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【富田林市】2022年は北北西!恵方巻は事前予約で寿司屋さんを応援。「内海」の恵方巻は絶品美味でした

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

1月も末近くになれば、次の伝統行事は2月3日の節分です。節分の次の日が、暦(こよみ)上では春を迎える立春です。

本来、節分には季節の分かれ目という意味があるんだそうです。そのため春だけでなく、夏、秋、冬が始まる直前に節分がありますが、なぜか春の訪れを迎える2月3日の節分だけが有名ですね。

古くから節分という季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると信じられており、節分に悪霊払いを行う行事がありました。「鬼は外、福は内」との掛け声で豆をまくのが節分の代表的な風習。それからイワシを食べるというのもあります。

そして、最近はコンビニなどでも積極的にアピールしている「恵方巻」が、節分の風習のひとつとして定着しています。

では、この恵方巻にはどんな意味があるのでしょうか? 調べると、古来に正月にあった恵方詣り(えほうまいり)から名前がきているとのこと。

恵方参りは元日の行事で、住んでいるところから見て、その年に陰陽道の歳徳神(としとくじん)が在位する方角(恵方)に当たる社寺に参拝する習わしがあります。ちなみに2022(令和4)年は北北西が恵方となっています。

残念ながら今はこの恵方詣りの風習は廃れましたが、代って出てきたのが恵方巻。これには諸説ありますが、もっとも有名なのは、商都・大阪の海苔業者が販売促進のために始めたというもの。

大正時代から終戦後の間にはすでに丸かぶり寿司を作っていたという記録があるそうですが、はっきりしたことは不明となっています。

古い恵方詣りの風習を利用して、海苔巻きを節分に食べてもらおうという商売人の発想はともかく、1970年代以降にマスコミに紹介されるようになってから、急激に恵方巻の存在感が出てきました。

そのためスーパーやコンビニで恵方巻の予約を開始し、バレンタインデーのチョコレートと並んで、1月下旬から2月にかけて、いろんなところで恵方巻販売の広告を見ます。

しかし、海苔巻きは寿司ですから、やはり寿司職人が握る海苔巻きで恵方巻を食べるというのが、いちばんしっくりくるような気がします。

そこで今回は、川面町・石川に面した、寿司・懐石の内海さんにお伺いし、ひとあし早く恵方巻を巻いてもらいました。

こちらが寿司職人・内海さんの恵方巻で、3種類あります。料金はいずれも消費税込みです。

  • 上巻き寿司(1本800円)
  • 海鮮七福巻き(1本1200円)
  • 特上巻き(1本1500円)

上巻き寿司は三重県産のウナギをはじめとした7種類の具の入った贅沢な巻きずし。海鮮七福巻きは、女性に人気のサーモンなどが入った福が舞い込む一品。そして特上巻きは、まぐろトロやかになど、ネタの豪華さにこだわっています。

3種類とも、具の数をラッキーセブンでまとめている点が特筆すべきところ。福が舞い込むようにと、おめでたいイメージを演出しています。

このほかハーフサイズのお子様セット(5本入り700円)、焼イワシ(1匹400円)、ねぎとろ中巻き(1000円)、鉄火巻き(400円)いか胡巻き(500円)、えび胡巻き(500円)、しんこ巻き(300円)、かっぱ巻き(300円)があります。

いずれも予約制で、できれば2月1日までに連絡して欲しいそうです。

巻きすしは持ち帰って家でゆっくり味わうことにしたので、せっかくの機会、内海さんにお店の話もお伺いしました。内海さんは富田林の料理人たちが集まる富田林料飲宿組合の副組合長をされているとかで、富田林の料理事情にも詳しい方でした。

内海さんご自身のお話をお伺いすると、もともとは松原市の出身。

学生時代、「自分の手で何かを作り上げる仕事がしたい」と、設計関係の仕事に進むことを考えていたそうですが、居酒屋さんでのバイトをきっかけに、自分のアイデアや努力次第でお金が稼げる自営業に憧れたのだそうです。こうして料理人への道を志しました。

参考画像:大阪市中央卸市場
参考画像:大阪市中央卸市場

また内海さんの父親が、かつて大阪中央市場すぐ、野田阪神の商店街でうなぎ屋をしていた経緯もそれを後押し。節分の恵方巻に三重県産高級国産ウナギを使っていたり、今の食材にこだわる背景もうなずけます。

修業時代は、和歌山の旅館を皮切りに肥後橋のお店などを経て、最後は大阪いちばんの老舗高級ホテル、リーガロイヤルホテルで料理人として腕を磨いたそうです。

1996(平成8)年に独立し、現在のお店を開業。富田林の石川沿いのこの場所にした理由は、親族の方の関係のあったこの場所の物件が開くからというタイミングであったとか。

