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eラーニングとは?知っているようで知らない学びのカタチ。警備業務まで取り入れた「中の人に」聞いてみた

おりえ総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

eラーニングとは?知っているようで知らない学びのカタチ。警備業務まで取り入れた「中の人に」聞いてみた

eラーニングとは?ネット環境さえあればいつでもどこでも学べる

皆さんeラーニングをご存じですか?eラーニングとは?ネット環境さえあればいつでもどこでも学べるシステムのことです。そんなの当たり前!と思う方も多いかもしれませんが、検索の一番先に「eラーニングとは?」が出てくるのもまた事実。まだまだなじみのない方も多いかもしれません。

そこで今回は警備業界初のeラーニングシステムも導入した株式会社manebiの「中の人」取締役CHO平石鳳志氏にeラーニングのメリットや選び方のコツなどお話を伺いました。

株式会社manebi 取締役CHO平石鳳志氏
株式会社manebi 取締役CHO平石鳳志氏

eラーニングって何が便利なの?そのメリットとは

eラーニングとはインターネット環境を利用して行う研修(学び)です。例えば弊社manebiの場合、現在550コース以上4500レッスン以上あります。感覚だと書籍が550冊ある中にそれぞれの4500項目に別れたタイトルがある形ですので、それぞれの分野に合わせて必要な内容を選び学ぶことができます。順を追って説明しますが、まず先にeラーニングのメリットをお伝えします。

eラーニングのメリット

〇ネット環境があればいつでもどこでも学べる(通わなければいけない研修が自宅でできる)

〇研修など教育の統一化ができる(教える人によりムラがない)

〇効果測定などが出来るので得意分野や苦手分野がわかりやすい

〇決められた学び(研修内容)だけでははなく一般教養なども受けられ個人の能力の向上につながる

〇会場や移動、講師派遣など予算も大幅に削減できる

〇感染症対策にもなる

eラーニングとは?
eラーニングとは?

eラーニングによる研修例を見てみよう(警備員になるには)

今回は業界初のラーニング警備版が導入された!ということで、警備員を育成する「警備業務」の研修を例にお話伺ってみましょう。

eラーニングを警備業務まで取り入れた「中の人に」聞いてみた 

平石氏

企業研修などは様々な業務に合わせた研修が必要ですが、警備員の仕事に就くには法律上必ずやらなければならない研修【法定研修】があります。それにより「新任研修」また「現任研修」というものを受けなければいけません。

これは定められている時間があり、今まではすべて対面式でしたが2019年の警備業法施行規則の一部改訂により、その研修の一部が電気通信回線を行う講義の方法が認められました。つまり、今まではある一定の回数、現場に通って行う研修がネット環境のある自宅等で受けられることになったのです例えば警備業務「新任研修」の場合例えば、新任研修の場合、3日間かけて、20時間を実施している警備会社が多いのですが3日間の研修中1日は自宅で受けられる。1回の研修を受けるために、もちろん片道1時間2時間の人もいたでしょう。本人の負担だけではなく会場費や交通費、教育責任者の準備などコストも大幅に削減できます。

eラーニングは古い考え方の場合「人と人との接し方が弱い」等のイメージがありますが、実技では実際に人と接するわけですし、「知識として学習する」部分に関して統一された内容の研修を受けることができます講師によって教え方にムラがあるなどという問題も出ません。そして何度でも教材を見て繰り返しの学習ができる、つまり効率よく学びを深めることが可能となります。

警備業界初のeラーニング 「ラーニング警備版」とは 
警備業界初のeラーニング 「ラーニング警備版」とは 

ーー警備員=実技訓練のようなイメージがあると思うのですが?

例えば新任研修であれば基本教育+業務別教育で計20時間以上の教育が必要になります。講義の部分はeラーニングによって学んでいただき、もちろん実技の部分が実地研修や集合研修等で行っていただきます。

――eラーニングについてここを知って欲しいなどはありますか?

