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【富田林市】インフルエンサーも高評価!甘南備で週1回営業の話題ラーメン店は、72歳の店主さんが開業。

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

ラーメンとは本当に不思議な食べ物ですね。身近な国民食でありながら、本当においしいラーメンと知れば、わざわざそれを食べるために遠い距離を移動する人もいます。

実は、ラーメン激戦区と言えるほど美味しいラーメン店の多い富田林ですが、この11月、最も山の奥にある甘南備(かんなび)に新しいラーメン店が開業しました。

しかもラーメンのインフルセンサーが開業早々食べに来て高評価を付けたという話題店。この、週に1度、土曜日だけ営業するというラーメン店にさっそく行ってきました。

甘南備らーめんさんは、楠妣庵観音寺(なんぴあんかんのんじ)のすぐ近くにあります。店の正式名称は、麺処松もりさん。その味についての評価もさることながら、店主さんは御年70を過ぎてから、ラーメン店を開業したということも大きな話題になっています。

ところが私が訪問したときは、既にのれんが下げられた後。午後1時半過ぎに行ったこともあり、自家製チャーシューが無くなったのでもう売り切れ閉店とのことでした。

とはいえ、事前にこの日に取材にお伺いするということはお願いしていたこともあり、ラーメンにとって重要なスープと麺はまだあるということなので、特別にお願いして食べさせていただくことになりました。

麺処松もりさんは古民家を改装して作られた店ですが、まるで個人のお宅にお邪魔した感じの店内です。もちろん靴を脱いで入りました。

「先週は余ったのに、今日は驚くほどのお客さんが来て大変でした」。

店主さんがそう言ってあわただしく動いておられました。70歳を過ぎた方と伺っておりましたが、とてもそうは見えずお元気なご婦人。

忙しかったのはラーメンのインフルエンサーの人が来てブログに書いた影響があったのかもしれません。ただ私と入れ替わりで帰っていくお客さんを見る限り、地元甘南備の人のような気がしました。水商売特有の現象で偶然が重なったのかもしれませんね。

この日は店主さんの他、御子息が手伝いに来ておられました。私が来たころにはもう他の客さんも帰った後だったので、店主さんからゆっくりお話を伺うことが出来ました。

店主さんは甘南備近くの竜泉出身ですが、結婚された後はご主人のお仕事の関係で松原市に住んでいたそうです。

松原の家はマンションで庭がないので、今度は庭があるところに住みたいという思いで、甘南備のこの家を購入しました。店主さんはお料理がとても得意だったので、その腕を活かし、当初は日本料理店をしたいと考えられていたそうです。

しかし甘南備という場所が場所だけに、食材ロスの問題などもあり再検討。いろいろ考えた末にラーメン店にすることになりました。70歳過ぎてからの挑戦ということで、周囲の人たちが「チャレンジ精神がすごい」と応援してくれたそうです。

店主さんは、かつて松原市のコミュニティメディアでグルメライターをされていた経験があるそうです。飲食店の経験はないとはいえ、食べることも作ることも好きな店主さんだけに、とにかく食材にこだわったラーメンを作っています。

本当は味噌ラーメンがお好きで、これまでそればかり食べていたという店主さん。しかし、甘南備という場所で開業ということで、息子さんなどご家族と検討を進めた結果、誰でも親しみやすい和風出汁のラーメンを提供することに決めました。

その和風スープは、北海道の真昆布と鰹だし(カタクチ・ウルメ・ソーダカツオのミックス)を使っています。中~弱火で77度にして、4、5時間かけて昆布と鰹のだしを取ります。そのあとに塩で味付けをするそうです。

昆布のグルタミン酸とカツオなどから出るイノシン酸のふたつのうまみ成分を凝縮した、日本料理の基本ともいえる出汁に、塩だけで味付けしているということなので、万人受けするスープに仕上がっているというわけです。

