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【河内長野市】船橋・西表島を経由して河内長野へ移住!キッチンカーのために団体を運営し奔走する小倉さん

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

毎週、河内長野市内ではいろんなイベントが行われていますね。その中でも食べ物が出るイベントはみんな大好きで、人が集まります。「食欲」という人間の三大欲のひとつを満たしてくれるものですから当然です。

そんな中、最近よく見かけるのがキッチンカーです。キッチンカーについては私が河内長野に引越しをする前、大阪市内のオフィス街でお昼休み近くになると現れていたのをよく見ていたこともあり、車の中にキッチンがあるのは便利だなと思っていました。

その後、河内長野に移住してから、いろんなところで行われるイベントに顔を出すようになってから、どこの会場にでもキッチンカーが出ているという印象があります。以前市役所でキッチンカーが出た時には、市役所職員に交じって近隣の方も集まっていました。

そして、そのときによく出会う方がいました。それは一般社団法人キッチンカーマルシェ協会代表理事の小倉明義さんです。いつも、「このイベントではキッチンカーが〇台手配済みです」という風に力強く答えていました。

あたかもイベントの影の立役者のように、キッチンカーをイベントの適材適所に配置している小倉さんに私はとても興味を持ちました。

小倉さん
小倉さん

一度小倉さんにお話を伺いたいと打診したところ快く応じてくださり、河内長野市役所に併設しているオンキッチンさんでインタビューをすることになりました。

小倉さんにはもうひとつの肩書きがありました。河内長野市商店連合会新規事業委員です。ちなみに、小倉さん河内長野ではなく千葉の船橋市の出身ということで、私と同じ移住組だったのです。

いつにもまして大いに語ってくれた小倉さん
いつにもまして大いに語ってくれた小倉さん

河内長野に来た理由やキッチンカーマルシェ協会をまとめる立場になった理由など、詳しくお話を聞くと非常に興味深い内容でした。小倉さんは大学を出てから、スーツを着て東京の五反田のベンチャー企業に就職しました。

小倉さんのインタビューを行ったオンキッチン
小倉さんのインタビューを行ったオンキッチン

就職した企業は、高齢者施設にドクターや美容師を派遣するような業務内容で、洋服販売のイベントなども手掛けていたそうです。

参考画像:西表島
参考画像:西表島

転機が訪れたのは退職してからです。ある日、「スーツを脱いでアロハシャツを着たい」と思った小倉さんは南の島で仕事をしたいと思うようになったそうで、最終的に行き着いた先が沖縄の西表(いりおもて)島でした。

参考画像:西表島
参考画像:西表島

ネイチャーガイドを目指すために未経験ながらも島に渡りましたが、来た当初はキャンプ場のボロテントで生活をするなど決して良い環境では無かったそうで、ガイドの給与も信じられないほど安かったとのこと。その後、島のお好み焼き屋さんで出会った写真家の元で1年ほど働いたそうです。

参考画像:西表島
参考画像:西表島

そして西表島滞在中に出会いがありました。リゾートバイトの人と恋に落ち、将来の起業を夢見た小倉さんは、資金を稼ぐために島を出てその人の住む大阪に来たそうです。小倉さんの父親が八尾出身だったので大阪への違和感はなく、大阪市内のドコモショップで働きました。

参考画像:大阪市内
参考画像:大阪市内

しかし、西表島の恋は実らず、結局別れることに。ところがすぐに新しい出会いがあったとのこと。ドコモショップで研修時に知り合った女性と新しい恋が芽生えます。その相手とは見事にゴールイン。お話を聞きながら運命の面白さを感じました。

アンソニーのキッチンカー
アンソニーのキッチンカー

西表島の恋は破れたこともあり、もう西表島にこだわる必要がなくなった小倉さんですが、手に職をつけたいと思った時に素敵な出会いがありました。河内長野でアンソニーという石焼ピザのキッチンカーを運営していた薮下利広さんとの出会いが、小倉さんの現在の活動に直結します。

薮下さんのキッチンカーはキャンピングカーを改造して作ったものです。ピザを焼いて生計を立てる薮下さんに小倉さんは憧れました。ただその時、2・3年後に2号店という話だったので、いったんは無縁ではと思われたのです。

2021年に撮影:右側がアンソニーのキッチンカー
2021年に撮影:右側がアンソニーのキッチンカー

ところが二転三転して、結果的にアンソニーの2号キッチンカーを小倉さんが担当することになりました。それが2017年の4月だったそうです。

こうして小倉さんは河内長野に移住します。中心部に小さな商店街があり、少し移動すれば自然豊かな場所があるという点に惹かれていったとのこと。

当時は子育ての環境として西表島に戻る、あるいは小豆島も候補だったそうですが、いろいろな条件を総合した結果、河内長野がいちばん良いとなったそうです。ただ小倉さんが河内長野で唯一残念なのは海がないということ。それは私も同感ですね。

そして1年くらいが経過した2018年に社団法人キッチンカー協会を立ち上げました。それは薮下さんが中心となったプロジェクトで、地域還元・地産地消を頭の中に思い浮かべたからです。南河内地域の名産といえば小山田の桃を始めとするフルーツです。

しかしピザでフルーツは難しいとなったのですが、だったらキッチンカーの仲間を集めようと社団法人立ち上げにつながりました。そしてキッチンカーマルシェ協会は大阪府が主催した大阪起業家スタートアップビジネスプランコンテストで優秀賞を受賞しました。

それから2年、協会活動は主に薮下さんが行ない、小倉さんは現場をメインに勤めました。ところが2020年に薮下さんの突然の死という緊急事態が訪れたのです。小倉さんは訳も分からず、とりあえず残されていた薮下さんの手帳を元に、結果的に協会を引き継ぐことになりました。