例えば、法定研修というものは各業界にありますが、研修内容と時間数に縛りがあります。しかし、警備業界の場合は、eラーニングを使って法定研修を実施する場合、そのeラーニングシステムについても厳しい基準を管轄省庁である警察庁より求められています。それが下記4つです。これができてないとたとえ研修を受けても「グレーゾーン」になるわけです。

1受講者が本人であるかどうか確認できるものである事

IDやパスワード、生体認証等でのログイン入力でクリアできます

2受講者の受講の状況を確認できるものである事

〇弊社は本人確認システムでカメラ撮影機能がついています。受講中のあるタイミングで本人にカメラ撮影などをしてもらうことができますので、なりすまし対策にも有効です。

eラーニング 本人確認システム
eラーニング 本人確認システム

3受講者の警備業務に関する知識の習得の状況を確認できるものである事

効果測定やテスト・またどの項目をどれだけ受講したかなど修復状況記録が確認できます。

4質疑応答の機会が確保されているものである事

メールなどで受講者が教育を行う側に質問が受けられる仕組みができています。

いかがでしょうか?eラーニングでも決して流しっぱなしではない仕組みを作り、このようにきちんと基準に沿っていますので安心して研修が受けられます。

ホスピタリティの高い企業が行う研修

――最初に伺ったeラーニングのメリットのなかに個人の能力が向上とあったのが気になるのですが?

平石氏

はい、例えばいい警備員、現場からまた次もこの人にお願いしたいと思う質の良い警備員とはどんな人だと思いますか?今、色々な企業様とやり取りをしている中で実際に求めている人材だと感じるのは『高度な教育を受けている人材かどうか』という部分です。

ホスピタリティの高い接客をする場。例えば日本一のアミューズメントパークといったらわかりやすいでしょうか?そのようなホスピタリティの高い接客ができるホスピタリティの高い接客ができる企業などは警備員育成のシステムに弊社のeラーニングを導入していただいています。

警備員にしても今までの研修では法定研修である、警備業務に関することだけを学んでいれば良かった、しかしeラーニングで学ぶ場合そこから先、例えば警備内容の教育だけでなく「一般教養」「実務英語」「ビジネスマナー」「思考力」「モチベーション・メンタルヘルス」等さまざまな事も追加で好きな時に好きな時間に学ぶことができます。それによって自らが人としての質、警備員としての質を高めることができるわけです。また警備員の質があがれば、世の中はもっとよくなり、警備業界も益々盛り上がると、私は考えています。

ーーなるほど、私事ですが開店数分前の店のドアが開いていたので気がつかずに入ってしまったことがあります。数歩入ったところで店の奥にいた警備員に「何だおまえ!!出ていけ」といった感じで怒鳴られまして一瞬状況も把握できずに飛び上がるほど驚きました。

それはひどいですね

――間違えたこちらが悪いですが、看板もなくドアは開いていたわけですからやはりいきなり怒鳴りつける怖い警備員がいるというイメージがついてしまう。よく行く店舗でしたがその店にはもう行きませんよね。

そうです!それが警備員の質。厳しいことも必要ですが判断力や接し方、そういった人に対する考え方やマナーも学んで欲しいわけです。今後また増えると思われる外国人観光客の対応法なども法定研修内では学べませんからね。eラーニングは自分の学びの可能性も増えるわけですから自分のためにも、また研修を受けさせる企業全体の社員の質の向上のためにも、活かしていただければと思います。

機械的ではない人を育てるシステム

一見、eラーニングとはただ効率化を図るために機械的に導入されたシステムのように感じられますが、実はそうではないのです。中にはまだ苦手意識が高い方もいらっしゃいますが、若者たちは動画での学びに慣れています。警備業にしても学びやすいことで若者が増える。研修会場に足を運ぶ回数も減るわけですからね。簡単に学びやすい環境を作る事で若い人たちも集まってきて業界が活性化する、また、空いた時間やeラーニングの環境をきっかけにより多くを学ぶことで業界が日々発展するという,そんな流れになって欲しいと期待しています。

eラーニングシステムを導入する際の基準

――最後に今後eラーニングを利用する人や企業が今後ますます増えると思います。様々な会社のeラーニングシステムがあると思いますが、恐縮ながらその中で選ぶ基準のようなものを教えていただいてもいいですか?

