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大地震後の備え:アルファ米対フリーズドライ米、非常食のベストチョイスは?専門家の意見

おりえ総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

大地震などの災害時、非常食の準備は生活を支える重要な要素です。

能登半島地震の直後も非常食を買い求める人がとても増え、被災していない地域でも店頭で売り切れなどがあったようです。

災害直後の買い求めは被災地への物資の供給などを考えるとお勧めできませんが、地震後に改めて備蓄の重要さを考えている方も多いかと思います。現在被災地への物資(非常食)の供給は一定数追い付いたようなので、改めて備蓄についての基本の知識をお伝えできればと思います。
今回は災害時でも主食となる米「アルファ米とフリーズドライ米」どちらを選べばいいのかを、非常食や防災グッズなどランキング監修も手掛ける筆者が危機管理アドバイザーの専門家目線からこの2種類の特徴とメリットデメリット等をお伝えします。シンプルにまとめましたので参考にしてくださいね。
まずは加工方法の違いです。

アルファ米とは

アルファ米は、特殊な加工技術にて、米を炊いた後に乾燥させ水分を抜いたご飯です。加水で元の状態に戻ります。

フリーズドライ米とは

フリーズドライ米は、冷凍乾燥技術を用いて水分を抜いたご飯です。アルファ米と同様に加水で元の状態に戻ります。

アルファ米の特徴

加水して食べられるまでの時間はだいたい7分から60分。近年かなり食べられる状態になるまでの待機時間が時短されているアルファ米*もありますが、それでもすぐに食べれるというわけにはいかないのがこちらです。水なしで食べてお腹を壊すわけではありませんが、水で戻さずにそのまま食べるには硬すぎるので、現実的ではありません。

水を入れる前のアルファ米
水を入れる前のアルファ米

ただし、お米の再現性が元のご飯に近いのがアルファ米。炊き立てと言うわけにはいきませんが、戻した後は炊いたご飯に近いお米の食感などが感じられます。水を入れる量でご飯か雑炊が選べるアレンジ版も多いのが特徴です。フリーズドライ米よりも広く出回っていますので白米から味のついたご飯まで種類も多く、ハラル認定品などがあるのも便利です。
*記事見出しの写真が最短、お湯で7分のアルファ米になります。

アルファ米を選ぶのにおすすめのタイプ
〇被災地でもしっかり「ごはん」として食べたい、米の味や食感にこだわる人
〇気分によっては米だけでなく雑炊などが食べやすい可能性のある人
〇ご飯の時間まで少し余裕を持って待てる人7分~60分
〇味付きや具入りでもハラル認定を受けているものが食べたい人
・ちなみに水分を入れておにぎりになるタイプの物はアルファ米です

フリーズドライ米の特徴

フリーズドライ米は加水して、3分から5分とかなり短時間で出来上がりになります。その代わりご飯の崩れも早いので比較的柔らかい状態で食べることになり、逆にすぐに食べないとお米の原型が無くなる場合があります

写真上がフリーズドライ米、下がアルファ米
写真上がフリーズドライ米、下がアルファ米

そのかわり最大のメリットとして加水しなくても袋を開けてすぐスナック菓子のようにそのままぽりぽりと食べられます。食欲がない時にお菓子の方が食べやすい方やスナック菓子が好きなお子様などは、こちらの方が食べやすく便利かもしれません。

フリーズドライ米を選ぶのにおすすめのタイプ
〇ご飯は柔らかい食感が好きな人
〇ご飯よりスナック菓子などが食べやすい人(子供等)
〇今すぐにでも食べたい人 
・袋を開けてすぐ
・水分を入れて3分~5分
〇米自体の栄養価が高い方が良い人(アルファ米に比べて)
・そのまま食べられるフリーズドライ米を利用したおこわ系のお菓子やぜんざいなどもあります

共通の注意点

*どちらも一般的には脱酸素剤が入っています。間違えて食べることのないように必ず袋を開けたら確認し取り除いてください。ただし、もし間違って脱酸素剤が入っている状態でお湯や水を入れても中の食品が食べられなくなるわけではありません。その場合は速やかに取り除いてください。


その他の非常食も大事な理由

被災地では炭水化物は摂れてもタンパク質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などほかの栄養バランスが足りなくなる可能性があります。事実、東日本大震災や熊本地震でも長期化した避難所での栄養バランスの乱れによる肥満が問題となりました。(おにぎりや菓子パンなど炭水化物の食事が多いため)

いかに日常を取り戻すかの中で私たちが健康を維持するためには、「食」はとても大切なことですよね。
現在はお米の非常食でも肉や野菜、海藻を入れたり、玄米をベースに作られているものなどもあります。
避難袋に入れる食料はおおよそ3日分が目安です。持ち運べる量には限度がありますが、その中でもバランスは大切です。
在宅避難など長期化に備える場合などは特に、これらの栄養バランスを考慮して主食だけではなくおかず、肉や魚の缶詰やレトルト食品であったり野菜ジュース、お菓子など自分や家族が食べやすいものを選んで備蓄していただければと思います。

あなたにとって最適な選択は?

いかがでしたか?アルファ米とフリーズドライ米、どちらも地震や災害後の非常食として優れていますが、味付けや種類も多く、最終的な選択は自分や家族の状況や好みにはなります。
大きな地震や災害の時、心身ともに大変なストレスの中で自分や家族は何が口にできるか、何を食べたら元気になるか、ただ目にしたものを購入するのではなく、災害時にでも「これなら食べられそう」想像して備えることが大切です。

アルファ米とフリーズドライ米はその中の主食の基本の2種類にすぎませんが、まず初めの選択としての参考にしていただければと思います。

おすすめの非常食や最新防災グッズや防犯情報など、危機管理全般の発信をしています。興味のある方はフォロー宜しくお願い致します。

総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

防犯・防災グッズ記事ランキング監修も手がける専門家。常識にとらわれない怖くない危機管理の考え方で講演会やメディア、セミナー、イベントなど幅広く活動。生活の中ですぐに取り入れられる対策や動き方、便利なグッズを提案。大学や企業向けに行う座学と実技のダイバーシティ系セミナーは防災、防犯だけでなくハラスメント対策など、身を守るために役立つと高いリピート率。 防犯整備士、危機管理士(自然災害・社会リスク)非常食研究家。 逃げるための護身術指導者、元硬式空手世界チャンピオン。 日本災害危機管理士機構、日本防犯設備士機構所属。

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