麺は京都の製麺所から取り寄せた中細麺を使用。いろんなところの麺を試した結果、最終的にこれに落ち着いたそうです。

チャーシューは自家製で、卵も指定された養鶏場のこだわり卵を使用しているとのこと。とにかく味にこだわった店主さんが理想のラーメンを作っているのです。

店内の画像です。畳の間にテーブル席を設置してあります。4人掛けと2人掛けの席のほかひとり席もあります。最大14名が座れるようになっていますが、この日のように混雑時には、相席をお願いすることもあるとのこと。

今は冬場なので厳しいですが、温かくなったらテラス席も作る予定にしているそうです。

こちらはおひとり様用のカウンター席です。

ということで、私たちがお願いしたラーメンが登場しました。チャーシュー抜きのあくまで不完全な状態とのことですが、見た目はまったくそう見えません。チャーシューのお値段を引いたお値段で食べさせていただきました。

さて、実際に味わってみました。スープはうま味調味料などの添加物を使っていないので、優しい口当たりですが、後から味わい深い旨味がジワリと感じられてきました。後味もすっきりしていて、嫌な余韻がありません。

麺との相性もばっちりで、これを作れるのは相当舌の肥えた店主さんだなあと思いました。このラーメンなら、遠方からラーメンインフルエンサーが食べに来て高評価をつけることも、地元甘南備の人が毎週のようにリピートすることも、まったくおかしくありません。

画像提供:麺処松もり
画像提供:麺処松もり

とはいえ実際のラーメンではないので、後日、自家製チャーシューが入った完成品を撮影してくださいました。これが正式な甘南備ラーメン900円です。

画像提供:麺処松もり
画像提供:麺処松もり

おにぎりです。ラーメンにプラス100円で注文できます。

チャーシュー抜きでもしっかりお腹いっぱいになった後、最後に厨房を見せていただきました。

こちらがスープです。御子息によれば味付け用の「かえし」を加えていないそうで、このスープで味が完成する仕様なのだそうです。

つまり一般的なラーメン店の作り方とは若干異なっているらしいのですが、飲んでとてもおいしいスープだったので食べる側にとってはなんら問題ないと思いました。

こちらは翌週用のチャーシューです。一週間前に煮込むそうで、黒酢としょうが、葱を一緒に入れて煮ているそうです。さらに前日、醤油に漬け込むそうで、本当に手をかけて作られていることが見て取れました。

残念ながら今回口にはできませんでしたが、話を聞く限り確実に美味しいのは確かでしょう。チャーシューの載ったラーメンを食べるために、また出直そうと思いました。

「いつまでも息子に頼れないんですよ」と店主さん。御子息は元カメラマンで、現在は店主さんのご主人が経営されていた会社を継いでおられるそうです。会社経営の傍ら、土曜日には母親である店主さんのラーメン店を手伝っているわけですね。

この日は御子息だけが手伝いに来ていたそうですが、日によっては他の家族の方も手伝いに来るそうです。「だけどいつまでも頼れないから、そろそろ手伝ってくれるスタッフを探さないといけない」と店主さんが言われていました。

松もりさんは、17日で年内の営業は終了されています。年明けは、7日土曜日からの営業予定だそうです。

庭を見ると、そこには大きな松が盛り上がるように植えられていました。屋号の「松もり」さんの名前の通りですね。

店主さんと御子息
店主さんと御子息

次回の営業は年を越してからですが、お正月を連想できる松を眺めながら美味しい甘南備ラーメンを食べに行ってもよさそうです。72歳の方が頑張っておられるので、優しい目で、待つゆとりのあるときに行ってください。

なおグループでの来店される時は、あらかじめツイッターのメールで連絡して予約してほしいとのことでした。

麺処 松もり(外部リンク)
住所:大阪府富田林市甘南備1015
電話番号:非公表(連絡はツイッターのメールから)
営業時間:11:00~15:00(売り切れ次第終了)
定休日:日~金(土曜日のみ営業)
アクセス:近鉄富田林駅からバス 甘南備バス停下車徒歩1分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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