【河内長野市】スリランカダイニング アマヤはカレーマニアが通う全国的有名店。日本人の口に合う秘密とは
2020年8月に、河内長野市役所前から南海千代田駅の近くに移転した「スリランカダイニング アマヤ」。かつて大阪市内の阿波座にも支店があったこと、またその本格的な美味しさから、遠方からわざわざ千代田まで、カレーマニアが詰めかけている有名店です。
オーナーシェフのラヌカ・マピティガマさん(以下、ラヌカさん)は、スリランカのコロンボにあるヒルトンホテルコロンボのレストランで、シェフをしていたとのこと。そして、兄のラッキー氏を手伝うために2013年に来日しました。
同店は、ラヌカさんが来日する1年前、2012年4月に河内長野市役所前で開業。来年の4月で丸10年を迎えます。昨年8月、新しい商圏を確保するためということで、千代田駅近くの現在地に移転しました。
では、そもそもなぜ河内長野でとラヌカさんに質問したところ「大阪市近郊でありながら、自然豊かなところ」に注目したとのこと。故郷であるスリランカと同じ空をしていると思ったからだそうです。
さて、ここでラヌカさんの故郷、スリランカについておさらいしましょう。
三角形をしているインド亜大陸の先端近く、東側に浮かぶセイロン島にあります。日本と同じ島国なので、魚を使った料理が多いとか。食に関しては、インドやネパール、バングラデシュ、パキスタンといった諸国同様、南アジアのカレー文化圏に入ります。
カウンター席だったので、オーダーしたコッティを作っているところを、目の前で見ることができました。
ラヌカさんは、小麦粉で作られた生地を器用に手で空中に飛ばして回しながら、薄く丸く伸ばしていきます。そうしてできたゴーダンバ・ロッティという薄いパンのようなもの、それを焼いた上に、さらに細く切っていきます。
南アジアの料理は、スパイシーで独特の味わいがあり、好みが分かれるところです。
しかしラヌカさんは、「スパイス=辛さと思われがちですが、辛さ一辺倒ではない、奥深いスパイスの香りと風味の魅力を日本の皆さんに知っていただきたい」という思いを込めて、料理をしているそうです。
そのために、スリランカから自らスパイスを取り寄せて、配合を毎日のように研究。そして来店されたお客さんに合わせた辛さの調整を、日々意識しているとのことでした。
また、ラヌカさんは「スリランカ料理はインド料理と混同されやすい」という悩みがあるといいます。いってみれば、欧米人が日本料理と中華料理、あるいは韓国料理との違いがわからないのと同じようなニュアンス。
だからスリランカ人として、インドとは異なるスリランカ料理の魅力を周知・理解していただけるようにということが、今の最大の目標とのことでした。
本当はスリランカの代表的ビール ライオンビールを飲みたかったのですが、取材時は緊急事態宣言中で、お酒がアウトというタイミング。仕方なく、ラヌカさんおすすめのスリランカのドリンクをいただきました。
緊急事態宣言の解除された今は、生ビールも含め、焼酎など各種お酒が楽しめます。
さて、実際にラヌカさんが料理したスリランカ料理を味わってみました。
まずこちらは、魚のコットロティのハーフサイズ(500円)。先ほど、目の前で生地を延ばして焼いて切ってと、とてつもなく面倒な作業をしていたものが、こうやって炒め物として登場しました。
次に味わったのがチキンビリヤニ(1200円)。これは味の前に、その外観がハート形だったことに心が奪われました。もちろん味も、絶妙なスパイシー加減で素晴らしかったのですが、この後カレーを頼んでいたので、これは味見だけしてあえてお持ち帰りをお願いしました。
そしていよいよカレーが登場します。上がマトンのカレー(850円)と、下がダー(豆)のカレー(600円)。
マトンのカレーは焦げ茶色をしているのに対して、ダーのカレーは黄金色と対照的です。これには長粒米のバスマティライス(500円)に合わせました。あっという間に平らげてしまう旨さです。
さて、確かに見た目にはインド料理に近いものがありました。しかし、インド料理よりも多くの旨み成分を感じて、より食べやすく感じたのです。これは一流ホテルシェフだったラヌカさんの力によるものがいちばん。
しかし本当にそれだけでしょうか?その答えはスリランカ料理を調べると見えてきました。スリランカ料理とインド料理の違いは細かい点をあげればキリがありませんが、大きな違いとして、スリランカ料理に必須のモルディブフィッシュの存在です。
モルディブフィッシュは、インド洋に浮かぶモルディブで生産されているもので、マグロ(カツオ)を乾燥、固くした食品です。いわゆる鰹節のようなもの。スリランカ料理のほかには、本国モルディブと南インドの一部の州で使われています。
作り方に多少の違いがありますが、モルディブフィッシュの旨み成分と鰹節の旨み成分には、同じイノシン酸の働きがあります。
日本人は、鰹節を通じてイノシン酸の旨みを知っているわけですから、モルディブフィッシュを使うスリランカ料理にも同じイノシン酸の旨みを感じることで、日本人にとって味の親しみやすさがあるのではないでしょうか。
食事を終えた後のデザートはヨーグルト味。甘さもそんなに強くなく、後口がさっぱりしました。
今回アラカルトで注文しましたが、スリランカ料理を食べなれていない人はワンプレートに盛りつけられたアマヤセットがお勧めだそうです。スリランカのスタンダードな料理を吟味・凝縮した自信作ということでした。
ちょうどお客さまが少なかった時だったためか、食事の間、ラヌカさんは「辛さは大丈夫ですか?」など気遣ってくれた上に、ナスビのカレーやスリランカ式ふりかけ、玉ねぎのサラダなども、いろいろとサービスしてくれました。
同店のSNSでの口コミを見ても、料理のクオリティの高さと共に、ラヌカさんのホスピタリティの良さを評価する書き込みがとても多いのですが、なるほどと思える時間を過ごすことができました。
11/19追記:スリランカの都市表記への間違がわかり修正。大変失礼しました。
スリランカダイニング アマヤ 千代田店(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市千代田南町2-20
電話:0721-53-5033
営業時間:11:30〜14:30、17:00〜23:00
定休日:月曜日
アクセス:南海千代田駅から徒歩3分
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