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部下を腐らせない「指摘の仕方」

太田章代新人育成トレーナー

指摘」とは、「大切な点や注意すべきことなどを具体的に取り上げて指し示すこと」です。特に悪い意味だけに使われる言葉とは言えません。しかし、仕事の場面においては、「指摘」というと、「マイナスな点を指し示す」といった意味に使われることが多いように見えます。

人の誤りや過失を指摘するのは、想像以上に気を使うものです。しかし、部下の仕事に指摘をする際、皮肉っぽく、しつこく部下を責め立てる上司もいます。日頃からミスが多い部下の場合、ついつい長く指摘を続けてしまうこともあるでしょう。そんな誤った指摘の仕方では、いつの間にか部下は腐ってしまいます。

見て見ぬ振りはせず、伝え方を考えて指摘をする

上司は、気づいた部下の問題を指摘して、より良い方向に導くのが役目です。いくら気がひけるからといって、知っていながら部下の問題に見て見ぬ振りをしている方が大問題と言えるでしょう。

部下のミスや誤りを指摘するのは、たとえ上司といえども楽しいことではありません。部下としても、ミスを指摘されることが嬉しいわけはないでしょう。

こういった「上司から部下へ問題を指摘する」場面で、伝え方に気を配っていないばかりに、関係が悪化してしまうことがあります。思ったことをそのまま口に出すのではなく、部下がどう感じるかを考えて指摘をしたいものです。

相手に伝わる、疑問形の指摘

指摘をする際、開口一番「これでは全くダメだ」と否定してしまう上司がいます。これでは、上司の意見の押し付けです。

いきなり否定をするのではなく、「これはここがよくないと思うんだけど、どう思う?」と意見を聞くようにした方が、相手に伝わります。上司の考えをそのまま言うよりも、自分の意見を伝えつつ、語尾を疑問形にして部下の考えも聞いた方が、部下は指摘をポジティブに受け止めることができるのです。

指摘に具体的な改善案を加える

指摘をした後も重要です。指摘をした後、「その間違いをどう改善すればいいのか」が示されないと、それで終了してしまいます。「この企画書だと使えないね」と指摘をしてそのまま放っておいたのでは、何の成果にもつながりません。

ダメならダメで、「どこがダメで、どうすべきか」と共に考える段階に進むことこそが、上司の役目です。

【指摘+具体的な改善案=指摘を素直に受け入れ、改善できる】

部下に指摘をする際には、こんな方程式が成り立ちます。

指摘の伝え方例/
「この企画書だと会社のアピールに徹しているから、お客様にとっての利点が伝わるようにしよう」
「企画書の◯~◯ページはいいね、△~△ページの部分をこう変えたらさらに良くなるよ」

まとめ

ミスや問題の指摘は、言いにくかったり、知らず知らず億劫に思って避けてしまいがちです。しかし、指摘される部下の感情に気を配った伝え方をすれば、人間関係が壊れてしまうことはなく、むしろ前向きに事態は好転していくものです。

そのためには、部下が指摘を素直に受け入れることができるような工夫が必要です。部下の気持ちを考慮に入れて伝えることができれば、部下からの信頼も増し、生産性もさらに上がっていくでしょう。

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太田 章代

新人育成トレーナー

愛知県岡崎市出身。損害保険会社の事務員から広告代理店の営業職に転職。入社2年目から6年連続売上トップ。32歳で統括本部長に抜擢。50人の部下を指導する。35歳代表取締役に就任。その後、2006年人材育成事業で独立。現在まで研修&講演に2,000本以上登壇。離職率の低下や、職場のコミュニケーション改善などで成果を上げる。独自の体験型講演が好評をいただき、講師評価98.7%でリピート率も高い。研修&講演を通して【働くを楽しむ】社会創りに貢献するという使命のもと、日本全国で精力的に活動中。

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