【河内長野市】ふるさと歴史学習館で、なんと!天保年間の御殿雛や武者幟を展示中。解説付きで見ていました
3月3日桃の節句といえばひな祭りですが、日本にはその他にも季節ごとに様々な行事がありますね。
こちらが五節供と呼ばれるものです。新年早々の七草や5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重暘と、現在でもこれらの行事は日常に根付いているものばかりです。
現在河内長野にある無料ミュージアム「ふるさと歴史学習館」では、雛と幟にスポットを当てた展示会を6月2日まで開催しています。
というわけで、どんな展示なのか実際に見てみることにしました。
通常、特別展示は奥の特別展示室で展示していますが、今回は珍しく常設の展示物の中に混じって御殿雛が展示してあります。
御殿雛といえば、結構大がかりなものをよくみますが、こちらは内裏雛だけという小さなものでした。
さて、いつものように奥の展示室に行ってみましょう。
手前には大きな鯉のぼりが、展示室に入るための幕のように横たわっています。
今回は寄贈品ばかりということもあり、自由に撮影ができるようです。
説明によると、ひな祭りの起源ははっきりしないそうですが、江戸時代から盛んになり、江戸後期頃の関西や西日本では「御殿飾り」が人気だったそうです。やがて昭和30年代に百貨店で現在のスタイルの雛人形が販売されるようになったので、御殿飾りは今となっては貴重とのこと。
こちらにも御殿雛があります。こちら説明版によると昭和初期(1930年代)の京都で作られたコンパクトサイズです。
そして、私に説明してくれたふるさと歴史学習館の学芸員さんによれば、ぜひ見てほしいというのがこちらの御殿雛でした。何と江戸時代の天保年間(天保13年:1842年)の作というのですから、182年前に作られた御殿雛です。
改めて見ると、馴染みの雛人形とは明らかに雰囲気が異なりますね。
学芸員さんの話では一番手前にいるのが平民で、その奥にいるのが貴族(内裏雛は皇族)ということのようですが、この御殿雛手前にいる平民の人形の表情が喜怒哀楽に満ちてたまらないのです。
何か見ているほうまで嬉しくなりそうな笑顔ですね。
でも、今でも動きだしそうな役者のようにも見える表情豊かなこれらの人形を製作した天保時代の職人さん。素人が見ても相当な腕があるような気がします。
こちらは三人官女です。下段にいた平民の表情と比べると貴族階級のためか上品ですね。それでも首を傾けていて、それぞれに表情を感じました。
いちばん奥の最上段に内裏雛があり、見えにくいので写真が展示していました。このようにみると内裏雛にもしっかりと表情がありますね。
手前には椀やお銚子、おちょこなど
花嫁道具のようなタンスなどが展示していました。
もうひとつの目玉はこちらの幟(のぼり)です。今では甲州や中部、九州のあたり以外ではあまり見かけることはありませんが、元々5月5日の端午の節句はこのような幟を掲げていたとのこと。
説明に書いてありますが、家紋と武者絵をいれた幟を掲げていたそうです。元々は菖蒲の節句で、厄除けの意味があったようですが、鎌倉時代に菖蒲を「尚武」とかけて男の子の成長を願う風習になって行ったそうです。
さらに、鯉のぼりは江戸後期になってから登場したそうです。武士の家で合戦の目印として建てる幟を一般庶民が真似、さらに「鯉の滝のぼり」の故事から出世に例えられる鯉の絵が描かれた幟が立ち、やがて絵を立体化した鯉のぼりになっていったようです。
幟の詳しい説明もあります。
ということで、かつて河内長野でも掲げられていたという武者幟を詳しくみてみましょう。
ひとつは、豊臣秀吉です。南河内は河内源氏発祥の地で、楠木正成などいろんな武将がいますが、やはり天下人になって、大阪に城を築いた豊臣秀吉がいちばん人気だそうです。
そして豊臣秀吉の下に配下の武将「加藤清正」「中川清秀」の顔があります。学芸員さんの話では、秀吉の武将幟は、配下の武将が描かれている数が多いほど価値が高くなるとのこと。
もうひとつはこちらです。背後に海が見えますが、このときなぜかピンク色の球が小山田の桃に見えてしまったようです。
これを見て思わず「桃太郎!」と口走ってしまい、学芸員さんを引かせてしまいましたが、もちろん桃太郎ではありません。これは古代の古事記や日本書紀に出てくる神功皇后が朝鮮半島に出兵したときのもので、赤子が応神天皇で、抱いているのが武内宿禰(たけのうちのすくね)とのこと。
とうことで、ふるさと歴史学習館の特別展示「ひなとのぼり」を紹介しました。6月2日までロングランで展示しているので、時間が許せば見学に行って本物を見てはいかがでしょう。
河内長野市立ふるさと歴史学習館
住所:大阪府河内長野市高向2230-5
TEL:0721-64-1560
企画展日時:2024年1月28日まで 9:00~17:00
定休日:月曜(月曜が祝日の場合は翌日)、年末年始
アクセス:南海・近鉄河内長野駅からバス 道の駅奥河内くろまろの郷バス停から徒歩6分
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