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【河内長野市】築70年の古民家は笑顔いっぱい!子ども食堂「ごはんやDay!チーム市町」に参加しました

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

今から10年位前あたりから、メディアなどで「子ども食堂」というキーワードを目にする機会が増えました。

子ども食堂がどういうものかについて改めておさらいすると、子どもや保護者および地域住民に対して、無料または安価で栄養のある食事や暖かなだんらんを提供するための社会活動とのことなんだそうです。

もちろん子ども食堂は河内長野にも何カ所かありますが、市町(いちちょう)で行われたのがその先駆けという情報をある方から頂きました。

とても気になりましたので、市町で行われている子ども食堂「ごはんやday チーム市町」の活動をお手伝いするという体験取材をさせていただくことになりました。

会場は、大阪外環状線(国道170号線バイパス)の市町交差点から南に一本先の交差点を左(東方向)に曲がって、次を左に曲がり、さらに左に分かれているところにあります。

画像真ん中あたり、山の下に見える古民家が会場の市町diaryです。

建物を拡大しました。虫籠窓(むしこまど)もついていて、歴史を感じますね。

外環状線の交差点の直前に左に入っていく道があるので、そちらに向かいます。

この道をまっすぐに歩いていきます。

画像の右側に歴史を感じる蔵がありますが、今から行く古民家へは手前の道を左に曲がります。

外環状線から3回左方向に回るように道を入っていくと、古民家「市町diary」の前に到着します。

こちらです。かつての持ち主さんは、すぐ近くに住んでおられるそうで、現在は河内長野市社会福祉協議会(外部リンク)が所有する建物になっています。

ちなみに河内長野市全体を見ると、市町での活動がきっかけとなり、大矢船と加賀田地域でも隔月交互にまた南花台でも同様の子ども食堂を開催しているそうです。(現時点ではどちらもコロナ禍でテイクアウト方式)

ただ、ごはんやdayは一般的な子ども食堂からは一線を画しており、子どもだけでなく大人を含め、あらゆる年代の人が安心して過ごせる居場所とのこと。

ということで中に入ってみましょう。

ごはんやday~チーム市町~の現在の代表である綱本琴さんによると、2016年からスタートした事業なのだそうです。参加費は大人が400円、18歳以下が無料とのこと。

参加は事前予約制で、河内長野市社会福祉協議会に電話かFAXで申し込む形になっています。

建物の中に入ると、いきなり竈(かまど)がありました。こういう竈はよく博物館で「昔の家を再現」という展示などで見ることはありますが、この竈は現役です。

畳の間があります。8畳や6畳の座敷のふすまを開け払って、ひとつの大きな空間にしています。ここで子どもやその家族などの参加者が食事をするようになっています。

床の間にはケースに入った人形と掛け軸がかけられていました。

こちらがお邪魔した4月のメニューです。いちばん上にあるのが献立で、その下に書いてあるのは食材を提供してくださった方々の名前です。

さてキッチンに行ってみると、その日に使用する食材が置かれていました。

コロナ禍のこともあり、チーム市町の注意事項が書かれたパネルも壁に貼ってありました。

こちらが子ども食堂に使われる食器類です。

洗面所(手洗い場)です。

こちらの表はスタッフの方の名簿です。あらかじめ健康チェックが行われます。スタッフは主に主婦の方ですが、この中には驚いたことに、コンポストの森さんの姿もありました。

綱本さんによれば、もともと森さんを含めた子育て世代のお母さんグループが、子どもたちや子育て中のお母さんたちの居場所を探していたそうです。

タイミングよく福祉協議会が市町の古民家を持ち主の方から譲り受けた直後だったので、この場所で子ども食堂をやろうとなったそうです。それが「チーム市町」の結成となったわけです。

こうして2016年12月からチーム市町の活動が開始。子どもから大人まで、だれでも参加できる地域の食堂ということで、月に1度のペースで行われるようになりました。

この日のメニューと材料です。チーム市町の活動では近隣の生産者の方々や大阪和泉市民生協さんからの余剰食品の提供があり、その食品を使って毎月の献立が決まります。

すでに数名のスタッフの方の姿がありました。この後、それぞれ参加できる時間になると新たにスタッフの方が増えていきます。

もともとは前に書いた通り、子育て世代の母親を中心にしたグループでスタートしたそうですが、やがて市町に住んで農作業をしているメンバーもスタッフとして参加するようになりました。

