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【河内長野市】11月6日まで秋の特別開館中!公開10周年を迎えた旧三日市交番の歴史をおさらい。

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野駅前の酒蔵通りや烏帽子形山のふもとを歩いていき、三日市町駅近くまで来ると、昔の街道の雰囲気が残っていますね。その一角に、近代の文化財である旧三日市交番があります。

現在、旧三日市交番では10:00~16:00の間、秋の特別公開が行われています。11月6日日曜日まで開催されていて、期間中は休日なしで毎日開館しています。そこでこの機会に旧三日市交番に行って、改めておさらいしてみました。

旧三日市交番は以前から気になっていました。ところがこれまで何回も前を通っても、中に入る機会に恵まれませんでした。

しばらくはコロナ禍で閉まっていましたし、開館が再スタートしても、近くを通るときはたいてい平日が多く、かつ特別公開のタイミングとずれていたためです。

秋の特別公開が行われると聞いて今度こそと思ったのですが、さらに開館10周年記念イベントが行われるとのこと。このイベントに参加して旧三日市交番について勉強をしてきたので、ここでおさらいし、特別公開の様子をご紹介しましょう。

セミナーの講師は河内長野市教育委員会文化財保護課の小谷徳洋先生です。45分ほど、旧三日市交番についてのレクチャーがありました。

旧三日市交番の主な沿革は次の通りです。

  • 1874(明治7)年 上田村正保寺の一棟(現:増幅寺境内)に三日市屯所を置く。
  • 1921(大正10)年 前年に三日市村が土地を取得し、三日市駐在所が現在地に移転。
  • 1952(昭和27)年 三日市駐在所が全面改築され、それが現在の建物。
  • 1968(昭和43)年 三日市駐在所が三日市派出所(交番)になる。
  • 2007(平成19)年 三日市交番が三日市町駅前に移転。
  • 2010(平成22)年 旧交番が河内長野市指定文化財となる。
  • 2012(平成24)年 保存修理が行われ、旧三日市交番として開館。
参考画像:天見駐在所
参考画像:天見駐在所

河内長野市には天見など5カ所の駐在所がありますが、三日市にも交番の前には駐在所があった訳ですね。それも1952年当時はまだ木造で駐在所が建てられ、駐在所時代の名残りがあることも、文化財としての価値が高いそうです。

旧三日市交番のパンフレットより
旧三日市交番のパンフレットより

文化財に指定されたときに、1952年当時の状態に戻そうということで、新しい交番が三日市町駅前に新築移転し、残された建物にあった、改築部分の「風呂、廊下」をすべて無くしたそうです。

といった説明の後、実際に旧三日市交番に行きました。単なる机上での講義ではなく、こうやってある程度知識を学んでから現場で検証するというのはいいですね。

ちょうど移転後の三日市交番が見えました。こちらの交番ができるまでは、今から行く旧交番に本物の警察官が交代で勤務していたのですね。

三日市駅から高野街道を歩くこと10分くらいで、旧三日市交番の前に行けます。

中に入ると、ちょうど講義のあった旧三日市交番の修理の模様がパネル展示してありました。10年前に行われたこの工事があるから、今こうやって内部を見ることができるのですね。

修理後の様子なども写真で詳しく展示しています。修理前の旧交番はピンク色だったそうですが、それをもともとのクリーム色に塗り替えたそうです。

またこちらは旧交番とは直接関係ありませんが、昔の旧上田村時代の帳簿が保存展示されています。江戸末期から明治初期のころのもののようですが、今となっては貴重な資料の数々ですね。

さらに近代三日市の行政についての説明があります。幕末から明治の中期にかけて、管轄が変わったり、編入されたりが行われたのち、三日市村が誕生。

やがて河内長野市になったという話です。その過程で三日市に駐在所が設けられることになったということで、実に興味深い内容でした。

こちらは旧交番を改装したときに出てきた木札。、1952年に当時の駐在所が竣工したことを示す棟札(むなふだ:建物の棟上の際に、建造の年月日や施主・大工などを記して後日に伝えるために作成され、天井の棟木などに打ち付けられた板札)です。

また交番内にはディスプレイがあり、高野街道についての紹介動画が見られるようになっています。

また地域の伝統文化というべき地車(だんじり)の紹介もあります。

その奥の真ん中の部屋には、当時の部屋の様子が再現されていました。

デスクも現役当時を思い起こさせてくれそうな雰囲気ですね。

さらにキッチンがあります。昔は風呂場もあったそうですが、それは公開前にトイレにしたそうです。

さらに2階に上がれます。1階部分はちょうど土足で入れるようになっていましたが、2階は靴を脱いで階段を上がりました。

2階は6畳間がひとつあるだけです。駐在所時代は駐在員の家族の方が住んでいたのでしょうか?

ここからの眺めが素敵です。

この日は天気も良かったので、よけいに良い感じですね。

こちらは三日市交番の奥から見た様子。正面と横の外壁はクリーム色に塗られていますが、裏側は木の地色がむき出しになっています。

旧三日市交番を横から見た様子です。

ということで三日市交番の見学が終わりました。河内長野市には国宝や国の重要文化財が多いため、特に近くに住んでいる人にとっては別に物珍しくないのかもしれません。それでも大阪府で唯一の木造旧交番とのことなので、実は非常に貴重な文化財。

改めて眺めながら、江戸近世から近代へ時代が変わりつつある三日市の治安を守る拠点だったのだと感じました。

余談ですが、旧三日市交番のすぐ北側に三日市村役場跡があります。役場跡の前は旧三日市代官所があったそうなので、旧交番があったところままさしく三日市の中心部だったわけですね。

三日市町駅への帰り道、改めて高野街道の古い街並みを見ながら帰りました。江戸時代の雰囲気が感じられる古い町並みは、なかなか難しい問題があるとは思いますが、旧交番と共にずっと観光資源として保存していてほしいと思いました。

旧三日市交番
住所:大阪府河内長野市三日市町1062
電話番号:0721-62-5050
開館時間:10:00~16:00
休館日:祝日を除く月曜日~金曜日、年末年始、だんじり試験曳きの日、秋祭り
※11月6日までは毎日開館
入館料:無料
アクセス:南海三日市町駅から徒歩10分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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