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学生や社会人にも急増!?やめられない盗撮は依存症,盗撮加害者にならないために知っておきたい7つの事

おりえ

総合危機管理アドバイザー/防犯・防災・護身術

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あなたが盗撮加害者にならないために知っておきたいつ7の事

今スマホでこの記事を読んでいる人達のほとんどにはカメラが内蔵されていると思います。盗撮は今や痴漢と並ぶ日本の2大性犯罪と言われ検挙件数がここ10年で倍増している性犯罪です。

でも盗撮なんて自分は関係ない?いえいえ、そこにカメラがある限り自分が関係ないと思ってはいけません。知っておいた方が良い事実はある。

今回は2000人以上の性犯罪加害者の治療に日本で先駆的に取り組んできた最新刊「盗撮をやめられない男たち」(扶桑社)の著者であり,精神保健福祉士・社会福祉士である斉藤章佳先生にお話を伺い、盗撮の実態を知るためにそのポイントを7つの項目に分けてみました。

盗撮加害者にならないためには 「盗撮をやめられない男たち」(扶桑社)著者 斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)
盗撮加害者にならないためには 「盗撮をやめられない男たち」(扶桑社)著者 斉藤章佳氏(精神保健福祉士・社会福祉士)

1・盗撮は無音アプリをインストールしている人が9割

―まず盗撮を行う人というのはどういった特徴がありますか?

斉藤氏

まず盗撮行為の第一歩として無音アプリのインストールがあります。盗撮加害者は、いつものスマホを使う感覚で「俺にもできるかも・・・」という盗撮行為自体を軽視したものであるのに対し、被害者側は不快感、怒り、恐怖、悲しみ、呆れ、そして「画像がネットに流出する被害への恐怖」があります。

クリニックの調査では、加害者側の9割はわざわざ無音アプリを使用するというずるがしこさはありながらも、他者を無断で撮影することに対する暴力性にはほとんど気づいていません。

―タイトルが「盗撮をやめられない男たち」ですがその理由は何でしょうか

斉藤氏

反復する盗撮行為で刑事事件になり当院に受診する加害者は現在のところ全員男性です。

確かに他の性暴力に関しては女性の加害者も統計上ごく少数いますが、当クリニックに訪れる盗撮の加害者は男性であり現時点では電話相談も含め女性加害者は一人もおらず、他でそれを示す公的なデータも存在しません。

もちろん、ネットで画像を売買するなどの金銭目的の盗撮行為であれば女性の加害者もいると言われていますが、私が出会ってきた嗜癖行動化(行為依存)している盗撮加害者はみな男性です。そこからもわかるように、男性と女性とでは耽溺する行為(物質)の違いを感じざるを得ません。もちろんこれは、見ている世界の「見え方の違い」にも表れています。

2・無断で他者を撮影することの暴力性を知る

―見えている世界の違いですか?

斉藤氏

はい、これは痴漢などの性犯罪にも言えることですが性被害に遭う可能性のある側、女性や子どもは特に体も小さく腕力も男性に比べて弱いです。

盗撮は非接触型の性犯罪です。だからこそ,その被害が見えにくく、矮小化されやすい上に、仮に知らないうちに盗撮された画像や動画はネット上に出てしまうと瞬く間に拡散され不特定多数の人に自分のプライベートゾーンを見られてしまう。

盗撮の場合でも、男性と女性で見えている世界、体験している世界が違います。私の知る限り、男性で盗撮の恐怖に怯えて生きている人はほとんどいません。

たとえば女性であれば無警戒にエスカレーターや階段を昇らないように気を付ける、トイレでは盗撮されていないか警戒しながら用を足すなどがありますが、男性が盗撮被害を意識してエスカレーターやトイレを利用することはないでしょう。

―確かにそもそも感じるストレスや恐怖感が違いますね

斉藤氏

実際に盗撮被害に遭った女性の方から被害の状況についてヒアリングしたところ、盗撮は下着を盗み撮りされるだけではなく「大切な自尊心」や「安全な生活の感覚」も同時に盗み取られるのだと話していました。盗撮加害者はこのような被害に実態について想像も及びません。他者を無許可で撮影することの暴力性への意識が大きく欠けているわけです。これは、「性的同意」の問題とも地続きであると考えています。

3・性犯罪者の中である意味もっとも認知が歪んでいるのが盗撮

―性犯罪者の特徴としてよく耳にするのが加害者側の「相手も望んでいた」「実は誘っている」など自分の都合のいいように現実をとらえる「認知の歪み」の存在ですが、盗撮加害者にももちろんそれはあるのですよね?

