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津波から家族を守る避難術:あなたと大切な人の命を救うために。すぐわかる避難時間と距離の計算方法も伝授

おりえ総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

津波からあなたと大切な人の命を救うために

地震大国であり島国の日本、津波の脅威とは常に隣り合わせです。
特に東日本大震災では、1万4000人以上の方が津波による溺死という悲劇が起こりました。

先日の台湾の地震でもあったように、離れた地域での地震であっても津波が起こる可能性もあります。
津波は海の中ではジェット機並みのスピードを持ち、私たちの想定以上の速さで到達する可能性があります。

そして津波は陸上を海岸線での津波高の2倍の標高まで駆け上ることもあります。津波の力が集中しやすい場所などは、最大で4倍程度の標高まで駆け上ることもあり、東日本大震災でも遡上高(駆け上がる)40mの津波が観測されています。

そんな津波から家族を守るための具体的な方法を知っていますか?
今回は津波警報が発令された時、そして発令される前から私たちに何ができるのかを、家族を守る避難術としてお伝えしたいと思います。

津波警報が発令されたらどうする?

津波警報が出たとき、私たちが行動を起こせる時間は想像以上に限られています。津波は数分から数十分で到達するため、迅速な避難が求められます。そのためにも、避難のための事前の計画が必要不可欠です。

高齢者や子供と一緒の避難可能距離を計算してみよう

避難歩行時間と距離の平均は?
高齢者や子供と一緒に避難することを想定して、基本的には1秒間に1m移動できると考えられています
しかし、東日本大震災で実際の平均避難歩行時間は1秒間に0.78mだったと言われていて想定よりも時間がかかったという現実もあります。
また障がいを持つ方や乳幼児と一緒に避難する際の時間は、1秒間0.5mと想定されています。

そこで自分の家から避難開始をして、津波到達時間までどのくらいの距離まで避難できるのか計算してみましょう。

避難可能距離 = (a歩行速度(m/秒)) × (b津波到達時間(分) - c避難開始時間(分))

例えば津波到達時間が15分後、避難までの時間が3分だとしましょう。

 基本ではaが1なので1×(15-3)=12

これを秒数に直すと(12×60)720
つまり3分で避難開始した場合、津波到達時間まで720メートルの距離を移動できるという目安になります。もちろんあくまでも目安です。そしてこれが高台に上る場合などはもっと時間がかかりますよね。

避難に必要な準備をする

ハザードマップの活用

先ほどの計算も活用しながら、ハザードマップを利用して、自宅や職場など、周辺の津波リスクを確認しておきましょう。
避難経路や避難場所、高台、津波災害警戒区域外を事前に把握し、自分たちの環境なども含めて家族と避難計画を立てておくこと、また実際にシュミレーションをしてみることが大切です。


垂直避難も視野に入れる


家族の都合や津波到達時間が短いと予測される地域などは、近くの高い建物で避難できる場所を確認しておきましょう。目安は鉄筋コンクリート3階以上の高い建物に上がることですが、過信せず、高台も含め、より高い場所を目指すのが鉄則です。

避難時の注意すべきポイント

避難時は渋滞を避けるため、緊急車両の妨げにならないためにも、車ではなく徒歩での避難を基本としています。東日本大震災でも、かなりの人が車で逃げ、40パーセントの人が渋滞に巻き込まれた地域もあるようです。ただし歩行が困難な家族がいる場合は、事前に対策を練っておくことが重要ですね。

避難グッズの準備はもちろん重要ですが、自宅に取りに戻る、わざわざ時間をかけて押入れの奥から取り出すなどは絶対に避けて下さい。いつも取り出せる場所に置き、いざという時は荷物より命優先で行動することも忘れずに。

また、水場でも靴が流されないよう、きちんと歩行できるためにも、調整できる紐のついたシューズで避難することも心がけましょう。


まとめ

・日頃から避難場所や避難方法を家族で話し合い、時間の計算やシュミレーションなどを行う

基本は徒歩で避難、高台や津波災害警戒区域外へ向かう

間に合わないと感じる場合は垂直避難。鉄筋コンクリート3階以上の高い建物に避難する

すぐ取れる場所に防災グッズを置く、命最優先(取りに戻らない)

できるだけ靴ひものついたシューズで避難

家族を守るためにできること

いかがでしたか?日頃からの準備と正しい知識が、大切な家族を守るための鍵になります。

大事なこととわかっていても防災対策は後回しにしてしまいがちなのはわかります。ただ、自然災害の全てに完全に備えることは不可能ですが、事前準備や心構えが命を繋ぐ可能性はあります。自分や大切な家族の命は自分で守るしかありません。

今回お伝えした避難術で確実に助かるという保証ではありませんが、少しでも避難方法を知り、スムーズに逃げられるきっかけになればと思います。

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記事内、参考文献、参考資料

内閣府 特集 津波について知ろう

政府広報オンライン

「緊急地震速報」と「津波警報」等 いざそのとき、身を守るために!

気象庁 津波から身を守るために

国土交通省 

津波避難を想定した避難路、避難施設の配置及び避難誘導について

総合危機管理アドバイザー三沢おりえ/防犯・防災・護身術

防犯・防災グッズ記事ランキング監修も手がける専門家。常識にとらわれない怖くない危機管理の考え方で講演会やメディア、セミナー、イベントなど幅広く活動。生活の中ですぐに取り入れられる対策や動き方、便利なグッズを提案。大学や企業向けに行う座学と実技のダイバーシティ系セミナーは防災、防犯だけでなくハラスメント対策など、身を守るために役立つと高いリピート率。 防犯整備士、危機管理士(自然災害・社会リスク)非常食研究家。 逃げるための護身術指導者、元硬式空手世界チャンピオン。 日本災害危機管理士機構、日本防犯設備士機構所属。

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