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【富田林市】だんじり上で行われる上方演芸の元祖、俄(にわか)とは?南河内地域最後の秋祭りが喜志の宮で

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

すでにニュースでご存じだとは思いますが、とても悲しいことに、金曜日の試験曳きで、事故が起こってしまいました。そのニュースを知ってから、富田林市のだんじりの状況を改めて確認してみると、直接関係ない地域については予定通り行うとのことでした。

若一のだんじり
若一のだんじり

そこで昨夜、富田林駅や寺内町に行き、だんじりの様子を見てきました。また、今日宮入りが行われる喜志の宮こと美具久留御魂神社(みぐくるみたまじんじゃ)で奉納される予定の河内俄(にわか)についても、どんなものか、ここでご紹介します。

新堂のだんじり
新堂のだんじり

富田林市では地域によって、だんじりの秋祭りが行われる日程が異なります。そして今日16日日曜日がその最終日。美具久留御魂神社では、午前中から宮入りが行われます。

美具久留御魂神社の公式ページ(外部リンク)見ると、そこで俄(にわか)の奉納が行われると書いてありました。それも、だんじりの上で行われるそうです。

中野のだんじり
中野のだんじり

先週こちらで、富田林市内でも秋祭りの日程が異なる地域があることをご紹介しました。その理由として、昔の郡の違いによる可能性について書きました。旧石川郡と旧錦織郡です。

その後もいろいろな情報を調べてみると、富田林の旧石川郡のだんじり自体が石川型というそうで、河内長野のものと比べて大型なのだそうです。

旧石川郡とは、この地図の富田林の一部(旧錦部郡の領域を除く)と南河内郡(河南町、太子町 千早赤坂村)を指します。

そのため、富田林の一部のだんじりは、富田林市内の神社に奉納するのではなく、河南町の壹須何神社(いちすかじんじゃ)や千早赤坂村の建水分神社(たけみくまりじんじゃ)に行くというわけです。

全国的に有名な岸和田なども含めて、大きなだんじりはどれだという質問をネット上で見ると、石川型のだんじりが出てくるほどです。

上は先週の日曜日に河内長野駅前で夜に行われただんじりの様子を動画に取ったものです。

富田林のものと比べて明らかに小型な河内長野のだんじりの特徴として、ぶん回しと称される、だんじりを前かがみにしてくるくる回すパフォーマンスが見ものとなっています。

それに対してこちらも先週ですが、錦織神社と彼方春日神社での宮入りを行う富田林のだんじりの様子を撮影したものです。これをみると、河内長野のだんじりと比べてやはり見た目が大きく感じます。

寺内町を曳行する子供だんじり
寺内町を曳行する子供だんじり

それから富田林のだんじりの特徴として、河内長野で行われていたいわゆるぶん回しを行なうのではなく、だんじりを前後や左右に揺らし動かすのが特徴です。

寺内町の子供だんじり
寺内町の子供だんじり

さて、富田林の秋祭りのもうひとつの特徴として、河内俄(にわか)の奉納があります。本来は錦織神社などでも行われるもののようですが今年は実施を見送られ、美具久留御魂神社など複数の神社で奉納されます。

富田林の子供だんじり
富田林の子供だんじり

この河内俄について調べてみると、まず俄とは仁輪加、仁和歌、二和加という字を用いることがあり、江戸時代から明治時代にかけて、宴席や路上などで行われた即興の滑稽芝居の総称を指すそうです。

俄の中でも南河内地域(富田林市、河南町、千早赤阪村周辺)で行われる俄を「河内俄」と呼び、それが現在の上方演芸の元祖になったといわれています。

お笑いの本場とされる上方の演芸は、なんと河内地域の秋祭りの催しから始まったというのですから、驚きですね。

寺内町の子供だんじり
寺内町の子供だんじり

全国にあるだんじり中でも、だんじりの車上で俄を奉納する祭りは珍しいそうで、美具久留御魂神社のほか、河南町の壱須何神社(いちすかじんじゃ)や千早赤阪村の建水分神社(たけみずくまりじんじゃ)に宮入りするだんじりでも行われています。

このように俄の舞台にも使うことから、石川型のだんじりがひときわ大きいのでしょう。

また壱須何神社や建水分神社の宮入りと俄かは土曜日に行われるようですが、美具久留御魂神社は日曜日に行われるのも面白いところです。

さて、過去に美具久留御魂神社で行われた河内俄の動画を見つけました。それを見てみると以下のような流れで俄の奉納が行われています。

  1. だんじりの前に赤い幕がたれており、その赤い幕が開いた後、だんじりの前の小さな舞台でひとりの若者が口上を述べる。
  2. 芝居がはじまると舞台では衣装に着替えた役者が出て掛け合いの芝居が行われています。
  3. 途中でだんじりの後ろ側から別の役者が出てきてやり取りを行う様子もあり、本当にミニ芝居小屋といった雰囲気。
  4. 芝居が終わると衣装を着たままあいさつを行い、そのあとはだんじりを威勢よく前後に動かして終わります。

通常の舞台では激しく上下に動きませんから、だんじりで行われる芝居ならではですね。

昨夜の様子は動画にも撮りました。動画でないと、中々だんじりの良さがわかりません。

南河内地域の祭礼を調査した論文によると、だんじりが登場するお祭りは、太子町にある科長神社(しながじんじゃ)の夏祭りで始まり、美具久留御魂神社の秋季例大祭で終わるとされています。

今日宮入りと俄が奉納される美具久留御魂神社
今日宮入りと俄が奉納される美具久留御魂神社

つまり秋まつりのラストを飾る美具久留御魂神社の宮入りと河内俄。収穫を祝うお祭りの様子をぜひ見に行ってみましょう。

今年は例年と違い、1台ずつ宮入りするそうなので、スケジュールについては美具久留御魂神社の公式ページからご確認ください。

美具久留御魂神社(外部リンク)
住所:大阪府富田林市宮町3丁目2053
アクセス:近鉄喜志駅から徒歩13分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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