斉藤氏

はい、ある刑事弁護を数多く手がけている女性弁護士と盗撮の加害者について意見交換をしていた時にも、数ある性犯罪の中でも特に常習化した盗撮加害者は強制性交や他の接触型の性犯罪に比べると与える被害や社会への影響にはグラデーションがあるかもしれないが認知の歪み方はある意味一番根が深いのではないかと思うと言っていました。

つまり盗撮の行為自体、撮影時相手を人ではなく「モノ=データ」として見ている可能性が高いということです。

盗撮加害者はスマホ画面内の「画像」として被害者を捉え、フォルダ内の被害者は人(一人の人間)ではなく記号でありデータ化(モノ化)してしまう。

接触型の性犯罪は、ある意味顔の見える人対人ですので多かれ少なかれその行為には心理的な葛藤が生じやすいと考えられますが、物理的に接触することのない盗撮行為は加害者の罪の意識を著しく希薄にさせます。またやってしまったという行為後の後悔の念は多少あったとしても、そこに被害者を出したことへの罪悪感は残念ながら全く感じることがありません。

4・盗撮加害者はいつから常習化するのか(その見極め方)

―盗撮の嗜癖行動化(常習化)についてですが、どの基準ですでに依存症(行為)と同義の状態になっている思われますか?

斉藤氏

先に述べたように盗撮は性犯罪の中でも非常に短期間で嗜癖化し、やめたくてもやめられない状態、つまり衝動制御障害に陥ってしまう可能性がある行為だと思います。その理由は、やはり行動化初期の段階では、撮影したデータを多くの加害者が自己使用(自慰行為)することで、それが強力な強化子となり、耽溺していくからです。

基本的には、ある物質や行為や関係により何らかの社会的損失や経済的損失、身体的損失があるにも関わらずそれをやめられない状態、これが依存症です。対象行為のコントロール喪失、つまり衝動制御障害に陥っており、その衝動にあらがえない状態とも言えます。それが行為依存としての盗撮、つまり窃視障害です。

5・自分自身に盗撮の問題がある場合とその対策

―盗撮を自分でやめたいと思っている人もいるはず。痴漢加害者が痴漢行為をしないために自分で出来ることは例えば電車の通勤通学をやめる、欲求が高まってきたときに冷たいものをさわる、電車内では手袋をはめるなどの対処行動(コーピング)があるとお話を伺ったことがありますが、たとえば盗撮行為の場合、盗撮したい欲求が高まってきた時に適切に回避できるような方法がありますか?

斉藤氏

盗撮の方法にもよりますがまずは機材の管理が重要です。

ただ、難しいのが普通にこの社会で生きていく中でスマホがないと様々な不都合が出てくる場面があります。しかし一方で、摂食障害は食べないと死に至りますが、盗撮加害者はスマホがないと生きていけないわけではありません。自衛策のひとつとしてガラゲーに変えるパターンの方もいます。

ここで現在行われている対策を3つ挙げてみましょう。

1)カメラを壊す(撮影しても見えなくなるように傷をつける、色で塗りつぶす等)

2)カメラ機能の暗証番号を第三者に管理してもらう(親やキーパーソンに管理してもらうなど)

3)携帯契約の際に携帯電話会社にカメラ機能を付けないようにしてもらう

再発は日常生活の連鎖プロセスの中で起こります。対象者を凝視し目で追い続けてしまう、後ろについてストーキングしてしまう、別の機材を改めて購入してしまう等、盗撮行為(スリップ)まではいかなくても、再発の類似行為(ラプス)などが最初に出ることもあります。

やはり盗撮を繰り返さないためにはしっかりと治療を受けていただきたいと思います。

6・増える学生の盗撮問題と性教育の大切さ

―今なお増え続けている盗撮被害ですが、今後盗撮はどうすれば防げると思いますか?

斉藤氏

実は最近増えているのが高校生や大学生の相談です。

―え?高校生や大学生ですか?

斉藤氏

はい、そうです。

校内の盗撮事件から警察が介入する。しかし繰り返すことで警察からの助言もあり親と専門治療の相談にやってくるパターンが多いですね。

そしてここで考えて欲しいのが、高校生や大学生で既にかなり常習化しているということは年齢から考えてスマホを持ってから非常に短期間で耽溺している可能性が高いと考えられるます。これは他の性犯罪にはないくらい短期間で常習化していると感じます。

実際に盗撮の検挙件数はここ10年で倍増しています。痴漢被害件数は大きく推移してない中(実際は案数が多いのは前提ですが)、今盗撮の相談は痴漢をしのぐ勢いで増えています。しかも非接触型で痴漢よりも表面化しにくいと考えれば件数はさらに多いのではないでしょうか。

