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【河内長野市】河内長野につたわる郷土のお菓子、半夏生餅とはどんなもの?作り方のレシピ付きでご紹介

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

夏至が過ぎて田植えが終わり、今年もいよいよ本格的な夏を迎えようとしています。夏至から数えて11日目に当たる日を、半夏生(はんげしょう)と呼びます。

ちなみに、2023年の半夏生は7月2日から始まり、この日から7日の七夕までの5日間が半夏生。またこの期間中は、天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日でもあります。

半夏生は八十八夜や土用、二百十日と同様に、日本独自の特別な暦日、雑節(ざっせつ)のひとつで、一般的には関西が発祥で、最近では全国的広まりつつあるタコを食べる風習があります。

しかし、南河内や北紀州・大和地域では、田植えが終わり、小麦の収穫が終わるこのタイミングで、半夏生餅と呼ばれる小麦が入った餅を食べる習慣があるとのこと。

そんな半夏生餅は、販売している和菓子店もありますが、河内長野の川上公民館では、この時期に、半夏生餅づくりの料理教室をしています。郷土の風習をぜひこのページでご紹介したいと、先日参加してきました。

半夏生餅セミナーの講師は、日野地区にある久保健商店ほたるの里の店主さん
半夏生餅セミナーの講師は、日野地区にある久保健商店ほたるの里の店主さん

事前に半夏生餅についても調べると、田植えの期間中に迎える神様を感謝してお見送りする早苗饗(さなぶり)の行事に食べることから、「さなぶり餅」または「あかねこ」と呼ばれることがあり、また地域によっては水田に半夏生餅をお供えすることもあるそうです。

ということで、観心寺保育園の横にある、会場の川上公民館まで足を運びました。

セミナー受付の様子です。

川上公民館も、これまで訪問したほかの公民館同様に、いろんな資料や情報が壁に貼られています。

大阪大谷大学の公開講座のポスターもありました。

会場では、すでに参加者の皆さんが席に座っておられました。

今回は、半夏生餅と豆味噌づくりの教室です。

すでにお持ち帰り用の味噌が用意してあります。

味噌は手を加えてから実際に完成するまで発酵させる期間が必要なので、すでに完成した豆味噌が家で楽しめるように用意されているんですね。

こちらは半夏生餅に使うきな粉で、半夏生餅には必須です。

講師の先生によれば、市販品のきな粉ではなく、特別なものを和歌山で仕入れているのだそうです。

こちらが半夏生餅づくりのテキストです。画像にも書いていますが、令和2、3(2020~21)年の2年間はコロナ禍のため休止していましたが、それ以外は平成28(2016)年以降、毎年実施されており、今回が7回目です。

テキストの2枚目にあった半夏生餅の説明によれば、シコシコとした食感が特徴で、きな粉をまぶすことで、ビタミンB1、タンパク質、脂肪酸、食物繊維、カリウム、鉄分などが効率的に摂れるそうです。

セミナーが始まりました。左側で立っている主催者、川上小学校区地域まちづくり協議会の方からの挨拶から始まり、右に座っておられる講師の先生が紹介されました。

講師の先生は奥河内の名物にしたいとの思いで、この季節に半夏生餅を日野地区にあるお店で製造販売し、さらにこうやって年に一度のセミナーで多くの人に作り方を指導しています。

セミナーに先だって、川上公民館の館長からのあいさつがありました。

講師の先生の説明が始まりました。

最初に豆味噌の説明から始まりました。こちらの箱に入っているのは麦麹(こうじ)です。麹は蒸した穀物に麹菌を加えて繁殖させた物で、味噌のほか日本酒や醤油づくりに欠かせないものです。

講師の先生によると、こちらは専門の麹屋さんで入手されるそうですが、残念ながら今年の麹の生産が終わったので、来年であれば予約注文を受け付けているとのこと。

麹を拡大しました。緑色の菌なのだそうです。ちなみに豆味噌づくりの材料はこちら麦麹1枚に対して次の通りです。

  • 麦麹1枚
  • 大豆5合(650g)
  • 薄口しょうゆ1L
  • 氷砂糖1kg
  • 漬物樽(壷)

この中での注意点として、氷砂糖はできるだけ上質のものを使う、漬物樽については作る量に合わせてプラスチック製の物を使ってもよいとのことでした。

麹を大豆に加えます。そのまま大豆が入っている壷に入れてはいけません。一度袋に麹を入れないと、空気中に麹菌が拡散してしまい、鼻が青く汚れてしまうからです。

このように麹の入った箱を密封した袋に移し替えます。

麹が拡散しないように、箱だけ取り出した状態です。

袋に入った麹を、参加者で袋の上から揉みほぐします。

こちらはプラスチック製の漬物樽です。

大豆を、あらかじめ8~10時間ほど水に浸しておいて、そのあと鍋で煮ます。指でつぶせるほどにまで柔らかくしてから、ザルに移して煮汁をきり、つぶさずに冷やしたものだそうです。

蓋をしながら、空気中に拡散しないように、慎重に大豆の中に麹を入れます。

麹の拡散が落ち着いたところで、ふたを開けて醤油を入れていきます。

最後に氷砂糖を入れると仕込みは終わりです。この状態で毎日朝晩2回かき混ぜ、ほこりや虫が入らないように冷暗所(15~25度)で保管すると、半月ほどで豆味噌が完成します。

