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【河内長野市】奥河内最強の高級住宅街の真下に里山?自然専門家の指導を受け、自然と親しめる里山わびすけ

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

一説には、河内長野市美加の台が大阪のビバリーヒルズとの異名を持つと言われています。理由として、美加の台には南海電車の駅があり、山の中なのに一部のエリア「みやび坂」は共同溝のため電柱などがなく、さらにかつて億単位で販売された高級住宅地だからです。

しかし、そんな高級住宅地の真下に、昔ながらの里山があり、そこで仲間が集まって様々な活動を行っていることを知っている人はあまりいないのではないでしょうか?それは里山わびすけというスポットです。

昨年の冬から春にかけて何度か里山わびすけさんの取材をしたのですが、2023年6月2日の線状降水帯による豪雨で、山の土砂が崩れ、木が根っこごと崩落という事態が起きてしまったために、紹介できる状況では無かったのです。

その後、昨年12月ににぎわいプラザで行われたカジュアルワイン会で里山わびすけについての活動の報告と新たな参加者を募っていました。そこで私は「この機会に里山わびすけを紹介したい」旨を伝え了承を得ましたので、ここでご紹介することにしました。

里山わびすけについての当日の説明は、里山わびすけのオーナー家族の一員である穂積さんです。

最初の紹介にあるように、美加の台のすぐ下にある里山です。住所は南海千早口駅周辺と同じ岩瀬地区になります。敷地内には拠点となる山小屋を中心に、竹林や森、ため池、原っぱのほか、果樹園や畑などいろんなものがあります。

千早口駅・岩瀬側から里山わびすけ、美加の台方面に続いている山の中の道
千早口駅・岩瀬側から里山わびすけ、美加の台方面に続いている山の中の道

里山わびすけは美加の台ができてからは、その下にある谷のような場所になっていますが、美加の台造成前は山の中腹付近となり、岩瀬地区では山の中でももっとも高いところにあった場所と考えられます。(住所上では現在も岩瀬で最も高い場所)

現在は、美加の台から降りて行けます
現在は、美加の台から降りて行けます

今までいちばん高いところにあったのに、その上に高級住宅地の美加の台が造成されることになったわけです。

美加の台造成頃の里山わびすけ周辺の詳しい情報はありません。しかし、結果的に美加の台の真下に、自然の残る場所、人が気軽に自然と触れ合える場所として残ったのは、ある意味奇跡的な気がします。

穂積さんが里山わびすけとして開放することを決めたのは、それまでの里山は個人の所有地に過ぎず、里山を保護しようにも個人の力では限界があったことです。これからもこの里山を守るために、多くの人の力が必要と感じたのです。

ちょうど穂積さんがワンオペ育児で疲れていたタイミングとも重なり、場所を公開することでみんなの力で里山を守ろうと決意しました。

これは昨年の春ごろに訪問した時の様子です。美加の台は現在グランクラスの造成・販売を行っているので、今でも開発中の高級住宅地。そこから降りていくのですが、画像のように道は舗装されているので車でも簡単に入れます。

里山わびすけを通じてみんなが集まって楽しめる憩いの場にすることで、貴重な里山が守られるのですが、それに加えてにワンオペ育児で疲れている母親同士の交流の場にできればとの思いがありました。

では、里山わびすけは、現在どんな活動をしているのでしょうか?里山わびすけは昨年から本格的な活動を始めたそうで、まだまだ拠点作りはこれからです。

まず初めに、敷地内の空き家を改装してつつじ山荘とし、ここを拠点とすることになりました。里山に詳しい先輩や友人が集まり、里山わびすけの運営方針についてその人たちによる会議で物事が決まり、わびすけの関係人口を増やそうと努力しています。

里山を守る活動だけなら他にもあるかもしれません。また「自然の大切さを守らなければならない」と聞けば敷居が高いと感じる人もいるでしょう。しかし、里山わびすけでは、さまざまな部活動が行われています。

それぞれの部活動に興味を持つことをきっかけとして里山わびすけとの接点を持ち、気軽に里山活動に参加できるようにしています。

それでは、現在里山わびすけを拠点に活躍してしている部活動について、詳しく見ていきましょう。

まずは子育て部、わびすけっこクラブです。これは穂積さん自身が悩んでいた育児のワンオペ問題につながる活動。里山の自然に子どもたちが触れられる機会です。

これは昨年の春に行われたイベントで、ロープを使った木登り体験です。子どもたちがメインですが大人も楽しめる内容で、実際に穂積さんも体験していました。

もちろん、このようなことをしても問題のない丈夫な木を選んでいます。その辺りの専門家の直接指導を受けながらの活動です。

次はグリンウッドワーク部。生の木から手動具を使って加工して手作業で楽しむ木工活動です。

里山わびすけだからこそ楽しめる究極のDIY活動といえるでしょう。木は敷地内に無数にありますので生態系の問題もありません。かつ私有地だからこその醍醐味といえるのは、公園の木や公的機関が持つ山の木では絶対にできない芸当だからです。

右から三番目が穂積一平さん
右から三番目が穂積一平さん

次は少し渋い俳句部です。穂積さんのお父さんでもある一平さんは、俳人でもあるとのこと。

「山のくらし」という俳句集も出されています。

そして一平さんがいつも見る、里山の自然、季節ごとに変わる風景を前に五七五に合わせて句を詠みます。

里山わびすけだからできる自然との対話も現在募集しているそうで、一平さんと一緒に奥河内の松尾芭蕉を目指して句を創作するのも楽しそうですね。

里山活動の場合、アウトドアの空間なので、どうしても力の必要な体育会系の印象が強いのですが、里山わびすけは俳句部のような文化的なたしなみができるのも大きな特徴と言えますね。

