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【富田林市】甘南備口にある夏目地蔵尊。地蔵菩薩についている「夏目」とは何か調べてみました。

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

佐備方面から甘南備に向かって行くと、立派な地蔵堂があります。地蔵堂の名前もはっきりと書いてあり、「夏目地蔵尊」と明記してあります。

夏目地蔵尊の場所は、甘南備口バス停から見て北側、大野商店さんの北隣にあります。

どのような地蔵尊か確認するために、甘南備口バス停まで来ました。

北方向に歩くとすぐに見つかりました。

夏目地蔵尊の石碑と、地蔵堂改築記念の石碑が見えます。新たに地蔵堂を作ったという事で、地元の崇敬があついことがわかりますね。

では、ここで名前の「夏目」とはどういうものか気になりました。

まず夏目地蔵尊という地蔵菩薩の種類があるのか調べてみました。

まず地蔵には六地蔵というのがあって、これは地蔵菩薩が輪廻転生の六道(地獄道・餓鬼道・畜生道・修羅道・人間道・天道)に行くためにそれぞれの姿に変わったもの。

六地蔵
六地蔵

一般的に檀陀地蔵、宝珠地蔵、宝印地蔵、持地地蔵、除蓋障地蔵、日光地蔵の6種類です。
※ただし、この地蔵名とは別の名前になっている場合もあります。

六地蔵の他にも、勝軍地蔵、鬼門地蔵、わらべ地蔵、ぴんころ地蔵、水子地蔵などいろんな名前の地蔵菩薩が各地にあり、夏目地蔵があってもおかしくありません。ただ富田林甘南備の夏目地蔵尊以外の夏目地蔵は、ネットで調べても出てきませんでした。

では、「夏目」は何か調べると、棗(なつめ)や夏目氏というのが出てきますが、それと夏目地蔵や富田林甘南備地区との接点はわからずじまいでした。

また夏目と言えば夏目漱石が有名ですが、調べてみてもやはり夏目漱石との接点もなさそうです。

夏目地蔵に関する情報がないか、ネット上で公開されている富田林市史(外部リンク)を見てみましょう。千早街道・観心寺道の紹介で次のような記述があります。

甘南備村には夏目地蔵尊とよばれる地蔵小祠があり、立派に修復された堂に安置されている。刻銘などは不明である。甘南備村をすぎると山間の道となり、錦部郡に入り観心寺
(引用元:富田林市史 第二巻 (本文編Ⅱ) / 近世編 / 第四章 近世村落の変貌 / 第二節 街道と河川交通)

つまり立派に修復された堂に地蔵が安置されていることは確認できても、具体的な刻銘が不明なため、いつごろから誰が「夏目」という名の地蔵尊をこの地に安置したとかの情報が確認できないとのこと。

というわけで、残念ながら夏目地蔵尊の名前の由来はわかりませんでした。とはいえかつて「夏目」に関する何らかの思いからこのような石で名前が刻まれ、地蔵堂を改築するほど、甘南備地域では大切にしていることだけは間違いないようです。

夏目地蔵尊
住所:大阪府富田林市甘南備
アクセス:近鉄富田林駅からバス甘南備口バス停徒歩1分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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