一般的な子ども食堂はカレーをメニューにしているところが多いかもしれませんが、チーム市町では、カレー以外のメニューを作ろうと献立を考えているそうです。

コロナ前までは、特に人数や時間に制限なく受け入れていたそうですが、現在は定員制の2部構成で開催しています。

新玉ねぎは小山田町の南河内農業ファンクラブからの提供です。

たけのこは堺市から。たんぽぽの加納さんからの提供です。

人参は長野町の池ノ上さんからの提供です。

それから豆乳は市町の松岡さん、肉は大阪和泉市民生協フードバンクさんからの提供です。

いろいろ食材などを見ていると、早くもスタッフの方々は作業を開始していました。私もメンバーのひとりとして作業に参加しました。

たけのこご飯に入れる薄揚げを切っているところです。

人参も次々と細く切られていきます。

こうしてキッチンがあわただしくなっていたころ、先ほどの竈のほうでも動きがありました。

竈は男子高校生が担当します。

彼は中学2年生の時からチーム市町に参加して、竈の火おこし担当になっているそうです。彼にとって、ここは自分の居場所だということで、竈を守っています。

あっという間に竈に火が付きました。竈の使い方については、不定期にチーム市町に参加されている前の所有者の方から指導を受けたのだそうです。

このように少し大きな木は、彼が斧で砕いて入れています。そのあたりの判断も毎月の経験からなるもの。

彼とキャンプに行けば、さぞかし火おこしとか楽なのかなあと想像してしまいました。

ちなみに今火をつけている竈(画像奥)には水しか入っていないそうです。今回はお湯を沸かしているそうですが、献立によってはスープ類を沸かすこともあるそうです。

ちなみに手前2ヶ所がご飯用の竈で、その火おこしはもっと後の時間に行うそうです。

キッチンに戻ると、カセットコンロが用意されていました。

ここで外に出てみました。実はキッチンは元の古民家から増築されているようで、前に突き出ています。

竈から伸びた煙突です。

その他プロパンや温水器などの機械が設置してありました。

さて、この日はたけのこの炊き込みご飯ということで、先ほど切っていた薄揚げや人参と共にご飯が水につけられています。

いよいよご飯を炊き始めます。たけのこが釜の中に入っていきます。

2つの竈を使ってご飯は2回炊くそうです。ごはんやdayは2部制になっているので、最初のご飯が炊かれて1回目の方のご飯を炊いたのち2回目の方向けのご飯を炊くそうです。

竈にはご飯と具材が入っています。

豪快に醤油が入っています。チーム市町では目分量で調味料を入れる方が多いようで、こういったところに主婦の経験が生きているわけですね。

いよいよご飯を炊き始めます。

「普段はチャッカマンを使いますが、マッチで火をつけたほうが映えますか?」と彼が私に質問をしてくれました。

「映える」ことをわざわざ気遣ってくれたのですが、私は特に「映え」を狙っているわけではないので、いつも通りチャッカマンでつけていただきました。

竹の筒で拭いていくとどんどん炎がついていきます。

少しだけですが動画にもとってみました。

竈に火が付き、釜のほうも煙が出てきました。さて、外の煙突はどうなっているのでしょうか?

