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【河内長野市】大阪府警察のカレンダーに登場!地元で愛されている河内長野・天見の駐在さんにインタビュー

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

先日、SNSを通じて、河内長野のある地域で住民にたいへん頼りにされている駐在さんがいることを知りました。

きっかけは、こちらの大阪府警察が警察官の活躍を紹介するために作成された、2022年のカレンダーです。

カレンダーの1月と2月のページに、なんと天見駐在所が紹介されていたのです!

これをきっかけに天見の駐在さんのことをいろいろ調べたくなり、大阪府警察本部に問い合わせました。広報課から紹介された河内長野警察署の担当者の方からお話を伺うと、驚きの事実がわかりました。

天見の駐在さんには、天見の人たちから非常に信頼されているエピソードがあるそうです。それは「この駐在さんにずっと天見にいてほしい」という思いから、過去4回も嘆願書を警察に提出しているとのこと。

そのため、天見駐在所の歴代の駐在さんで最長の、これまで12年間勤務されているそうです。地元の方たちに嘆願書を作ってまで、ずっといてほしいと言われるとは、本当にすごいお話です。

「カレンダーに紹介され、地元に愛されている天見の駐在さんご本人にインタビューしたい」。私はそう決心し、河内長野警察署の全面協力を得てインタビューが実現しました。

そういえばこのようなことがありました。1月8日に天見地区の流谷八幡神社で行われた「勧請しめ縄飾り」のひとこま。天見の駐在さんが集落の方と協働して、伝統あるしめ縄作りを手伝っていました。

ここで駐在所について、簡単に解説しましょう。交番と駐在所は、地域住民の身近なところにあり、そこに警察官が勤務して、地域住民の皆さんの暮らしの安全を守る活動をする拠点になっています。

交番は主として都市部に置かれ、警察官が交代で勤務し、各種警察活動を行っています。駐在所は、原則としてひとりの警察官が駐在して、地域の安全を守る警察活動を行っています。

河内長野には現在5軒の駐在所があり、天見のほか、川上、高向、天野、滝畑にあるそうです。

インタビューの前に、天見の駐在さんの活躍ぶりを紹介しましょう。

朝7時55分、定刻通り和歌山県橋本方面に向かう急行電車が天見駅に到着しました。この電車で降りてきた小学生が登校するのを見守るところから1日がスタート。

天見小学校は、2000年に小規模特認校に指定されました。これは、天見周辺地区だけでなく、河内長野市内全域から通学できる特認制度。大阪府内では初めて適用された小学校なんだそうです。

こうして、市内各地から天見駅に降り立った子供たちが、行列を作って小学校に向かいます。それを「おはよう!」とひとりひとり声を掛けながら見守る天見の駐在さん。学校があるときは、毎日こうして朝の見回りから一日がスタートするそうです。

天見駅から小学校まで、後ろから見守る天見の駐在さん。横にいるのは小学校の先生です。

小学生は天見駅から降りるグループのほか、元々の天見に住んでいる子どもたち、それから隣の千早口駅から歩いて、途中で駐在さんらと合流する子供たちのグループがありました。

こちらが天見小学校です。学校に到着するとほぼ同時に、グラウンドで早くも子供たちの歓声が聞こえました。

この後、天見の駐在所に向かい、いよいよ天見の駐在さんにインタビューさせていただきました。なおインタビューの内容は、駐在さんご本人から発せられた言葉をもとに、こちらで要約、編集したものとなっています。

1. まず初めに、警察官を志望したきっかけを教えてください

子供のころの夢は、『人の役に立つ職業に就きたい』ということでした。結果的に警察官の道を歩みましたが、そのほかに消防士か自衛隊など、とにかく人の役に立つ職業への憧れがありました」

「いろんな職業がある中で、警察官になると明確に決めたきっかけは、大学生の時の母親の事故でした。事故以降、母親は事故のあったその道を通れなくなったのです」

事故に遭遇したショックで精神的ダメージを受けた母親を見たことが、警察官になる大きな動機付けになったとか。

「だから私は、『こういう悲しい事故を減らしたい』との思いから、警察官になることを決めました」

2. 警察官になって、天見駐在所に勤務するまでの経緯を教えてください

「私は警察官になった後、まず大阪市内の交番勤務から始まり、一時は機動隊に所属していました」

「警察官になって5年目だったと思います。天見駐在所で駐在さんの募集をしていることを知りました。ここで私は、子供のころ見た岸和田の駐在さんのことを思い出しました」

「私は岸和田市の出身ですが、中でももっとも山奥で生まれました。そこにも駐在さんがいたので、私にとって駐在所とはどんなところか、とてもなじみがあったんです」

「このとき『私にとって駐在は原点ではないか?』と思い、天見駐在所の駐在に応募しました。家族とも相談しましたが、そのときに強い後押しがあったことが大きかったです」

私はここで初めて知ったのですが、駐在さんは希望すれば誰でもなれるのではなく、警察内での選考試験に合格しないとなれないのだとか。天見の駐在さんはその試験に合格し、ご自身の希望どおり天見駐在所の勤務となったそうです。

3. 天見に赴任して、この地域の第一印象と、その印象の変化などは?

