【富田林市】30年の夢が叶い新規開業!藤沢台のMAYUKitchenはシェアカフェで人気店でした
かつての飲食業の主流として、修業を積んだ料理人が師匠から独立が認められてのれん分けをして師匠の味を継承して料理を提供するパターン、あるいは外食産業の企業が人気のある業態で店舗を拡大してチェーン展開するパターンなどがありますね。
しかし、そういう流れとは別に、個人が飲食店を独立開業する例も少なくありません。ただし実際の開業となるとまとまった資金が必要で、そう簡単にできるものではありません。
そんな中、飲食店開業を気軽に行えるのがシェアカフェです。富田林にもわっくCafeやtokimeki-life ナカリンなど、複数のシェアカフェがありますね。
シェアカフェは、本業の傍ら週1回程度のペースで営業する場合も多いのですが、ほかにも飲食店開業を目指す人が自分の店を始める前にという場合も。富田林郵便局前の手打ちちそばのうら田さんもシェアカフェを経験して、つい最近、念願の飲食店を開業しました。
そして富田林などにある複数のシェアカフェでお店を出されていて、とても人気だったMAYUKitchen(以下、MAYUキッチン)さんもついにシェアカフェを卒業して自分の店を開業。そういう情報を得た私は、さっそく昨日、開業初日に行って来ました。
場所は藤沢台にあります。公共交通なら、藤沢台2丁目バス停から徒歩2分以内で行けます。
実はMAYUキッチンさんの隣にはある人気店があります。
それはウルスデリさんです。人気店が隣にあると、その店に来た人が自然と新しいお店に目が行くので、新規オープンした店としてはとても有利ですね。
そしてこちらが、MAYUキッチンさんです。以前はコッペパンのお店が入っていたところでした。
開店初日らしく店の前には花が飾られていました。知らない人のために書きますが、新規オープンのお店の花は通常自由に持ち帰られます。もちろんMAYUキッチンさんの花も自由に持って帰られますが、こういう説明はうれしいですね。
ブルーグレーのドアを開けて、さっそく中に入ってみましょう。
店内の様子です。店内にもたくさんの贈り物のお花が飾られていました。
こちらがメニューです。週替わりランチとインドのキーマカレー、タイのカオマンガイがあります。また気まぐれランチというのがありますが、開店初日ということもあり、この日はありませんでした。
週替わりランチは、秋鮭の南蛮漬けです。ランチを注文するとおすすめスイーツのスイートポテトが50円引きです。
小鉢は100円です。週替わりランチを頼むとこの中から3品選べます。好きなものを選べるのが良いですね。
またMAYUキッチンさんはお酒のメニューもしています。金・土は夜営業もあるとのこと。小鉢は100円で選べるそうなので、夕方以降に一杯やるのも良いですね。
こちらが週替わりランチ1,000円です。メインの秋鮭の南蛮漬けと選べる小鉢3品とごはん、味噌汁がついています。
こちらがメインの鮭の南蛮漬けです。
鮭の部分を取り出してみました。揚げた鮭が数切れ入っていましたが、鮭そのものの旨味に加えて、漬け汁の酸味との味わいが見事に調和が取れていました。
小鉢のほうを見てみましょう。イチジクを生ハムで巻いたもの。
中のイチジクです。口に含むとイチジクの甘みと生ハムの塩味、いずれもが個性が強く感じるのに、不思議と違和感なく。時間が経過するとともに全体の味のバランスが良くなっていました。
サツマイモのサラダです。こちらは異なる食感があり、サツマイモの程よい甘さが加わってとても美味しかったです。
かぶの葉とあみえびごま油炒めです。小さなあみえびが無数に入っています。あみえびは小魚の餌にもなりますが、とにかく旨味が凝縮していますね。控え目の味付けに感じたかぶの葉とアミエビの旨味がちょうどバランスよかったです。
選んだ小鉢3品はいずれも美味しかったです。お酒の肴にもぴったり。
こっちはキーマカレー定食1000円です。サラダとこちらにも小鉢がひとつついています。
柿とキュウリの塩こんぶ和えです。イチジクもそうですが、MAYUキッチンさんはフルーツを料理の小鉢に使うのがうまいですね。またサラダにはその場で付属のドレッシングを振りかけました。
そして驚いたのはこちら、長粒米のジャスミンライスを使っているのです。20年位前だと大阪市内でも長粒米に対して世間の目は否定的でした。それは平成の米騒動のときに粗悪なタイ米を日本米とブレンドして販売したという経緯があったから仕方が無かったのです。
時代が令和となった今では、富田林市内のお店でもしっかりと美味しい長粒米を使うお店があることは大変素晴らしいなと思いました。
もちろん週替わりランチで使う日本の米にもこだわっています。新潟のコシヒカリを玄米の状態で買い、店内で精米して土鍋で炊くこだわりよう。どおりで週替わりランチのご飯が美味しいと思いました。
MAYUキッチンをひとりで切り盛りしているMAYUさんによると、御自身がジャスミンライスのファンということで、その流れでキーマカレーとカオマンガイがメニューに加えられているそうです。
カオマンガイは、MAYUさんが大阪市内にあるお店で食べたカオマンガイの食べやすさにハマったそうです。そこはタイ人ではなく日本人の男性のお店だったとのこと。そしてMAYUさんは自己流でネット情報も参考に、タオチオ(タイの味噌)など、本場タイの調味料を使いつつ日本人に合うような味を編み出しだそうです。
