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【河内長野市】市立東中学校の特別授業がすごい!デジタル復元師小林泰三氏を講師に招いて体験型授業を。

奥河内から情報発信

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

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昔、私が体験した中学校の授業と言えば、教科書片手にノートにメモを取りという堅いイメージがありますね。つまらないけど、高校や大学進学のために仕方なくやっているような。

しかし、時代は変わり、今の子どもたちは、さまざまなスタイルの授業を受けています。

河内長野市立東中学校(外部リンク)では、今回デジタル復元師の小林泰三氏によるデジタル復元技術を使った特別授業があると内本年昭校長からご連絡をいただき、取材させてもらうことになりました。

奥に見えるのが東中学校
奥に見えるのが東中学校

最新の「学習指導要領」には、「主体的で対話的で深い学び」という文言があるそうです。

それは、先生が一斉講義する「座学」ではなく、授業を受ける生徒たちが主体的にテーマについて話したり体験したりして感想や意見を言い合い、ものの見方を広げたり、考え方を深めたりする授業のことだそうです。

今回の授業の特別講師である小林泰三氏は、果たしてどんな方なのでしょう。経歴を拝見すると、NHKの国宝探訪のCGを複数回担当したり、同じNHKのハイビジョン放送で、東大寺大仏殿の創建当時の内装と仏像の色彩復元を担当されたりしました。

デジタル復元師として、文化財の今の姿ではなく、文化財が作られた当時の色合いをデジタル技術を使って復元されるそうです。

右の文化財としての姿を、左のように当時の姿にデジタル復元
右の文化財としての姿を、左のように当時の姿にデジタル復元

つまり文化財が今の文化財ではなく、本来の目的として使われた物を復元してその時代の人と同じ様に文化財を見ようということ。復元したものですから見るだけでなく、触ることもできるわけです。

余談ですが、小林講師のプロフィール写真は今よりも若いころのようです。

ちょうど今夏、京都国立博物館で「河内長野の霊地 観心寺と金剛寺─真言密教と南朝の遺産─」(外部リンク)が行われます。そこで子どもたちにも関心を持ってもらい、ふるさとの文化財に愛着を持ってもらいたいという内本校長の想いがあります。

そこで美術科担当や美術部など関係の教員に指示して、中学校の授業として次の内容を企画しました。

  1. デジタル復元師による特別授業(美術科)
  2. 観心寺住職による講話(総合的な学習の時間「ふるさと学」)
  3. 夏休みに美術部員が京都国立博物館にて鑑賞見学会(部活動)

今回は1.の授業に立ち会いました。ちなみにこの日は、2.の特別授業の関係で、観心寺の永島住職の姿もありました。

観心寺音絵巻
観心寺音絵巻

但し内本校長の話では、1.の特別授業については、京都国立博物館の特別展示とは無関係に去年から計画していたものだそうで、河内長野在住の作曲家、サキタハヂメ氏(外部リンク)を通じて小林氏を紹介してもらったのだとか。

サキタハヂメ氏といえば、彼が企画した昨年3月の観心寺音絵巻を見に行きました。非常に幻想的だったことを覚えています。

さて、特別授業の当日、授業の立ち合いの前に隣の教室に案内されました。これは奈良県明日香村にある高松塚古墳をデジタル復元したというもの。

このように雑誌でも紹介されていますが、古墳の主である埋葬者の立場になって、古墳内の壁画を見てみようという試みです。

内本校長が実際に埋葬者の立場となって、壁画の様子を見ています。

そのあと私は、同じように実際に入ってみました。すべて閉じられた状態で、LEDでろうそくの火を再現したものだけが灯されています。

赤い服の女性が埋葬者の妻らしく、目が合うようになっているのだとか。

これは蛇と亀が合わさった中国古来の想像上の生き物で、玄武(げんぶ)といいます。北側に描かれています。

天上を見ると、星座が描かれていました。本物の高松塚古墳にこうやって横になることはできませんが、デジタル復元したものであれば、このように埋葬者の立場になって壁画の絵が見られるわけですね。

さて特別授業が行われている教室に入りました。すでに小林講師が解説を行っていました。この日は、高松塚古墳のほか、金剛寺の屏風をデジタル復元したものや鳥獣戯画を復元した巻物を実際に触ってみようと言う試み。まずは小林講師による説明から授業は始まります。

こちらが天野山金剛寺が所蔵している、国宝の日月四季山水図屏風です。本物は金剛寺に行ってもいつでも見られるわけでなく、期間限定の特別公開の時のみ。

デジタル画像は、金剛寺が落慶法要をした時に、デジタルスキャンしたものなんだそうです。

小林講師は「この国宝の屏風は、わびさびの雰囲気はあるが、これは本来制作されたときの人たちが見たものとは違う」と説明。そして制作された当時の屏風をデジタル復元したものを見せてくれました。

さらに、この屏風は四季を表したもので、どうやって見るのが本来の物かという説明がありました。屏風は平たい絵ではなく、折り曲げているもの。そこも本来の見方と今の見方とのギャップがあるのだとか。

次に高松塚古墳の説明になりました。

先ほど見た高松塚古墳のデジタル復元したもの。この後、授業を受けている生徒が実際に体験していきます。

取材時に特別授業を受けたのは3年生の4クラスとのことで、翌日以降、2年生や1年生にも同じ授業をしたそうです。

小林講師の講義のあと、実際に生徒が体験します。デジタル復元した屏風を本来の屏風の姿に折り曲げ、LEDのろうそくを照らしながら、どうやって屏風を見るのかを説明します。

折り曲げることにより、ろうそくの光の照らし方やそれぞれの季節を表した絵の見方、さらに間近で座りながら見るということで、当時の人たちと同じ目線、同じ環境で屏風本来の楽しみ方を体験します。

こうやって、暗い部分と明るい部分。これだけでも雰囲気がずいぶん違いますね。

隣の教室をのぞいてみましょう。こちらでは先ほどの高松塚古墳のデジタル復元の中に生徒が入って体験しています。

こちらは鳥獣戯画です。こちらも本物は文化財なので手で触ることなど絶対にできませんが、復元したものを実際に触ってみながら内容を見るわけです。

例えばこれは巻物なので、戻すときも手で巻物を回すことで簡単に戻せるといったことを実際に体験しながら学びます。

画像提供:東中学校
画像提供:東中学校

こうして授業が終わりました。実際に授業を受けた3年生のKHさんの感想です。

ふだん歴史的な日本美術の作品に直接ふれることが無かったので、とても新鮮でした。私たちがこれまで見ていた作品は当時とまったく違っていて、本来の作品を見れて、より日本美術に興味を持ちました。現在まで保存されている作品も美しいけれど、当時の作品も美しいなと感じました。

小林講師と内本校長は、「『今とは違う美意識があった』ということを体感してもらうことが一番の目的」と話し合っていたそうです。

今後、より一層社会の価値観が多様化していくと思われる中で、こういった“美意識”について生徒たちに問題提起していく授業は、とても大切だと考えさせられました。

生徒も楽しく文化財本来の姿に触れたということで、ほんとうに楽しかったであろうことが立ち会ってみて良くわかりました。

よく考えれば、6人いる歴代河内長野市の市長の中で、わかっている人だけでも、島田現市長が神戸大学大学院経営学研究科准教授出身で、芝田前市長が清教学園の社会科教諭出身。さらにその2代前の東元市長が大阪府教育長出身です。

歴代市長が教育関係の人が多いということからも、河内長野市は教育水準が高いことがうなづける。もしかしたら今回の特別授業もそれと関係あるのかなと思いました。

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