次にいよいよ半夏生餅の作り方です。半夏生餅の材料を確認しましょう。量は3升分です。

  • もち米1.4kg
  • 平小麦500~750g
  • 片栗粉少々

平小麦を拡大したものです。半夏生餅に使う平小麦は、12時間水に浸けて、ザルに上げて水を切った状態です。

ザルにあげた平小麦をしっかりと搾って、水を出します。

搾っていくと白い煮汁が出てきました。

こちらはもち米です。餅が固くならないように半夏生餅用に特別栽培したものを使用しているそうで、すでにもち米機にセットしてありました。

もち米は、セットする前に12時間ほど水に浸けた状態で、餅をつく30分前に水切りしたものです。

先ほど絞った平小麦をもち米の中に入れます。

平小麦を上に載せた状態で、ここからいよいよ餅つき機を動かします。

餅つき機を動かしながら、しゃもじで平小麦ともち米を混ぜていくのがポイントです。

機械が動いてバイブレーションが働いている状態で、しゃもじを入れます。

このように下からもち米をかき上げるようにして混ぜていきます。

機械と人手の2段階で混ぜていくわけですね。

講師の先生によると、今回の半夏生餅づくりを始めたきっかけは、20年以上前の50歳の時に半年間入院したことからだったそうです。

退院後に、残りの人生の中で何かを残すべき物があるのではないか、自分がお手伝いできるものがあればと考えるようになり、見つけたのが半夏生餅と豆味噌づくりだったそうです。

半夏生餅は、小深や延命寺の周辺では今でも家庭で作っているところがあるそうで、講師の先生はそれを商品化して日野のお店で販売し始めました。

その後、観光協会の目に留まるなど奥河内の名産品として有名になり、さらに一歩進んで川上公民館で多くの人に作り方を教えることになりました。

雰囲気を味わってもらおうと動画も少しだけ撮りました。

先生は今年73歳なのだそうで、半夏生餅づくりを始めてからは、意外なところ、大阪の枚方や遠く北海道に嫁いでいった方から「懐かしい」と注文が入るそうです。

平小麦が餅の中に完全に混ざりこんでいきました。

餅として完成したところで、透明感を出すために、仕上げに片栗粉を少し混ぜます。

こうして半夏生餅ができました。餅つき機があれば比較的簡単にできるのがわかりました。

出来上がった半夏生餅を参加者の人数分に取り分けていきます。消毒済みの軍手を使うのは、できたて餅の温度が高いので、火傷防止のためです。

切り分けた餅の重さを測ります。

測る前に透明シートを下に置いています。

ひとりあたり300グラムずつ測っていきます。

こうして取り分けられた餅を持ち帰り容器に入れて、ひとりずつ手渡します。

最後にきな粉を添えて完成です。

持ち帰りと同時に試食会が行われました。こちらは豆味噌です。

切ったキュウリと一緒にいただきます。

もろきゅうとしていただきました。肝心の味ですが、味噌はとにかく濃厚で、どっしりと深みがあるのが印象的でした。

この後は半夏生餅の試食会があったのですが、持ち帰り用の餅を作った後、試食用の餅をつくるため少し時間がありました。

その間、川上小学校区地域まちづくり協議会の方々のあいさつや講師の先生のことついて、いろいろなエピソードの紹介や、半夏生餅、豆味噌に関する質疑応答が行われました。

その間、ボランティアスタッフの方が一生懸命に半夏生餅を作っておられました。

こちらが試食用の半夏生餅です。味見用ということで、実際よりも小さなサイズになっています。

ということで出来立ての半夏生餅を味わいました。まだ出きたてて温かいお餅でしたが、小麦が餅の中に入っていても全くそれを意識することなく、かつ資料に書いてあるようにシコシコした食感がありました。

冷たいお茶もいただきました。
冷たいお茶もいただきました。

なお半夏生餅は夏に食べるために作られているので冷蔵保存の必要はなく、2・3日くらいまでなら常温で問題ないとのこと。それ以上保存する場合は冷凍です。

また少し硬いと思ったらレンジで数秒温めると柔らかくなります。

ということで、締めの言葉をもって半夏生餅と豆味噌をつくるセミナーが終了しました。

参加して感じたことは、郷土で語り継がれてきた料理を守ろうという講師の先生の意識の高さもさることながら、参加者の方々の作ってみたい、学んでみたいという関心の高さが印象的でした。

また久保健商店さんでは完成した半夏生餅を販売していて、豆味噌の麹の予約も行なっているそうなので、興味のある方は日野のお店まで訪れてみてはいかがでしょう。ただし、半夏生餅は、売り場に出すとすぐに売り切れになるそうです。

日野にある久保健商店・ほたるの里さん
日野にある久保健商店・ほたるの里さん

川上公民館
住所:河内長野市寺元501
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 観心寺バス停から徒歩3分

久保健商店・ほたるの里
河内長野市日野415-2
TEL:0721-62-2766
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定休(事前に電話で確認)
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 中日野バス停から徒歩1分 

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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