おどりば!さんは、里山わびすけの自然を音楽で楽しもうというグループです。太鼓に合わせたアフリカンダンス。

なお、おどりば!さんは、現在木根館(きんこんかん:河内長野市立林業総合センター)で練習しているそうです。

活動拠点が木根館のほか、里山わびすけの広大な土地内で行われるのですから、大自然の中、太鼓をたたいて踊ったとしても近隣の騒音問題への影響もありません。

あにさんの水生生物観察会は、河内長野市内の生物や水質の調査を楽しく行う活動です。

里山わびすけの中にも池があり、そこに水生生物が生きています。河内長野は大阪府の中でも特に自然残っているところなので、身近な自然を学ぶのにまたとない場所。里山わびすけの自然に触れた子どもの中には、将来の生物学者が誕生するかもしれませんね。

このように、さまざまなな活動を行なっている里山わびすけさんは、今も参加者を多く求めています。参加方法は今まで紹介した部活動のほか、次の4つがあります。

  • 里山整備への労力と経験の提供
  • 寄付で応援
  • コンポストで循環体験
  • 会社やお友達との懇親会

この中で私も微力ながらコンポストをやっているので、間接的に里山わびすけさんとの関わりがあります。

コンポストについては、リンク先に詳しく紹介しています。

画像はイメージですが、懇親会なら室内や外でシート敷くなどして里山わびすけの自然触れながら楽しめます。美加の台のすぐ下にあり、非常に便利なアクセスで交流が楽しめますね。

さて、里山を守るためにはみんなで楽しむだけでは難しく、専門家の力が必要な時があります。

主に高尾山で活動をしている坂田晶子先生が、里山わびすけで勉強会と健全な里山の状態をチェックし保全活動を行うために、定期的に河内長野に来られています。坂田先生の経歴は以下の通りです。

明治大学文学部史学科卒業。一般社団法人コモンフォレストジャパン理事。虔十の会代表。前国連生物多様性の10年市民ネットワーク代表東京高尾山にて生物多様性を守り伝える為に、ネイチャーガイドをされながら各 地を駆け回りつつ、生物多様性条約や地球サミットなど国際会議にも継続的に参加。

左が坂田先生
左が坂田先生

私は、昨年の春に行われた坂田先生の1回目の勉強会に参加しました。午前中の座学の後、午後からは実際に里山わびすけ内の生態系を確認しました。

ルーペが手渡されました。これは高尾山で行っていることと同じで、坂田先生はルーペで見える小さな世界こそが里山保全に重要な意味があると言います。

里山わびすけ内に咲いている花や草木をルーペで覗き込んで見ていきます。その世界を通じて自然界の循環システムを学びました。

坂田先生は、里山を保全するのに安易にコンクリートを使えば、結局自然の循環にダメージを与えてしまうので、そうではなく、しがら(地面に打ち込んだ木杭に、縦割りにした竹を編み込む手作り柵)を使って行うべきだということを特に強調していました。

そこには水の流れなども意識しながら行うことも大事だと言われていました。坂田先生の指導を受けてこれから改善しようとした矢先の6月に、里山わびすけの山の土砂が崩れたという事実が、自然の物を使って保全することへの重要性を物語っているようです。

そして、明後日13日土曜日と14日日曜日の2日間、坂田先生が里山わびすけで3回目のセミナーを実施します。

日 時 2024年1月13日(土)10:30から15:30
    2024年1月14日(日)10:30から15:30
場 所 里山わびすけ (河内長野市岩瀬381)
参加費 各日3500円 両日参加で5000円
    (お昼のまかないが必要な方は別途500円)
内 容 坂田昌子さんに学ぶ里山整備(実演ワークショップ)
申し込み・問い合わせ toyamawabisuke@gmail.com 

里山のプロ中のプロから直々に自然の循環のことや環境の保全のことについて学べるまたとない機会です。セミナーの詳細はフェイスブックページ(外部リンク)でお願いします。

カジュアルワイン会で穂積さんは、市民、母親として次世代を担う子どもたちに、豊かな暮らしについて、里山わびすけの活動を通じて伝えていきたいと締めくくりました。

子どもだけではなく、大人も環境や自然問題を学べる場としたい、人が生活するとどうしても出てしまうゴミについても考える場を河内長野で作り、河内長野発で地域資源循環の実践を目指したいとのことでした。

河内長野やその周辺には昔ながらの地主さんが土地を持っていて、それを維持することの難しさという側面がある、高いお金を払って業者を使っても、保全方法を間違えると劣化や崩壊の恐れがあるということは想像もできませんでした。

里山わびすけを開放して一緒に里山を守っていこうとという動きは、とても意義のあることだと思いました。6月の崩落後も、自分たちでも直せるように、しがらによる階段作りの方法を坂田先生から指導を受け続けたいとのこと。

一緒に里山のことを学びながら活動し、そこで仲間を増やして楽しく大切な自然を守っていく活動は、自然の豊富な河内長野らしさそのものです。もっと自然を身近に感じたいと思った方は、里山わびすけの活動に参加してみてはいかがでしょうか。

里山わびすけ

住所:大阪府河内長野市岩瀬381

アクセス:南海美加の台駅からバス美加の台バス停下車徒歩5分、南海千早口駅から徒歩20分

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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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