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【河内長野市】寺ヶ池近くに21世紀初頭まで存在していた幻の念仏池、2022年の今はどうなっているの?

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市を含めた南河内は、ため池が多い地域。これは川が南北に流れている石川しかないために、狭山池のように古代からため池を作って農業用水に使っていたからなんだそうです。

しかし、20世紀後半以降は新興住宅地が次々と造成され農地が減少していったので、中にはその役目が終わってしまった池もあります。

寺ヶ池
寺ヶ池

大小いろんなため池がありますが、眺めていると勝ち組と負け組のようなものがあるのではという気がすることがあります。例えば寺ヶ池は間違いなく勝ち組ため池の代表のようなもの。

干上がったことが一度もないほど深く、かつ歴史的な意義が大きいこともあり、池の周りが公園として整備されました。

さらに2021年の秋には世界かんがい施設遺産に登録されました。寺ヶ池は今も水利組合が管理しており、この存在はこれからも重要であることは間違いありません。

灰原池
灰原池

また、不要ということで埋められた池も、少なからずあるのは事実。画像の灰原池のように、全部は埋め立てられていませんが、半分が千代田中学校にの敷地になったという例もあります。

ため池は農業用水に使っていること、その構造上から人が入ると危険な存在と聞いたことがあります。やはり小さな子供が危ないからという理由で、不要なため池は埋め立てられることがあるのでしょうか?

ところがある河内長野市の地図を眺めていたときのこと、本当に破片のような、水たまりのような池が寺ヶ池の東側にあることがわかりました。野球場のさらに東側にあるようで、念仏池と表記されています。

そこで「念仏池という言葉も気になる。それ以上に気づかなかった小さな池を一度見てみよう」と改めてYahoo地図で確認したのですが......。

このように、寺ヶ池の横には池のようなものは何もありません。本来なら東側に破片のような水たまりがあるはずです。ちなみに野球場の下にある水色は、寺ヶ池公園プールです。

さらに調査を重ねると、地形図というものを閲覧する機会がありました。地形図は標高なども記されている地図で、土地の高さなどが分かります。それをみていくと、野球場の東側に少し大きなくぼみがあり、そこに「念佛池」と書いてありました。

佛は仏の旧字体なので、念仏池と同じものだとみても差支えないでしょう。

地図Bをもう一度見ると、野球場の東側に何もないエリアがあります。ということはここに念仏池がある(あった?)と推測できました。

同時に念仏池について調べてみると、どうも21世紀の初頭ぐらいまではあったそうですが、住宅を建てる計画があり数年前の時点で埋め立てられたとのこと。

さらに念仏池にもため池を管理する水利組合が存在したようなのですが、今はどうなっているのかそのあたりもよくわかりませんでした。

それならば現地に行ってみようと、念仏池があったと思われる場所に行くと、確かに工事車両が並んでいて、池は埋め立てられているのがわかります。

ところがよく見るとわずかに水が溜まっているのを発見。これは「もしかして、念仏池の最後の状態?」つまり「地図A」で、示された破片の水たまりという気がしました。

高台から見ると、地図Aの形をした破片ではありませんが、水が溜まっているのが分かります。さらにその水たまりの周囲なのですが、段差がある部分で水が入っていないところがあります。

数年前に埋め立てられて、その気になればすぐに埋めてしまうのも可能なはずなのに、この段差がいまだに残っている?と疑問に感じたのですが、このとき別のため池が頭に浮かびました。

市役所前にある大池
市役所前にある大池

市役所の横にある大池です。この池は季節によって水が溜まっているのですが、冬の時期は干からびていて、池の底が見えており、本当に水たまりだけが残っている状態。何らかの理由でこのようなことをしているのでしょう。

ということは念仏池も、今はあの程度の水たまりですが、時期によってはもっと大きくなるのかなと。

日を改めてもう一度見てきました。これは昨日、2022年2月1日現在の状況です。

池の南側を見ると、埋め立てられたところにアスファルトの道路が数本出来ています。

この間に、集合住宅か戸建て住宅なのかはわかりませんが、やがてそれらのものを建てるのでしょう。

そして、以前も見た念仏池(水たまり?)はどうなっているのでしょうか?

数日しかたっていないのですが、特に変化はありません。ただ右側を見ると床にタイルのようなものが貼られている数が増えているように感じました。

もしかしたら、住宅地の横の親水公園のような状況で、破片の水たまりとなった念仏池を残すのではと勝手に想像してみました。

また念仏池つながりで見つけたのですが、岐阜県の揖斐川町にある同じ名前の「念仏池(外部リンク)」も大きなものが埋め立てられながらも、小さな池が残されているようなことが書いてあります。

河内長野にかつてあった(?)念仏池という存在。ため池としての役目は終わったものの、住宅地の横でその歴史とともにかすかに残っていたら素敵かなと。仮にもしこの後埋められてしまっても、この記事で、念仏池最後の姿を記録にとどめられたのではと思います。

2022.2.16追記:念仏池のことをご存じの方からかつての念仏池の様子を教えてもらいました。ありがとうございます。引用させていただきます。

横にある団地に住んでいました。この辺りは森になっていてカブトムシやクワガタを獲ったり、秘密基地を作ったりしてあそんでいました。この念佛池も一時期、釣り堀になっていたのを思い出しました。機会があれば見に行きます。懐かしい話題をありがとうございました。

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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