に、人々が各地からどじょうを持ってきました。
そしてそのどじょうを境内の川に放えば、川に流されたどじょうが身代わりとなって、その人の眼の悪い部分を引き取ってくれるというのです。
このように自分の体の悪い状態をどじょうが持ち去ってくれたということで、自分の目が良くなる(目を開けてもらう)という信仰から来たものです。
滝の手前、どじょうを放すところの前の棚に、どじょうの入った缶が並べてあります。これを200円で買い取って流すという方式。
昔は、お祈りをする人がどじょうを各地からとってきてこの川に流したようですが、今となってはどじょうを手に入れるのは事実上不可能。そこで寺院側が、あらかじめどじょうを用意してくれています。
そしてすぐ隣に、どじょう料200円を入れる場所があります。私も仕事柄目を酷使しているので、どじょうに身代わりになってもらって疲れた目を癒してもらおうと、100円玉2枚を入れました。
さて、どじょうをひとつ買い取りました。ここから川にどじょうを流せば、身代わりに目の疲れを引き取ってもらえます。
ちなみにこれは仏事の「放生会(ほうじょうえ)」につながる行為。これは仏門での功徳(くどく)を積むために、魚鳥などの生き物を放つことです。つまりこの放生会に倣った信仰として、このどじょう供養が存在しているのです。
写真の左上にある白くて細いパイプを通って、どじょうが川に流されます。
筒の中に入ったどじょうが川に到達する瞬間をとらえようとカメラを構えましたが、間一髪タイミングがずれてしまいました。ということで文章上での報告となりますが、200円で買い取ったどじょうは、無事にパイプから川に到達。
広々としたところに解放されたのがうれしかったのか、勢いよく去っていきました。
この小さな川で、身代わりとなったどじょうは生きていくのでしょう。ちなみに瀧谷不動尊の説明では、眼の病を治すことに限らず、様々なお願いごとで、このどじょうを放つ人が増えているとのことです。
最後に滝を見てきました。この滝では滝行もできるようです。見たところ決して豪快な滝ではありません。しかしこの滝底の水のおかげで、本尊が兵火から逃れたと考えると、感慨深いものがありました。
瀧谷不動尊(外部リンク)
住所:大阪府富田林市彼方1762
電話番号:0721-34-0028
開山時間:6:00~16:30
アクセス:近鉄滝谷不動駅から徒歩15分