外に出ると、わずかですが煙突から黒っぽい煙が出ているのが見えました。

あっという間に1回目の時間が迫ってきました。座敷のほうではテーブルを拭くなど開始に向けて作業が始まっています。

受付のほうでもこの日の段取りについて話し合いが行なわれています。

座敷には、みんなで遊べるように木でできたパズルが置いてあります。

大人の参加も歓迎ですが、ごはんやDayの主役はやはり子どもたちです。ということで食事が始まる前に来た子供たちが楽しめるようになっているわけです。

いろいろな本が置いてありますね。

こちらには動物や昆虫の絵が描かれています。ただ遊ぶだけではなく、遊びを通して学習もできるんですね。

さて新しいテーブルが運ばれていきます。今回はスタッフも入れて全体で50人ほどの申し込みがあったそうです。半分の人が座れるように考えられているようです。

座敷が苦手な方用にテーブル席もありました。

キッチンを見るといよいよクライマックスに向けて、スタッフの方たちがてきぱきと動いています。

野菜もすべて切り終わり、チェプチェ用の炒め物が始まりました。参加者とスタッフの分を含めた炒め物なので大きなフライパンに何度も分けて炒めていきます。

17時を過ぎたので、配膳担当の方々も大急ぎで会場の準備をしています。

撮影する方も行ったり来たりがあわただしくなりました。竈では早くもご飯が炊きあがっていました。

ご飯の炊き具合を確認しています。大きな竈で炊いたご飯は、さぞかし美味しいでしょうね。

ところがまだ完全にできていなかったようで、すぐに蓋をしました。

お湯を豪快に鍋に入れています。

こちらは炊きあがったご飯を入れるジャーです。その横にはコップが置いてあります。

炒め終わったチェプチェ用の野菜を大きなボウルに入れていきます。

炊き込みご飯も出来上がったようです。

さて、開始まで20分を切ったところで早くも子どもたちの姿が見えました。待っている間、先ほどの本やパズルで遊べるので、こうやって早く来る家族の方もおられるようです。また時には宿題をする子供もいたそうです。

子どもと一緒に遊ぶ担当の方もおられます。

炊き込みご飯が釜からジャーに移されていきます。

さてこちらでは春雨を炒め始めました。春雨だけ炒めるとフライパンにくっつくので、先に炒めておいた野菜とともに炒めます。野菜の切り方や味付けなども、みんなで各家庭のやり方を教え合っていました。経験がものをいう主婦同士の知恵の共有ですね。

18時の開始に向かってラストスパート!

男性スタッフの方の姿が見えますが、受付担当です。

無事に春雨を炒め終わりました。

炒めて終わりではありません。次にさらに盛り付けていきます。この時も子供用と大人用に分けて盛り付けられていきます。

座敷ではいつの間にか子供たちが増えていました。ごはんが食べられるのを今か今かと待ちわびながら遊んでいます。

たけのこご飯とお茶は準備完了。

これは人参ラペ。つまりフランスの家庭料理の定番「キャロットラペ」のことです。

人参ラペの横に盛り付けられた春雨は韓国料理のチャプチェです。

それと日本料理のたけのこの炊き込みご飯がありますから、今回のごはんやdayでは、3ヶ国の料理が食べられるわけですね。

たけのこの炊き込みご飯の入ったジャーの横には茶碗も用意されています。

こちらは豆乳スープです。おそろいのカップに入れていきます。

18時になりいよいよご飯の提供がスタートしました。待ちかまえていた子供たちが一斉にご飯の前に来ました。

受付で手渡されたこちらのチケットと引き換えでご飯を提供していきます。

ご飯を受け取ると次におかずを受け取りに来ます。

豆乳スープには新玉ねぎが入っています。

主婦の皆さんは一糸乱れぬ手際の良さで、ほとんど待たせることなく料理を手渡していきます。まさしく経験がものをいうという言葉の通り。

18:00の部から参加している子どもとその親御さんです。みんな黙々と美味しそうにご飯を食べています。

最初に見たメニューの横には新たに絵が加わっています。スタッフの方によれば、ご飯を待っている間に子どもたちが描いた絵とのこと。アットホームな雰囲気ですね。

当日参加する中には、生まれて間もない赤ちゃんとともに参加する親御さんがおられます。

その時、親御さんが食事がゆっくりとれるようにと、こうやってスタッフの方が赤ちゃんをあやすということもしてくださるのです。まさにチームそのものが大きなファミリーのようですね。

ということで、ごはんやday チーム市町の活動を紹介しました。

まだ2部もあるとのことですが、あまり長居してチーム活動の妨げになってはいけませんので、私は少し早く引きあげさせていただきました。

帰り際、夕暮れが迫る市町の交差点です。私は子ども食堂の現場を初めて拝見しましたが、みんなで力を合わせて子どもたちに栄養のあるものを食べてもらおうという気持ちが本当に伝わりました。

また河内長野だからこそと思えるのは、古民家と竈の存在です。昔ながらの竈で炊いたご飯の美味しさ想像するだけでよだれが出そうでした。

ただ子どもを食事で助けるというのではなく、家庭料理をいっしょに食べてみんなで楽しく過ごすアットホームな居心地の良い空間。これを構築しているチームの皆さんの温かい気持ちが強く印象付けられました。

市町diary・ごはんやday~チーム市町~(外部リンク)
住所:大阪府河内長野市市町634
問い合わせ・申し込み電話:0721-65-0133(河内長野市福祉協議会)
問い合わせ・申し込みFAX:0721-65-0143(河内長野市福祉協議会)
アクセス:近鉄汐ノ宮駅から徒歩10分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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