【河内長野市】河内長野駅近く、電車から見える個性的住宅群の正体は?敷地内にある谷川遊歩道の秘密も紹介
河内長野駅は言わずと知れた、南海と近鉄のターミナル駅ですが、どちらの電車に乗っても駅に到着する直前に、いつも気になる建物が見えます。それは個性的なデザインをした集合住宅群。
この3棟のマンションを中心とした住宅群は、周辺の住宅と比べて建物が高いためか、石川を挟んだ富田林の嬉地区からも非常に目立つように見えます。
この集合住宅群を調べてみると、向野地区にあるアメニティ長野と呼ばれるものだとわかりました。正式名称は「向野住宅街区整備事業施設住宅」。
歴史を調べると、1988(昭和63)年に、大阪府住宅供給公社が「河内長野市住宅街区整備事業」の一環として竣工し、1990(平成2)年に住宅団地と市道が完成。そして2年後の1992(平成4)年には、第12回 大阪まちなみ賞の特別賞(外部リンク)を受賞したのだそうです。
建築されて既に30年以上経っているわけですが、独特なデザインのためか、周囲の雰囲気と比べてもまだ新しくできたように感じますね。
このアメニティ長野があるのは、かつて旧千代田村の一部だった河内長野市の向野町地区。旧千代田村は、戦前まで近鉄汐ノ宮駅周辺が町の中心でした。
しかし昭和13年に南海千代田駅ができてから、南海側に千代田の中心が移っていき、汐ノ宮駅周辺がさびれてしまいます。
そのため、近鉄汐ノ宮駅に近かった向野町地区は、南海千代田駅よりも利便性の良い旧長野村(町)の河内長野駅のほうを、生活エリアとしていったという経緯があるそうです。
画像は、古野町方面からアメニティ長野に向かうための階段です。これを降りて横断歩道を渡るとそこにあります。
アメニティ長野に来ました。建物の前は細長い公園になっていて、入口に「谷川遊歩道」の文字が見えます。どうやら谷川という名前の川が流れていて、その横を歩いて楽しめるように整備されているようです。せっかくここまで来たので歩いてみることにしました。
少し歩くと、広場のようなものがありました。
こちらには、不思議な形をしたモニュメントもありますね。
小さな水路のような川を発見しました。この川が遊歩道と並行して続いています。
ただ、かんじんの水が流れていません。これは季節によるものか、もしくはコロナ禍の影響なのかも。
水は流れていませんが、アメニティ長野にある小さな川の水路と遊歩道は、車の心配をせずに散歩できて心地よいですね。
しかし、歩いているとどうしても気になるものがあります。それは画像の真ん中から上に見える青緑色のボックス。これが遊歩道に定期的に現れます。これはいったい何なのでしょうか?
気になって仕方がないので、網目になっているボックスの中を覗いてみることにしました。
網目の間から中を覗くと、結構深い濠になっていました。
そしてその正体がわかりました。なんと、遊歩道と並行した水路とは別に、地下に水が流れているのです。
この地下水路の正体ですが、この水路こそが遊歩道の名前についている本当の谷川です。谷川遊歩道の説明版を見ると、谷川雨水幹線(うすいかんせん)の上部空間を利用して、向野地区を魅力的な街にしようと作られたものです。
ちなみに雨水幹線(地下の川)とは、道路などに溜まった雨水を大きな川に配水するためのものだそうです。本来目に見えないところを流れている地下の川。その上に人工的な川が並行して流れているので、まるでふたつの川が立体的に並行しているみたいですね。
こうして谷川遊歩道を歩き終えました。約1kmの距離があり、ジョギングコースとしても使えるようになっているとのこと。
最後に谷川遊歩道の道路の反対側を見ました。遊歩道の地下を流れていた水路が表に出て流れています。これは恐らくアメニティ長野ができる遥か以前からあった谷川。
それにしても住宅に住む子どもの転落防止も考えたうえで、川を地下にしてその上に楽しく散歩できる道と遊べる水路を用意したのは、中々良いアイデア。特別賞を受賞した理由もうなづけました。
谷川遊歩道
住所:大阪府河内長野市向野町
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩15分