キーマカレーもMAYUさんがアレンジした味で、カオマンガイの肉を茹でる際にできたスープを活用しているとのこと。MAYUさん自身も豆が好きで、かつMAYUさんのお子さんが普通のカレーよりキーマの方が好きということでメニューに加えたそうです。
ここでMAYUさんがこの日を迎えるまでのエピソードを話してくださいました。MAYUさんの飲食店独立開業の夢は30年以上にさかのぼるそうです。学校卒業後に飲食業の道に入ったMAYUさんは、当時からぼんやりと独立開業を考えていたそうです。
しかし、予想外に早く運命の出会いがあり、20歳代前半で結婚し、ふたりの子供に恵まれました。子どもが手を離れてから再び働こうと考えましたが、子育てを行いながら飲食店の仕事を兼任するのは、飲食業界を知っているMAYUさんにとっては難しいと判断しました。
なぜならば飲食店は土日が忙しく、子育ての最中であるMAYUさんが土日を仕事にすることなど考えられなかったからです。結局飲食の道をいったん断念。一般事務の派遣社員からスタートし、最終的に正社員になりました。
転機が訪れたのは3年前のコロナ禍のころ、MAYUさんはちょうど金剛バルのボランティアで参加。その際に同じボランティア仲間から金剛銀座街にわっくCafeが誕生する話を聞いたのです。
これは面白いと、再び飲食業への気持ちが復活したMAYUさんは、友達と楽しくお店をやろうと、1年ほどわっくCafeさんで営業を行いました。もちろん会社員として本業を持ちながらです。
このころ、ふたりのお子さんもすでに成人となったタイミングでした。しばらくすると、もうひとつのシェアカフェtokimeki-life ナカリンの存在を知りました。とても素晴らしいシェアカフェだと思ったMAYUさんは、ここでの出店を検討します。
ここでMAYUさんはある決断を行いました。それは会社の退職です。これまでのわっくCafeさんのお遊び感覚と比べて、ナカリンさんへの出店は中途半端な気持ちで出来るものではないと判断したからです。
そして子育てを卒業した今こそ、若い時に夢見た飲食店開業の夢をもう一度思い出したのです。ちょうどナカリンさんでの空きが出たタイミングを知ったMAYUさんは、予定よりも前倒しして会社を退職しナカリンさんでの営業を始めました。
ナカリンさんでは、主に和食が好きな客層の違いに戸惑ったこともあったそうですが、むしろそれがMAYUキッチンさんにとっては良い経験になったそうです。確かに小鉢のこだわりなどはナカリンさん時代の経験が生きているような気がします。
MAYUさんは飲食店開業というかつての夢を果たすべく、寺池台にある中華料理屋さんへのバイトをはじめ、河内長野市の松ヶ丘にあるとぶのパンレンタルスペースへの出店、さらにイベントに出るなど、ほぼ毎日が飲食業としての日々を送るようになったのです。
MAYUさんは当初自らの年齢である50歳を機に独立開業を考えていました。ところがこれも前倒しになりました。シェアカフェを行き来する場合はどうしても荷物をその都度運ぶ必要があったのですが、特に猛暑だった今年の夏は大変だったのです。
そんなある日、ウルスデリさんの隣にあったはずのお店のシャッターが閉まっており、次に見た時には管理物件と書いてあったのです。「これはもしかしたら」と直感したMAYUさんは、管理会社に連絡します。
前のお店は開業して1年程度で閉店したために、居抜き物件としてはとても状態が良かったそうで、こだわりの壁などは前のお店を継承したそうです。棚やパーティーションは自力で行いましたが、ここで思わぬ助っ人が現れました。
それはMAYUさんの旦那様です。結婚して子育てが忙しい頃にはMAYUさんに対して「飲食店をしたいなんて馬鹿なことを言うな」と一笑に付していたそうですが、今回の開業の時は反論することなく、むしろ応援してくれたといいます。
電気工事士の資格を持つMAYUさんの旦那様は電気周りの工事もしてくれたそうです。またエアコンや冷蔵庫も前のお店のものが置いてあったことも、開業資金が想像以上に安く済んだそうです。
エピソードをお伺いしながら、本日のスィーツをいただきました。程よい甘さが良くて一気にフォークが進んだスイーツ。MAYUさんは「シェアカフェ時代だと共用の器があって小鉢はそれを使っていたけれど、今はすべて取り揃えないといけない」とまだまだ準備途中だと言います。
なんと朝ごはんもあるのがうれしいですね。また遅い時間のカフェ利用も大歓迎ですし、テイクアウトもできます。ただし、3個以上なら2日までのテイクアウトにも対応するとのことです。
ちなみにMAYUとは、MAYUさんの本名ではなく、MAYUさんのふたりのお子様の頭文字をとったそうです。美味しい料理を作る母の味が藤沢台で味わえるわけですね。
複数のシェアカフェでいろんなお客さん相手にしつつ自らの味を鍛えたMAYUキッチンさんが、30年越しに開業した念願のお店。お母さんが家族のために作る、そんな味わいの定食をいただきながら、末永く続いてほしいお店だと思いました。
MAYUKitchen(まゆキッチン)
住所:大阪府富田林市藤沢台5丁目3-2
電話番号:090-6327-1669
営業時間:火~土 8:00~16:00、金・土 11:00~22:00
定休日:日・月・第1土曜日
アクセス:南海金剛駅、近鉄富田林駅からバス 藤沢台二丁目バス停下車徒歩2分
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