キッチンカーについては薮下さんの家族と話し合いの末、1年後の2021年をもって小倉さんはキッチンカーについては手を引き、協会だけを継ぐことになりました。

河内長野シティマラソンで左のキッチンカーが小倉さん
河内長野シティマラソンで左のキッチンカーが小倉さん

協会活動をおこなう中、やはり現場から離れていることで、ギャップのようなものを感じた小倉さんは、後にトラックを改造して燻製のキッチンカーをスタートさせています。

新しいキッチンカーは「燻君」という名前で、地域の間伐材や地域食材を使用する以前のコンセプトは守り続けた営業をしています

さて社団法人キッチンカーマルシェ協会は、キッチンカーの利益拡大を究極の目標として以下のような活動を続けています。

①マルシェの企画・運営
②キッチンカー開業支援
③生産者とマッチングする支援

①がメイン活動で、②も相談を受けているそうです。③についてはまだこれから推進していきたいとのこと。

さて小倉さん率いるキッチンカーマルシェ協会は、他の組織と比べて小規模といいます。それには理由があり、誰でも協会に入れないからです。

中途半端な気持ちでキッチンカーをはじめるのではなく、それなりのしっかりとした覚悟を持ち、一定の条件をクリアしないと入れないからだそう。具体的には面接をしてあえて設定した年会費を払ってくれる人という条件があるとのこと。

2024年1月時点では30業者で、そのうち河内長野市は意外にも1業者だけとのこと。ただし今後2業者ほど協会に入る可能性があり、話し合いを進めているそうです。

さて、キッチンカーマルシェ協会のイベントは2月にも以下のイベントを予定されています。道の駅奥河内くろまろの郷で行われるイベントを3つ紹介しましょう。

1、らびーまるしぇ(2月4日10:00~16:00) 

犬猫と比べて知名度の低い「保護うさぎ」の問題に対応するMyRabbitクレープ(外部リンク)が主催するマルシェです。マルシェでの売り上げの一部を「全国うさぎ愛護協会」を通じてウサギ保護活動支援費として寄付と活用するとのこと。

イベントに協力として一般社団法人キッチンカーマルシェ協会が参画し、キッチンカーと地域のお店が6店ほど出店します。

2、みんなのマルシェ(2月10日~11日)くろまろの郷 10:00~16:00

みんなのマルシェは、障がいの有無にかかわらずみんなが楽しむ配慮や環境を考えて町に広がることを目指したマルシェで、キッチンカーマルシェ協会が主体的にかかわっています。前回のマルシェの模様を紹介しましたので、詳細はリンク先をご覧ください。

前回イベントでサトスポさんが盛り上げた様子
前回イベントでサトスポさんが盛り上げた様子

2日間の開催中には、キッズダンスや備後の出演、地元ゴスペルグループ、クレアミュージック河内長野による音楽ライブを行います。また今回の取り組みとしては、フードメニューが一覧で見れるようにし、マークごとにお店の種類が判別できるようにしました。またお店体験の時間もあるとのこと。

さらに、介護が必要な方もいることから救護室を設置しました。加えて足元マットを設置することで、キッチンカーの並ぶ場所などもわかるようにしまし、店舗の位置を知らせる記号や写真付きPOPを用意。さらに困ったときには助けるスタッフを常駐させています。

動画は昨年のタイマツタテ

余談ですが、みんなのマルシェはみんまるLABOさんのページ(外部リンク)に紹介がありますが、昨年10月に行われた長野神社の神事「タイマツタテ」作りにも参加したとのこと。地元の伝統的な神事に積極的に若者が関わるのは、素敵なことだと思いました。

画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会
画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会

3、「ふくふく猫まつり」(2/12(月)10:00~16:00)道の駅くろまろの郷 

河内長野を拠点とされている保護猫団体「にしきんち」(外部リンク)さんを主役に、保護猫活動の啓蒙と支援を目的としたイベントです。

画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会
画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会

今回はキッチンカー4台、保護猫のパネル展示、チャリティーバザー等を開催します。

画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会
画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会

またキッチンカーの売上の一部は「にしきんち」さんに寄付します。

画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会
画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会

このようにキッチンカーの利益をできるだけ確保するために奔走する小倉さんですが、キッチンカーが来れば、イベント主催者が儲かると思われすぎていることが、小倉さんの頭の痛いところだそうです。

画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会
画像提供:一般社団法人キッチンカーマルシェ協会

特に大手のイベントは半年前から決まるため、出店者に対する青田買い問題がキッチンカーの業界にもあるそうで、力のある人気のキッチンカーが優先的に大手イベントに集められるとのこと。

前回のみんなのマルシェの様子
前回のみんなのマルシェの様子

そうではないキッチンカーは、集客などの条件が悪くても出店を決めざるを得ないなど、現実はなかなか厳しいそうです。

そして「今はキッチンカー業界はだれでも参入しやすく、過剰気味の時代になっている」と小倉さん。常に危機感を持って運営をされているんだと思いました。

とはいえ、キッチンカーマルシェ協会は誰でもではなく、協会に加盟する条件をあえて高く設定することで、結果的に力のある精鋭業者が集結しているわけです。

お話を伺った小倉さんを軸とした強いつながりがあれば、やがてピークが過ぎて淘汰が始まっても生き残り、そしてイベントの陰の立役者として引き続き組織が発展するのではないかという気がしました。

一般社団法人キッチンカーマルシェ協会(外部リンク)

住所:大阪府河内長野市大師町12-23

TEL:0721-21-5559

アクセス:南海近鉄河内長野駅からバス 大師町バス停徒歩4分
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奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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