はい、もちろんです笑 まずは自身の必要性にあった学びを提供しているe-ラーニングシステムを選べばよいと思います。

たとえば今回お話した警備業務の場合の法定研修。これらは警備業法の解釈運用基準という規則沿って行いますが「本人確認」の機能がない場合、eラーニングシを導入しても自宅ではなく「研修場所」に集合して学習しなければいけない可能性が高い。研修会場に人を集めてPCを並べたところで教材ビデオを流すのと変わらないのであれば本末転倒だと思いますのでシステムを導入するのであればしっかり確認をする。またオプションを確認して、それだけではないプラスアルファの学習が受けられるかもポイントですね。

それからもちろん予算内で値段が高い安いも気になるかとは思います。ただ、この業界はまだまだシステムにばらつきがあるので、安いから悪い、高いからシステムが整っているかというとそうでない場合もあるかと思います。

それらを重点的に見比べて【自分にとって企業研修にとって何が必要か?】のちに後悔しないよう、そこだけはしっかりと確認されて見極めるのがよいかと思います。

これからのeラーニング選び方の基準

〇研修で本人確認ができるシステムであるか(自宅で学習できるか)

〇プラスアルファの学習ができるか

〇値段とシステムの違いはどれぐらいか

まとめ 知っているようで知らなかった、学びのカタチ インタビューを終えて

  (聞き手 総合危機管理アドバイザーおりえ)

今回知っていそうで細かいところまでは私自身も知らなかったeラーニングシステム。以前関係者より「今日本の警備員の数が足りていない」と伺ったこともあり、犯罪件数は減っていてAIによる警備システムも進化しているものの、やはり人が必要な場所は必ずある世の中。目立つ凶悪犯罪も起こる中で今後ますます警備業は注目される業界だと思っています。

特に警備業務にeラーニングシステム導入と聞いて学習から機械的な世の中になるのでは?と少し不安に思いましたが全然そんなことはありませんでした。また、学習内容なども拝見し実際研修の動画を見せていただきましたが思っていたより簡単に操作ができPCの苦手な方でもわかりやすく作られているなと感じました。自信のない部分は繰り返し学習ができる、学ぶ機会が増える、自ら選択した内容も学べる、それが実際に使わせていただいた感想です。

警備業に関しても、eラーニングシステムの導入により質の良い警備員、つまり人間性の高い警備員として今までのように決まった内容を受講していた時代よりも、いい方向に向いていくのでは?と新たな期待を感じました。

また、企業研修についても同じ、多くの方に学びの可能性を与えるシステムはまさに自身を高める選択とチャンスがPCの前にあるのだと感じました。

ネット環境が便利な世の中、その場で学んでも人と会えないわけではありません。eラーニングが今後増えていくことは効率的に見えながらも、案外時代は優しく機械的等ではなく、皆が自分を高めながら進んでいける方向に動いるのかもしれないなと、今回のインタビューは今までeラーニングシステムについて誤解があったかもしれない私自身の学びにもなりました。

取材協力

株式会社manebi 取締役CHO 平石鳳志氏

株式会社manebi 

企業ミッションに「世界縁満」、ビジョンに「自分らしく輝く為のプラットフォームを作る」を掲げ、人の幸せを支援するプロダクトの企画・開発・販売。プロサッカー選手の本田圭佑氏率いるKSK Angel Found LLCも出資する、今注目のITベンチャー企業。

株式会社manebi  取締役CHO 平石鳳志氏
株式会社manebi 取締役CHO 平石鳳志氏

株式会社manebi リモート式の働き方をいち早く導入した自由出勤のオフィスは各自の席を設けない働きやすい環境
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総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

防犯・防災グッズ記事ランキング監修も手がける専門家。常識にとらわれない怖くない危機管理の考え方で講演会やメディア、セミナー、イベントなど幅広く活動。生活の中ですぐに取り入れられる対策や動き方、便利なグッズを提案。大学や企業向けに行う座学と実技のダイバーシティ系セミナーは防災、防犯だけでなくハラスメント対策など、身を守るために役立つと高いリピート率。 防犯整備士、危機管理士(自然災害・社会リスク)非常食研究家。 逃げるための護身術指導者、元硬式空手世界チャンピオン。 日本災害危機管理士機構、日本防犯設備士機構所属。

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