「天見に来るまで不安と期待が入り混じっていました。岸和田との違いとしては、駐在所の前の交通量が多いことでした」

「私が天見駐在所勤務をはじめた12年前は、石仏バイパスが無かった時代です。当時この前の道には1日2万台の車が走っていて、とても事故が多かったのです」。

2018年に石仏バイパスができてから、駐在所の前の交通量が激減。年間120件あった事故が、50件未満に減少したそうです。

「もうひとつは、1本、中の道に入った時のギャップです。車の数がほとんどなく、本当にのどかな印象を受けました」

4. 天見地区の地域特性はどんな感じでしょうか

「天見だけでなく河内長野全体にいえることなのですが、凶悪事件がない代わりに、空き巣が少なくないという印象です。特に天見は家同士の距離が離れていますね。もし何か起きて声を出しても周りの人に聞こえないんです。それがいちばんの問題点ですね」

天見駐在所の管轄は、天見、流谷、岩瀬、清水。これをすべて回るのにはかなりの時間がかかるそうですが、毎日パトロールして回っているそうです。

5. 八幡神社のしめ縄行事参加について何かあれば

「最初は警備をするために、その様子を見ていました。数年たったあるとき『いっしょに手伝ってくれないか』と地元の人が言ってくれたんです。このとき私は、ようやく天見の人間として認められた気分でした。今では完全に戦力として見てもらっているんです」

駐在さんのカレンダーの件を知る前に、私は今年の天見の縄かけ神事の様子を見ていました。そのときに警察官の人が手伝っていたのを見て驚いたもの。それが後に天見の駐在さんと知りましたが、あの時も完全に地域の人と一体となっていた気がしました。

6. 小学校の毎朝の見守りについて教えてください。

「小学校への毎日の見守りは、天見に赴任した当初から、小学校の登校がある日は毎朝行っています。今では毎日の日課、1日の始まりですね。また放課後の見回りとか、夕方に帰る子供たちの駅までの見送りもしています」

ちなみに天見小学校の地元天見の子は6人、あと千早口から通ってくる6人のほかは、市内の各地から集まっているそうです。

7. その他、地域の方との交流のエピソードについて教えてください

「しめ縄神事に限らず、警察官であることに加え、地元住民として地域の方との交流があります。たとえば駐在ひとりではできない事、天見の山で遭難者がでたときには、山のことを詳しく知っている人にすぐ相談して対応します」

「また、地元の防犯協会の人や消防団と人と連携しているので、交通整理もしてくれることがあります。また担当地域を毎日パトカーで巡回していますが、パトカーの音を聞くと家から出てきて、『ありがとう』と私に声をかけてくれるんです。本当にうれしいですね」

天見の駐在さんがパトロールで特に気を付けていることは、ひとり暮らしの人に積極的に声をかけていること、空き家に何か問題は起きていないかチェックをすること。

また特殊詐欺に合わないように、住民の電話の横に注意書きの張り紙をしたり、何か問題があれば、すぐに駐在さんと連絡が取れる体制にもしているそうです。

こうした活動をしてくださっていることは、住民の皆さんにとっても、大きな安心につながっていることに間違いはありません。

川上地区石見川にある行者湧水の休憩所に貼ってあるカレンダー
川上地区石見川にある行者湧水の休憩所に貼ってあるカレンダー

8. 今回、大阪府警のカレンダーに登場したことについての感想

「昨年の3月ごろに、広報課から、『府警インスタグラムで駐在所の活動に関する写真を掲載したい』という話を聞き、驚きました」

この府警インスタグラムで駐在所の活動に関する写真を掲載(外部リンク)されたことがきっかけで、今年2022年のカレンダーにも登場したそうです。

9. そのほか、河内長野市民の方に知っていただきたいことなど

「河内長野は住民の意識が高く、大阪府内でも比較的犯罪の発生が少なく、他の地域と比べて治安は非常に良いです。それでも特殊詐欺の被害は後を絶ちません。私たち警察も警戒していますが、引き続き皆様のご協力をお願いします」

「また困ったことがあれば、気軽に警察に連絡してください。ただ110番は、事件事故の緊急通報用です。緊急でない相談・要望については、警察相談電話 #9110 や、警察署・交番へお願いします」とのことです。

こうしてインタビューが全て終わりました。最後に「駐在所に来る人とは一期一会の気持ちで接するようにしています」という言葉が印象的でした。

帰り際に敬礼をしてくださった天見の駐在さん。インタビューを終えて感じたことは、天見の駐在さんは、地域住民の心強い味方だということです。駐在さんに見守られている天見地域の人が少しうらやましくなりました。

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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