だからこそ一次予防として学校教育でネットリテラシーの教育や性犯罪についての性教育など若い世代からの正しい情報提供が必要かと思います。

例えば事前知識のない中、校内で女の子を撮影して男友達同士でLINEグループで共有しその写真を公開したとします。そこでグループ内の男友達から「お前凄いな」「勇気あるな」ということを言われたりすると、ホモソーシャルな男の子社会の中で承認欲求が満たされる経験をします。僕も男として認められた感は、子どもも大人も同じ感覚ですね。そうするとその行動は反復されます。それがだんだんエスカレートして一人で通学中や、エスカレートすると学校内の女子トイレにまで行ったりするようになる。

これは事前知識の段階で、無断で人を撮影することや拡散することの暴力性や違法性がわかっていれば行動化自体をとめられたかもしれない。先に正しい教育があれば問題行動はとめられる可能性があり、被害者も加害者もうまない可能性があるのです。その意味でも、性的同意のコンテンツの中に「無断で他者を撮影することの暴力性」について加えて欲しいと思います。

また、子どもたちだけではなく大人の方も手元にスマホや身近なツールとして撮影機器があるのですから、それがある限り盗撮予備軍になりかねない。そうならないためにも今、現実世界で何が起こっているか、被害者の気持ちや自分に降りかかるリスクはなにか、日本はなぜ盗撮を軽視する社会なのかについて知ることが大切だと思います。

7・「盗撮をやめられない男たち」この本を書いた目的と思い

ー最後に斉藤先生からこの本を書いた目的を教えていただけたらと思います

盗撮をやめられない男たち(扶桑社) 著者インタビュー
盗撮をやめられない男たち(扶桑社) 著者インタビュー

この「盗撮をやめられない男たち」(扶桑社)は、日本で初めての盗撮の実態を521名のデータから分析し明らかにした一般向けの書籍です。書籍にも書きました。そして、すべての性犯罪に共通している事ですが、まず盗撮は自分に関係ないと思っている人がほとんどです。しかし実は他人事ではなく今この瞬間も身近な駅構内、電車の中、街中、トイレ、大型ショッピングモールなどどこでも盗撮が行われているという事実を知ってもらいたいです。

自分の家族や大切な人が被害者にもなり加害者にもなり得る日常がすぐそこにあります。

そして今スマホを持っている自分自身が本当に加害者になるリスクがありそれを持ち歩きながら生活していることにも気が付いてほしいと思います。

今、世の中では法制審で議論されている通り撮影罪(盗撮罪)を立法化しようという動きがあります。この本を読んで多くの方に盗撮の実態を知っていただき、今一度スマホのカメラのスイッチを入れるという日常的な行為について考えを巡らせ、抜け出せない依存症への可能性や暴力性と真剣に向き合い、一緒に考えてもらえたらと思っています。

取材協力

扶桑社 「盗撮をやめられない男たち」

著書 斉藤章佳 (精神保健福祉士・社会福祉士)

斉藤章佳(さいとうあきよし)
所属:大船榎本クリニック精神保健福祉部長(精神保健福祉士/社会福祉士)
・1979年生まれ。大卒後、アジア最大規模といわれる依存症施設である榎本クリニックに
ソーシャルワーカーとして、約20年に渡りアルコール依存症を中心にギャンブル・薬物・
摂食障害・性犯罪・児童虐待・DV・クレプトマニアなど様々なアディクション問題に携
わる。その後、2020年4月から現職。
専門は加害者臨床で現在まで2000名以上の性犯罪者の治療に関わる。また、都内更生保
護施設では長年「酒害・薬害教育プログラム」の講師をつとめている。小中学校では薬物
乱用防止教育をはじめ、大学でも早期の依存症教育に積極的に取り組んでおり、全国での
講演も含めその活動は幅広くマスコミでも度々取り上げられている。

・著書:「性依存症の治療」 金剛出版.2014(共著)
    「性依存症のリアル」 金剛出版.2015(共著)
「男が痴漢になる理由」 イースト・プレス.2017
「万引き依存症」 イースト・プレス.2018、
「小児性愛という病-それは、愛ではない~」 ブックマン社.2019
「しくじらない飲み方-酒に逃げずに生きるには」 集英社.2020
「セックス依存症」 幻冬舎.2020
「行為依存と刑事弁護」 日本加除出版.2021(共著)
「盗撮をやめられない男たち」 扶桑社.2021
監修に漫画「セックス依存症になりました。」(津島隆太作、集英社)がある。

取材 インタビュー 総合危機管理アドバイザーおりえ

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