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【河内長野市】河内長野市栄町にある首無地蔵!恐怖どころか手厚いご加護がある地蔵様の由来を探りました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野を含めて、奥河内周辺には数多くの地蔵堂があります。ところで首無し地蔵と聞くと少し恐怖を感じるかもしれません。

しかし、より科学的に考えたとき、地蔵そのものの素材は石でできており、時がたてば自然の風化などにより必ず壊れてしまうもの。特に首の部分は顔と胴体と比べて細いので、そこは特に割れやすいと考えられます。実際に全国各地にも首なし地蔵が存在します。

河内長野市内にある首無地蔵は、市の中心、栄町の中にあります。河内長野駅とラブリーホールの間にある七つ辻や川見の辻から非常に近いところにありました。

目印になるのはこちらの児童公園(下西代ニコニコ公園)です。この公園に隣接するように地蔵尊があります。

こちらが首無地蔵尊が祀られている地藏堂です。ここからでは地蔵菩薩の赤い涎掛け(よだれかけ)から下しか見えませんが、近づいてみると。

このように、首が無いのがわかります。さてお堂の左横に由来の説明書があります。少しずつ引用してみましょう。

昔、おそらく明治初期のころかと思います。町の古老から伝え聞いた話によりますと、或る日の一体の地蔵尊が此の地におかれました。正式の名を庄之木地蔵尊というお名前以外は、どなたか、どこから運んでこられたこられたものか全く定かではありません。

ここで分かることは、明治初期のころにはこの地に安置されていたもので、正式の名前が庄之木地蔵尊ということ。それ以外の伝承などは残っていないようです。

少し近づいてみました。やはり本当に首から上がありません。説明書には次のように書かれています。

そのころこの辺りは一面田んぼばかりだったそうです。近隣の方々はさっそく丁寧にお祀りをはじめ、自らも信仰いたしました。この地蔵尊には、はじめから首から上がありませんでした。不思議にも数々の御利益の中でも首から上の事には格別の霊験があらたかにて信者の方々の評判になりました。

首がない地蔵様ですが、そのない部分に御利益があったということなんですね。

地蔵様の目の前には願い事をかなえてもらうときに唱える呪文、真言(しんごん)が、書かれています。「おん かかかび さんまえい そわか」を3回唱えます。真言を唱えたうえで願いごとをお願いすると、次のような御利益があるそうです。以下引用文。

例えば首から上の病気快癒、子供さんたちへの聡明知慧授与、心の中の悩みに頭を痛めていられる方などのお願いには大層おかげをいただく方が数知れず、誰言うことなく首なし地蔵さんの愛称で呼ばれるようになり、人々から親しみと尊敬を集めて居ります。

首から上の病気や悪い部分を直してくれるだけでなく、子供に知恵が授かる、あるいは悩み事があるために、頭を痛めている方にも御利益があるとのことです。

説明文のつづきを見ると、この地蔵堂が再建された様子と、地蔵堂を守るための組織・奉賛会についての記述がありました。

昭和54年秋、信者の皆さんの御寄近で傷みの激しかったお堂も改築され、又、平成元年には奉賛会が結成されて、現在お地蔵さんのお世話を致して居ります。

この記事のようにネットがなかった時代でも、河内長野栄町の首無地蔵尊は御利益が高いことで噂が広まったそうです。このときもきれいな花が数多く飾られていました。

噂を聞いて今ではずいぶん遠くからでも足を運ばれ信仰する方も多く、線香の煙とおローソクのお灯りは、まだ明けやらぬ朝(あした)より、深夜中まで絶え間のない状態です。

首なし地蔵さんも大勢の方々の深き御信仰に心からご満足なされ尚一層のご加護を下さる事と思います。 首無地蔵尊奉賛会

上は説明文の締めくくりの部分です。「首無」という外部的なイメージで恐怖を感じるのではなく、むしろ信仰心をもって拝めば、ご加護があり御利益が叶うとか。

それ以上に明確な説明書きが設置されていることで、地元の方たちが地蔵堂のことをもっと多くの人に知ってほしいという強い思い、信仰の深さを感じました。

首無地蔵尊(庄之木地蔵尊)
住所:大阪府河内長野市栄町6-23
アクセス:南海・近鉄河内長野駅から徒歩6分

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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