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【富田林市】東條ほんわか米「ひのちゃん」とは?化学肥料不使用、減農薬で栽培された富田林のブランド米

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林は東と西では本当に違う町ですね。西は金剛という住宅地が広がっていますが、東は山と田んぼが広がっています。

特に石川の東、山を越えた先にある東條地区は旧東條村だったところで、今でも農産物の宝庫です。

東條地域も米が実り、いよいよ刈り入れというタイミングと並行してだんじりが行なわれます。今年は10月20日金曜日に、佐備神社に上佐備、中佐備、下佐備の3つのだんじりが宮入りするとのこと。田んぼを背景に中佐備だんじりの幟が勇ましく靡いています。

ところが、中佐備の幟に交じって違う色の幟がありますね。それもだんじりの勇ましい漢字文字に反比例するかのような優しいタッチのひらがな表記です。いったいこれは何でしょうか?

幟を見ると「ひのちゃん」と書いています。最初は個人の名前かと思いましたが、上のほうを見ると「大阪エコ農産物」と書いてあり、稲の絵が描かれています。さらに「東條ほんわか米生産部会」と書いてあります。ほんわか米?いったい何のことでしょうか。

道の駅くろまろの郷にあるあすかてくるで
道の駅くろまろの郷にあるあすかてくるで

このときひのちゃんの幟をある所で見たことを思い出しました。それは河内長野にある道の駅、奥河内くろまろの郷にあるあすかてくるでのお米コーナー。ここで「ひのちゃん」の幟を見たことがあったのです。

改めて「ひのちゃん」の幟を見ました。あきらかに米の名前のようですが、いったいどのような米なのかとても気になったので、富田林市の農とみどり推進課さんに問い合わせ、東條ほんわか米生産部会の方とアポを取っていただきました。

ということで、約束の日時に今話題の金剛バスに乗って佐備地区に来ました。

メインの通りから少し奥に入った集落の中にある個人宅にお邪魔しました。

お話を伺ったのは、東條ほんわか米部会の中尾守会長をはじめとする3名の方々です。まず、ひのちゃんの栽培は25年くらい前から始まったそうで、きっかけは地域で同じような米では販売が厳しいから、付加価値の高いコメを栽培しようというところから始めたとのこと。

東條地域で栽培されているのはヒノヒカリという品種。これは農協からの指導でそうなっていますが、単なるヒノヒカリとは違うヒノヒカリを作ろうとしたわけです。それはエコ米です。

そこで農協の指導もあり、グループで作ろうと、14名でこだわりの米を作ることになりました。大坂エコ米に入るための基準として、化学肥料を使わないことと低農薬(通常の7割減)に抑えるという条件があります。

化学肥料を使わないために、ひとつは有機の肥料を使いますが、もうひとつはレンゲをたい肥として使うのです。

実はこの地域は、4月ごろに行くと一面レンゲ畑になります。当初は田んぼだったところにレンゲ畑があると不思議に思ったのですが、これはわざとやっていることだと近所の農家さんに教えてもらったことがあります。そしてそれは、東條ほんわか米を栽培するためのたい肥だったわけですね。

レンゲの花がピークの時につぶしてたい肥にして、有機肥料を1回行い、7月から8月頃に追加の肥料を与えるそうです。その結果付加価値の高い米の生産に成功。味の特徴として甘みと粘りが他の米とは違うとのこと。

また通常ヒノヒカリというコメの品種なら、刈り取りの後、稲をライスセンターに持っていてもみ殻をとって玄米だけにする籾すり(もみすり)があるのですが、品種が同じなのでいろんな農家の米を一緒にしてしまうため、玄米になった段階でいろんな農家の米がブレンドされてしまいます。

しかし、ひのちゃんはそのためだけにライスセンターが日程を調整し、その日だけはひのちゃん専用の日として、ひのちゃんの栽培をした農家の稲をもみ殻と玄米に分ける作業が行われます。つまりひのちゃんと他のヒノヒカリとは一線を画しているわけです。

そんな素敵な米は現在4か所で販売されております。

  • ニコニコ市場(サバーファーム横)
  • 旬鮮広場 富田林直売店(佐備)
  • 道の駅くろまろの郷・あすかてくるで(河内長野)
  • 道の駅 しらとりの郷・あすかてくるで(羽曳野)

しかし、付加価値がついて少し高い料金で販売しているとはいえ、米の場合はトラクターやコンバインなど米生産に必要な独自の機械を用意する必要があり、とにかくコストがかかります。そのため利益にはなかなか結びつかないとのこと。

正直なところ儲けにはつながっていないそうで、それでも「美味しい米を作りたい」と採算度外視で生産を続け、多くの人が「ひのちゃんは美味しい」と、喜んでくださる姿を見るのが楽しみで生きがいと言われました。

そこで、このひのちゃんを使っている飲食店を紹介してくださいました。それは富田林駅近くにある「おむすびもっぱ」さんです。

もっぱさんは、3軒並んでいるお店のいちばん左側です。真ん中はりんご飴のお店、1番右はミックスジュースのお店と個性派揃い。

もっぱさんはイートインと、テイクアウトの二刀流。店内はカウンター席とテーブル席があります。

こちらがもっぱさんのメニューです。迷いましたがひとつは塩おむすびにしました。その理由は、ひのちやんの米の味を確かめるのに余計な具が無い方がわかりやすかからと考えたからです。

こちらがテーブル席です。注文して待つことに。

こちらにもっぱさんのこだわりとして、東條ほんわか米ひのちゃんを使っていることが書かれています。余談ですがもっぱさんは海苔にもこだわり、今入手が難しくなっている有明の海苔を使っているそうです。

さあ、おにぎりが登場しました。白い方が塩おむすび(230円)で、もうひとつは人気のある肉みそ(300円)にしました。さっそく食べてみましょう。

肝心の味ですが、有明海苔のパリッとした口触り、しっかりと効いた塩も良かったです。しかし、やはりご飯、ご飯そのものの美味しさが口の中に広がり、塩味と海苔がそれをさらに強化したイメージです。

もちろん、肉味噌も旨味があり、ご飯との相乗効果を果たしているという気がしました。

もっぱのスタッフさんです。もっぱさんの方から東條ほんわか米部会にひのちやん使用したいと問い合わせしたとのこと。こうしてひのちゃんを使ったこだわりのおにぎりは、ほんとうにおすすめです。

実は中尾会長より、「食べないとわからないだろう」と、昨年収穫したお米をほんの少し分けていただきました。それを自宅で炊いたものです。もちろん美味しいのですが、正直何もなくともご飯の旨味だけで食べられるほど味がしっかりしていました。

というわけで、東條ほんわか米ひのちやんを紹介しました。化学肥料を使わず、低農薬の米は、店で食べても自分で炊いて食べてもおいしかった。また炊き立てでなくとも、冷やご飯でもしっかり旨味を感じられました。まもなく刈り入れが行われ新米が販売される見込みです。

まもなく刈り取られた新米が店頭に並ぶ予定なので、東條の米農家さんの努力の結晶であるひのちやんを、おうちで味わってみてはいかがでしょう。

おむすびもっぱ
住所:大阪府富田林市本町17-2
TEL:090-8005-0608
営業時間:10:00〜17:00
定休日:日曜日
アクセス:近鉄富田林駅から徒歩6分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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