若松町、中野町東、川面町のあたりは、工場や会社が密集している地域なので、接待や宴会需要が見込まれる地域でもありました。

開業5年後には、隣で営業していた喫茶店が閉店することになり、その場所も借りることに。現在の規模にと拡張したそうです。

営業スタイルですが、かつては近所にお勤めの方向けに、昼定食などを出していたそうです。しかし時代の変化もあって、近隣にチェーン店が増えたことから、路線変更。従来通りの仕出しはそのまま継続していますが、今は昼も夜も完全予約制としています。

お客さま1組1組の料理を丁寧に、よりグレードを高めること、職人としての腕を存分に発揮できる形としてがその理由。最近、味にこだわる店がこのスタイルに変更するケース、とても多く見られますね。

一般的な日本料理店の多くは、宴会接待需要が大きな割合を占めていました。しかしそれは、このコロナ渦で大幅に減少。時短営業の要請などで、より厳しい営業を強いられています。

恐らく多くの頑固な料理人は、この状況になっても「俺の腕さえあれば、客は必ず戻る」と精神論的な方向で足踏みしているのではないでしょうか。

しかし、内海さんは違いました。「コロナ渦でも安心できるお店として、お客さんに利用していただける方法がないか?」このコロナ渦で時間的に余裕ができたことを逆手に取り、大きな店内改造を行いました。

例えば、画像の座敷席。足が悪い人や洋風中心の生活スタイルの現代人に合わせて、従来は大人数の宴会ルームだった和室にテーブルといすを置きました。

また、コロナ感染で最も怖いのは換気。そこで内海さんは、24時間換気出来る大がかりな仕組みを導入しました。

画像のように常に新しい空気が店内に入り、空気を循環させるシステム。店内全体に設置されていて、利用者として安心して外食できる環境としています。この設備を導入している店は大阪府全体を見てもまだまだ少ないので、凄いとしか言いようがありません。

店内の換気システムはこのように確立したわけですが、それでもコロナ禍とあっては、室内での食事に抵抗を感じる人がいるのも事実です。

「外の席を設けたいが、寿司屋でそんなことが出来るだろうか」内海さんは考えました。

画像提供:内海さん
画像提供:内海さん

「こたつに入っていただいたら大丈夫なのではないか」そうひらめいた内海さんは、自らの手でついに実行に移しました。店の前の空間を利用して、屋外にこたつの座敷を作ったのです。

画像提供:内海さん
画像提供:内海さん

店内の座敷と同じように、座ることが苦手な人にも楽しんでいただけるようにテーブル席とし、椅子でこたつに入って料理を楽しんでいただけるスタイル。春になれば、石川沿いの桜を見ながらという楽しみ方もできるというわけです。

内海さんの前向きな、実に元気になるお話を伺った後、家に戻って、さっそく購入した巻きずしで、ひとあし早い恵方巻を楽しむことにしました。

上巻き寿司です。具材は三重県産のウナギを始め、海老、玉子、椎茸、新香、胡瓜(きゅうり)、おぼろが入っています。これがいちばん人気とか。

また、これは内海さんのすべての恵方巻に言えることですが、内海さんは具を錦糸卵で巻いてから寿司めしを海苔で巻いています。そのためでしょうか?断面をみれば、具とごはんの間に、黄色い筋が弧を描いていて、ビジュアル的にも美しい巻きずしでした。

海鮮七福巻きです。中に入っているのはまぐろ、サーモン、いか、玉子、胡瓜、椎茸、おぼろです。断面を見ただけで確かに福が舞い込みそうです。

最後は最も豪華な特上巻き。こちらは、まぐろトロ、穴子、かに、玉子、胡瓜、新香、椎茸、おぼろです。

本来恵方巻というものは、陰陽道の神のいるその年の恵方の方角に向かって、節分の日に無言で丸のまま食べるもの。

しかしまだ1月ですから、寿司職人の握る美味しい巻きずしとして、切っていただきます。いずれおとらず、美しくて素材ひとつひとつがしっかり美味しい、まさにベテラン料理人さんの巻きずしでした。

このように料理一筋のように見える内海さんですが、実はコロナ渦前の近年、技能実習生のお世話のためにミャンマーに通ったりもしていたそうです。

そういう新たな仕事に向かう行動力や、本業で困難を受けた時の解決力など、内海さんは素人がイメージする頑固なすし職人とは対極的にいる人なんだと思いました。

寿司・懐石・内海(外部リンク)
住所:大阪府富田林市川面町2-2-27
電話:0721-24-1234 
営業時間:11:30~14:00、17:00~22:00 (完全予約制)
アクセス:近鉄喜志駅から徒歩20分

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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