【河内長野市】祝!世界かんがい施設遺産登録!!世界に認められた寺ヶ池を、祝意を込めておさらいします。
市内に数多くある池の中でも、滝畑ダムの滝畑貯水池の次の大きさで、ため池としては最大の規模をもつ寺ヶ池。多くのため池と違って、周辺が公園として整備されているので、とにかく市民に愛されている場所です。
11月26日の農林水産省(外部ページ)の発表で、この寺ヶ池・寺ヶ池水路が、2021(令和3)年の世界かんがい施設遺産として登録されることが決まりました。
さて、世界かんがい施設遺産(外部リンク)ですが、詳しくはリンク先をご覧いただくとして、ここでそれを簡単に説明します。
農地に外部から人工的に水を供給することを「かんがい(灌漑)」といいますが、そのかんがいのために作られた歴史的な施設に関する登録制度が、世界かんがい施設遺産です。
かんがいの歴史・発展を明らかにして理解するために、歴史的に価値のあるかんがい施設を、国際機関である「国際かんがい排水委員会(ICID)」が2014年から認定登録制度をおこなっています。
登録の為には、建設から100年以上などの登録基準に満たし、ICIDの理事会審査を通る必要があります。
世界かんがい施設遺産には、これまでは世界で65ヶ所が登録されており、そのうち日本では35ヶ所が認定・登録されていました。
大阪府では、大阪狭山市の狭山池、岸和田市の久米田池、それから柏原・八尾・東大阪にかけて存在する大和川分水築留掛かり(やまとがわ ぶんすい つきどめ かかり)が既に登録されています。
寺ヶ池は今年の5月の段階で、国内審査を通過。そして11月26日に正式に登録が決まりました。ちなみに国内では、このほか、大分県にある宇佐のかんがい用水群も同時に登録が決まっています。
ここで祝意を込めて、寺ヶ池についておさらいしましょう。寺ヶ池は今から400年ほど前の江戸時代の初期、1633年から49年までの16年をかけて作られました。
現在の上原町付近にあった上原村の庄屋(村の現場管理者)、中村與次兵衛(なかむらよじべえ)が、当時この地を支配していた膳所(ぜぜ)藩と交渉。彼が中心となって、新田開発を目的として行われた事業です。
事業は、池の南にある小山田村(現在の小山田町)と北側にあった市村(現在の市町)の村境にあった小さな池を拡張する形で行われました。16年間で延べ4万人が動員されたそうです。
そして、池と同時に登録されたのが寺ヶ池水路。寺ヶ池は完成してから一度も枯れたことがないといわれます。寺ヶ池は、大阪府でいちばん深い池と言われ、もっとも深いところで30メートル。
また、池の水が枯れない理由は、石川から水を取水して池に引いている点が大きいようです。
寺ヶ池水路は、池のある場所から6キロメートル近く距離がある地点で、滝畑と日野の境目あたりにあるとか。そしてこの寺ヶ池水路も中村與次兵衛らが作りました。
曲がりくねった山の斜面を切り開き、高低差を計算して作られた水路の長さは約14キロメートル。今も石川の上流から水路を通って寺ヶ池に流れています。
ちなみに石川から入ってきた寺ヶ池の水は、北堤防より流出し、灰原池、稲田池を経由して最終的に石川に戻ります。
そして寺ヶ池とその水路ができたことで、新たに市村新田(現在の木戸周辺)が誕生しました。こうして中村與次兵衛は、その功績により膳所藩の河内の永代郷代官に任じられ、市村新田に屋敷を与えられます。
「一に寺池(寺ヶ池)、二に狭山池、三に久米田池」という古くからの言葉があります。寺池というのは、同じ名前の池が富田林市にもありますが、ここで指しているのは河内長野の寺ヶ池のこと。
2の狭山池と3の久米田池がすでに世界かんがい施設遺産の登録を済ませていましたので、寺ヶ池が登録されたことで、ようやく追いついたといえます。
寺ヶ池公園
住所:大阪府河内長野市小山田町
営業時間:24時間自由入場可能
定休日:無休
料金:無料
アクセス:南海千代田駅から徒歩10分